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【c統率者】《秘本に縛られし者、プロスパー/Prosper, Tome-Bound》

はじめに

 こんにちはばらんです。つい最近まで《ログラクフ》+《テヴェシュ》のラクドス共闘をちまちまいじっていたのですが、面白そうなラクドスカラーのジェネラルの存在に気付いたので組み、一人回し数十回と実戦数回回して「こいつおもろいな…」と思ったので布教記事の筆を執ることになりました。
 直近に開催された統率者神決定戦で特に"c"edhがアツいということもあり、本記事内容も"c"寄りの内容となっております。ご容赦下さい。

ジェネラルスペック

秘本に縛られし者、プロスパー{2}{B}{R}
伝説のクリーチャー — ティーフリング・邪術師
接死
秘奥義 ― あなたの終了ステップの開始時に、あなたのライブラリーの一番上にあるカード1枚を追放する。次のあなたのターンの終了時まで、あなたはそのカードをプレイしてもよい。
契約の恩恵 ― あなたが追放領域にあるカードをプレイするたび、宝物・トークン1つを生成する。
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このスペックで構築済みデッキ出身な辺り、最近の構築済みもインフレが激しいなと感じます。

 秘奥義でアド稼ぎ、契約の恩恵でマナ加速が可能と、mtgというゲームにおいて欠かしたくない要素が《プロスパー》1枚で完結しているのです。しかも衝動的ドロー(追放したものをプレイ出来る疑似ドロー能力)の誘発タイミングは自ターンの終了ステップ。出してターン返したら除去に巻き込まれて大損ということもありません。
 さらに契約の恩恵能力は《プロスパー》本人以外でもしっかり誘発します。《舞台照らし》や《溶岩との融和》等の衝動的ドロー呪文も《プロスパー》カードとして採用する価値が生まれます。昔から非青の赤系統率者はアド稼ぎする手段に乏しく、無いよかマシ…って感覚で衝動的ドローを採用することもあり、衝動的ドローは「限界アド稼ぎ」的な立ち位置にありました。しかし《プロスパー》はその限界アド稼ぎをデッキコンセプトとして据えられ、その上衝動的ドローでしか得られないリターンが約束されています。
 極めつけは戦闘における頼もしいブロッカー性能。1/4接死のおかげでパワー3以下の単体コンバットでは殴る意味も無く、仮にそれが攻撃することで仕事をする生物であったとしても接死能力で狩れます。"c"edhにおいて黒は《むかつき》《ボーラスの城塞》《ネクロポーテンス》の存在から「とりあえず殴れ」が暗黙の了解になっています。実際後程取り上げる僕のリストには上記3種全て入っているため、雑にコンバットでライフを詰められると取れる行動の選択肢が狭まり苦しくなります。しかしプロスパーを立たせればトークンやブロッカーとして立たせる理由もそこまで無いシステムクリーチャーのコンバットもしづらくなり、ライフが持ちやすくなります。たまにブロール(カードプールがスタンダードに準ずるハイランダー多人数構築戦)というフォーマットでも遊んでいるため「キーワード能力って強いな」と改めて痛感しますね。

勝ち筋

 基本的な勝ち筋は"c"edhでよく見かける戦い方とそこまで大差ありません。
・《血の取引者、ヴィリス》+《再活性》
・《ネクロポーテンス》
・《最後の審判》
・《むかつき》
・《ボーラスの城塞》
・《深淵への覗き込み》
《豊潤の角杯、ハーンフェル》+《師範の占い独楽》
 上記カードで突出したアドバンテージを稼いでから《死の国からの脱出》、《霊気貯蔵器》に繋げて3人まとめてドンです。契約の恩恵と相性の良く、秘奥義で色問題もなんとかなりやすいため仕掛ける前に《法務官の掌握》から《沈黙》《堂々たる撤廃者》をパクってそこからルートに入ることもあります。《ヴィリス》、《むかつき》、《城塞》、《深淵》は《プロスパー》不在でも勝ちに繋げられますが、太字にした《最後の審判》、《ハーンフェル》ルートは《プロスパー》不在では成り立たないジェネラル特有の勝ち直結ルートとなっています。

