50円オムニの製作方法
概要
50円で実用可能なオムニホイールを作ります。
近年のロボカップジュニアサッカー競技ではほとんどのチームがオムニホイールを自作していると思います。オムニホイールは部品点数が多く、下手をすれば開発・製作にかなりのコストがかかってしまいます。
そこで、なるべく安くというコンセプトでオムニホイールを作ってみたので製作方法をまとめようと思います。製作には3Dプリンターが必要となります。もしない場合はJLCPCBの3Dプリントサービスがおすすめです。
初めてオムニホイールを自作してみたい人や、コストカットしたい人は是非参考にしてください。
材料
DAISO 水槽用エアーチューブ (外径6mm, 内径4mm, 長さ3000mm) 100円
ホームセンター ABS丸パイプ (外径4mm, 内径2mm, 長さ1000mm) 約150円
3Dプリンター用のフィラメント (直径1.75mm)
ワッシャー (M2)
ねじ、ナット (M2 or M3)
使用機材
3Dプリンター
デザインナイフ (カッターナイフ)
電動ドリル
設計
外径6mmのシリコンチューブでは、サイドホイール間同士の隙間が広くなりシャーシがカーペットに擦れてしまいます。なので2層のホイールにして自由回転方向の滑らかさを保ちます。さらに、2層にすることでグリップ力が理論上2倍になります。また、ホイールが正円に近づくので滑らかに動くなどのメリットもあります。デメリットとしては重量の増加、厚さが増えるなどありますが、設計の工夫次第で解決可能です。
モーターに取り付けるためのハブは試作であれば3Dプリンタ製のものでも可能ですが、実戦で仕様するためにはアルミで自作するか市販品を使うことを推奨します。ダイセンモーターであれば溝を作るだけで大丈夫です。
具体的な設計方法に関してはFusion360のフィーチャ動画を添付しておきます。3Dデータが欲しい方はX(@bambi_rcj)にDMをください。
加工
デザインナイフ、電動ドリルを使用するので怪我には注意してください。
シャーシ
3Dプリンタで印刷します。バリがあるとサイドホイールの回転が悪くなってしまうのでデザインナイフやニッパーで取り除きます。
平行ピン
3Dプリンタ用の直径1.75mmのPLAフィラメントを使用します。定規を当てながらデザインナイフで切ることもできますが、量産する場合は簡単かつ正確に切れるような治具を3Dプリンタで作成する方が楽です。私は以下のような治具を作成して加工しました。
シリコンチューブ
これは平行ピンと同様に定規を当てながらデザインナイフで切ることができますが、量産する場合は治具を作ると簡単に切れます。
ABSパイプ
平行ピンよりも加工に少し手間がかかります。平行ピンを加工する時のような治具を作成し、ABSパイプを電動ドリルで回しながら少しずつデザインナイフを当てて切ります。速く回しすぎるとABSパイプが溶けてしまうので注意が必要です。この加工が一番しんどいです。
組み立て
加工した部品を下の写真のように組み立てます。
組み立てたサイドホイールを3Dプリンタで印刷した溝のあるシャーシに取り付けます。既に取り付けたサイドホイールが外れないように慎重に作業を行なってください。1周取り付けが終わったら溝のないシャーシを上から被せます。これを2個作ってネジで固定したら完成です。
作成したオムニホイールの詳細
仕様
ホイール直径:50mm
ホイール厚さ:12mm
サイドホイール直径:6mm
サイドホイール厚さ:4mm
サイドホイール数:15*2=30個
重量:23g
コスト
シリコンチューブ
4mm * 30個 = 120mm
100円 * (120mm / 3000mm) = 4円
ABS
4mm * 30個 = 120mm
150円 * (120mm / 1000mm) = 18円
平行ピン
計算不要
ワッシャー
0.5円*60個=30円
ねじ
計算不要
合計:52円
課題
グリップ力不足
シリコンチューブの直径とワッシャーの直径が同じなのでカーペットにサイドホイールが食い込んだ時のグリップが落ちてしまいます。外径8mm以上内径4mmのシリコンチューブが150円以下の安値で売っていたら情報をいただけると嬉しいです。
自由回転方向の摩擦が大きい
最初から想定していたことですが、サイドホイールの直径が6mmと小さいことからシャーシがカーペットに擦れてしまい摩擦が大きくなってしまいます。
実際に写真を見てみると、50円オムニホイール(左)は黒いシャーシとカーペットの間に隙間がありません。しかし、10mmサイドホイールのオムニホイール(右)はアルミのシャーシとカーペットの間に少し隙間ができています。この隙間がないとオムニホイールの本来の性能が発揮できないです。最低でも直径8mmのサイドホイールが必要かもしれません。
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