『特別展 ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展』 を鑑賞して

 先日、『特別展 ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展』を鑑賞してきた。
 この展覧会は、修復作業によって背後に描かれたキューピッドが露になった、『窓辺で手紙を読む女』を所蔵館以外で世界初公開するのを目玉に、ドレスデン国立古典絵画館が所蔵する17世紀オランダ絵画を展示するものである。このキューピッドは、調査の結果作者以外の者の手で後年塗りつぶされたものと考えられている。我々は今回の修復で、フェルメールが描いた当時の作品により近いものを鑑賞し、フェルメールの意志に触れることができるようになったのである。
 さて、宣伝を見ると、「フェルメール」の文字が特大のフォントで書かれているが、フェルメール作品は『窓辺で手紙を読む女』だけであった。私はてっきりフェルメールの大展覧会だと思っていたため、少々拍子抜けしてしまったのを否めない。
 しかし、それが今回は私にとって幸運だったようである。瓢箪から駒というと失礼だろうが、フェルメールではなく、別の画家の作品を好きになったのである。
 作品名は『夏の川景色』で、ヤン・ファン・ホイエンの作である。夏の景色の中、川での漁と居酒屋に集まる人々が描かれている。全体的に淡い黄色、或いは黄土色を基調としており、鮮やかとは言い難い色合いをしている。しかし、鮮やかではないが故に、心落ち着く絵画となっているように思う。当時のありふれた庶民の日常の一場面をそっと切り取ったような、セピア色の写真のような、そんな印象を受けた。
 公式図録(の帯)のデザインもすてきである。表紙に修復後の『窓辺で手紙を読む女』を配し、裏表紙に修復前のものを配している。展覧会の目玉をうまく表現していて好きになった。
 フェルメール展は、2022/10/8(土)~11/27(日)まで宮城県美術館に巡回するようである。フェルメールであれホイエンであれ、興味を持たれた方はぜひ訪ねてみていただきたい。

2022/09/26(月)
竹定規(@bamboojougi)

<展覧会>
特別展 ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展
場所:大阪市立美術館
期間:2022/07/16(土)~2022/09/25(日)

<参考>
大阪市立美術館HP(2022/09/26訪問)
https://www.osaka-art-museum.jp/sp_evt/dresden-vermeer2022
宮城県美術館HP(2022/09/26訪問)
https://www.pref.miyagi.jp/site/mmoa/exhibition-20221008-s01-01.html
公式図録

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