リモートでの河口湖デビュー。茅原実里さんサマチャンの2週間前に。

振替公演の中止。プロ野球選手のトレード。きょう1日もまた、良くも悪くもいろいろある。本来は昨日書くつもりだったこの記事だけれど、やまとなでしこの特別版を観ていたので仕方ない。昨日、茅原実里さんの河口湖配信ライブの公式ブログに斎藤滋さんが登場した。河口湖での思い出を振り返りつつ、意気込みが綴られていた。

あらかじめ書いておく。私は、河口湖に行ったことがない。聖地というよりは、西遊記における天竺のような「たどり着くべき遠い場所」それがステラシアターだ。デビュー15年のアニバーサリーを契機に「最初で最後かも」と参加を決めたサマチャンは、オンライン開催となった。なってしまった。2ヶ月前の傷も癒えぬなかで。記事の内容は、事実は重かった。以前も書いたようにもう「茅原実里さんの言葉」を信じることは極めて難しくなった。書きにくいことにはなるが引退を察した。しかし、8月1日の予定は変わらず「サマチャン河口湖」のまま。それが7月14日時点での運営さんの答えであり現実だ。不思議である。

斎藤さんがいかに丁寧に歴史を辿って記事を書かれたとしても、正直それにはピンとこなかった。未知であり、無知の世界だから。でも国難に真正面から向き合い、真正面から「茅原実里さんで勝負する」ために何が必要で、どのように考えるべきかを真剣に、誠実に考えていることが伝わった。帰りの電車でウルっときた。河口湖に行ったことないのに。

このサマチャンは、自分に課された試験だと思っている。ご本人のブログにも残させていただいたが家族は「来年こそ行こう」と励ましてくれた。まだ本人が姿をみせていない、いちばん不安を感じていた頃に悲しい知らせは届いた。スタッフブログが動いている今は、その時よりなんと明るいのだろう。本気だ。向こうは本気だ。有料配信の値に見合うモノを届けようとしている。それを観ずに「勝手にやってて。あぁお金は返してね」と言うのは簡単だった。けれど発表された瞬間に払い戻しという選択肢は消えた。この配信で自分の気持ちが明るくなり、少しでも未来に希望をもてる時間となるならば、おのずと「また行きたい」となるだろうし、11月のキャラソンライブへの期待も高まるはずだ。どのような対策が施されるかはわからないし、再延期や中止に対する怖さもある。ただ、もしご本人とお会いして話ができるならば、マスク越しでも「お誕生日おめでとうございます」と言いたい。

2ヶ月が経ち、こういった心境になっている自分が、正直不思議でならない。泣きながらブログに怒りと悲しみをぶつけたし、何事もなく済む話でもない。しかし、想像以上に茅原実里さんチームの活動に対する意欲と熱意は凄かったのだ。他のアーティストがこぞって活用してきた過去のライブ映像も武器にはならない。もうそうなったら今を届けるしかない。崖っぷちどころか諸々こぼれ落ちたこの状況で、運営さんは河口湖での有料配信ライブというもっとも大胆な賭けに出たと思う。試験の受験料は4000円だ。

やまとなでしこには「大切なものは何か」という主題がある。たった1人の運命の人、たった1つでも大切で、失いたくないもの。たいへん残念なことに「運命の人」には出会えていないしその予定もない自分だけれど、茅原実里さんをはじめたくさんの人が届けてくださった「ライブエンターテイメント」というのは大切なものに分類されると思っている。Sing All Love ツアーでの出会いで「音楽はその場で感じたほうが楽しい」という気づきを得た。それを失いかけている今だからこそ、10年前の5月4日に帰るような気持ちで、8月1日を迎えるつもりだ。スタッフの方々がそこまでして、考えて、心を示し、守り保とうとしたステージ。そこにボーカルとして立つのは茅原実里さんしかいない。MISIAさんの主題歌ではないけれども、本当に「やさしいウソなら要らない 欲しいのはあなた」のステージということだ。

たった1人の人に巡り合えた気がする。自分にとってそんな日に、誰にも否定されない2時間になることを心から願う。不安より今は、楽しみの方が大きい。新しい旗も1本、届くことだしさ。