見出し画像

【日記】グラデーション

大学を卒業する時、友達に「4年間で最も成長した男」と言われました。その内の一人には「変化を見せてもらえて嬉しい」とまで。奴らの反応にはだいぶ茶化が混ざっているものの、自分でも4年間で大きく変化したなーと感じています。

それは決して過去から断裂して生まれ変わるようなことではなく。
一歩ずつ、地続きに、グラデーションを描いていくように

そんな「変化」を振り返るという話です。

10代 「自分との闘い」

自分にとって10代は「自分との闘い」、自分の弱い部分や嫌な面と向き合う期間だったんじゃないかなと思います。

昔から「周囲と自分がどう違うか」「周りからどう思われるか」ばかりを気にしてしまうタイプでした。周りと同じ「普通」なことを求めて、でも個性のない「普通」なことを恐れて。
どんな人と関わっている時も視線はいつも自分に向いていて、そんな関わり方しか出来ない自分をまた嫌になる。負の連鎖でした。

小さい頃は学力や運動といった分かりやすい物差しで成績という優劣をつけられるので、それを盲目に信じて自分と他人を比べ、優れた人を妬み・僻み、劣った人を蔑んでいました。
自信も得意も好きもなく、淡々と無気力に暮らしていました。

そしてそれは、家族や学校や社会といった自分を取り巻く環境が自身を不幸にさせているんだと思い込んでいました。
きっと周りのせいにしないと、自分の弱さと直面してしまうから。対面して立ち向かう強さを持ち合わせていなかったから。


10代から20代へ

大学で上京し、暮らしも人間関係も一変しました。

同じ土地で育ち、近い学力レベルを持った中高生とは異なり、大学では価値観も経験も異なる同世代にたくさん出会いました。さらに学外のラジオ局やNPOでは自分より年代が上の人たちとも関わる機会がありました。
そうした関わり合いの一つひとつが新鮮で、「人が面白い」という感覚を初めて持ちました。それまで内々に向き合って10代を過ごしていた自分には知り得ない景色でした。

大学になって、サシ飲み・サシ飯にたくさん行くようになりました。
ずっと人見知りだったから、人と一対一で話し続けるなんてハードルが高くてとても出来なかった。けど、人に関心を持ってからは、その恐怖心は取っ払われました。
みんなが何を考え、どう生きているのか。自分と重なる話・異なる話に好奇心が湧き立てられました。10代の頃、頭の中で悶々と考えていた他者との相違の答え合わせをするかのように。
人との会話はその人の人となりや体験が知れるだけでなく、知らない自分を垣間見る瞬間も多々あって、今思えばサシはある種の自分探しだったのかもしれません。
真摯に付き合って下さった皆さん、本当にありがとうございました。

そうした色んな人の価値観や考え方に触れてから、自分が「好きなこと・出来ること・得意なこと」「嫌なこと・出来ないこと・苦手なこと」に少しずつ目を向けられるようになりました。
また、価値観や背景を語り合った人たちのことを素直にリスペクトしている自分がいました。そこに10代で持っていた僻みや蔑みは一点もなく。
4年間の終わりには、10代では全く無かった「やりたいこと」「興味あること」や「将来の目標」がたくさん思い浮かび、そんな話で友達と盛り上がれるほどになっていました。

卒業制作でお世話になったNPOでは「本当は真っ直ぐでアツいじゃん」と言われました。ひん曲がった性根で冷めた人間だった10代の自分では考えられない言葉。
そう言われた時に、「本当は昔から真っ直ぐ一生懸命に生きたかったし、たくさんの人と正面から向き合いたかったんだな」と気付きました。
随分遅くなったけど、今からでも頑張れるかな。


20代 「人との向き合い」

大学4年間の過渡期を経て、20代は「自分と」だけではなく「人との向き合い」の期間になっていくんだろうなという実感を得ました。

社会人になった今も変わらず、他者の価値観や背景に触れる場面はワクワクするし、そうした関わり合いの中で自分の新たな一面を教わることが幾度もあります。
色濃い個性を持った方々に恵まれ、自身を色付けてもらっている感覚。
そうして何度も何度も自分が塗り変わるように成長していくように思います。

自分を見つめ直す時間はこれからも続いていき。
その中でも、他者に意識を傾け、寄り添う時間が増えていくのかなと。

もっと言えば20代に限らず何歳になっても、他者を純粋に尊敬できる人でいたいと思えました。
何故なら、そうした人たちから頂く色味が今の自分を形作るから。


グラデーション

大学2年生が終わり、大学生活の後半戦。10代から20代に移り変わる頃、2年間での確かな成長の手応えがあり、珍しく「今までの自分とは一味違うぜ」っていう自信に満ちていました。
ですが、そこから飛躍して、過去と現在を断絶して考えるようになってしまっていました。
「昔の自分は悪い自分。今の自分が良い自分。」と切り捨てて。

今は、自分の気持ちや価値観を、"点"ではなく"線"で捉えられています。

少しずつですが、自分の持ってる価値観や気持ちの源流と今までの経験との繋がりを理解することができて、「昔も今も全部ひっくるめて自分らしさ」と感じられるようになってきています。

きっと人は急に変われるものではないから。
季節が移ろうように、陽が上り沈むように、一歩ずつ。
20代もまだまだ前半戦なので、もっともっとたくさんの人たちと触れ合い、幾重にも自分の色を塗り替えながら、鮮やかに変化・成長していきたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?