《最後の審判》ルート

 勝ちルートに用いる必要パーツは《最後の審判》→《ジェスカの意志》、《最後の賭け》、《双つ身の炎》、《二重詠唱の魔道士》、最後に適当な防御札、除去札です。またこれらがライブラリー、手札、墓地のいずれかにあることが条件です。

《プロスパー》が戦場に残っていることが条件
①{R}{R}を残して《最後の審判》キャスト。
②上から
《最後の賭け》
《ジェスカの意志》
《双つ身の炎》
《二重詠唱の魔道士》
妨害札、除去札
の順に積む。
③終了ステップに《プロスパー》の効果で《最後の賭け》を捲り、キャスト。
④追加ターンを貰い《ジェスカの意志》を両モードでキャスト。
⑤《双つ身》+《二重詠唱》のコンボが整うので妨害を構えつつ揃えて勝利。《倦怠の宝珠》などがある場合は妨害枠に除去を持ってきて勝つ。

パイルに用いるカードが単体でも比較的使い道があるのも魅力的。

 どこかで妨害を挟まれるとコンボを決めきれず死のハイリスクなルートですが、《ジェスカの意志》まで通ればほぼ勝てる実質1枚ルートです。追放領域にあるカードは《最後の審判》でも拾えないため、間違っても《金属モックス》や《宝石の洞窟》などで追放したり、秘奥義で追放したままにしないようにしましょう。
 また当然のことではありますが《双つ身》+《二重詠唱》コンボはこのルートでしか使えないわけではありません。《脱出》の締めやデモコンタッサと似たノリで揃えて叩きつけることも可能です。

《ハーンフェル》ルート

《プロスパー》が戦場に残っていることが条件
①《ハーンフェル》、《独楽》を揃える。
②《独楽》のドローモード起動。《独楽》がトップに行き手札が1枚増える。
③増えた手札を1枚捨てて《ハーンフェル》起動。《独楽》ともう1枚が追放される。
④《独楽》を追放領域から唱え、契約の恩恵で≪独楽≫のマナが返ってくる。
⑤以降②~④を繰り返すことで1周あたり墓地と追放領域が1枚ずつ増える。
⑥突き放したアドバンテージでなんやかんやして勝つ。

回してる本人も揃ってること気付かずに後の行動考えてることも多い

 《ビルギ》面が目立ちすぎているせいで正直《最後の審判》ルートよりも影の薄いルートと思われます。《プロスパー》と《ハーンフェル》の相性がいいため唱えたら消されるか破壊のタイミングを狙われるカードではありますが、《独楽》がそこに添えられるとループが完成したことに気付くのが2周目以降ということもザラです。《母聖樹》の登場、茶ヘイトに恐ろしく弱いと脆いルートではありますが、妨害がなければちゃんとそのまま勝てるルートです。

おすすめ契約の恩恵用カード

 追放領域からプレイするカードが《プロスパー》と相性いい→なら何を採用すればいいでしょうか。
 《むかつき》を例に挙げてみましょう。このカードはライブラリー全体のマナ総量を軽くすればするほど掘れる枚数の期待値が上がります。なので《むかつき》への信頼度が高いプレイヤーは極力軽量なマナコストのカードを選びましょう。理想は《プロスパー》とコスト域が被らない3マナ以下です。
 また衝動的ドローは必ず消費期限が存在します。いくら衝動的ドローカードを唱えても、追放したカードをプレイするには別途マナコストが必要となり、消費期限までに使い切れなければ損することになるのは言うまでもないでしょう。軽量な契約の恩恵用カードを選ぶ理由はここにも結び付くのですが、消費期限が長いカードを選びましょう。
 極力3マナ以下、消費期限が長いカードを例に挙げると以下の通りです。
・《マグマの媒介者》
・《溶岩との融和》
・《無謀なる衝動》
・《ジェスカの意志》
・《舞台照らし》
・《再鍛の刃、ラエリア》
・《電位式リレー》
・《ブレイヤの見習い》

 「衝動的ドロー」で調べれば他にも色々出てきますが、《プロスパー》の色に合わなかったり、起動コストの重さ、使い切りであることが多い等でおすすめとまでは行かない物が多いので省略してここに挙げています。試していないカードもたくさんありますので、もしおすすめありましたら「プロスパー」というワードを混ぜてツイートしてください。頑張って拾います。
 また追放領域からプレイするカードは自分のライブラリーからとは限りません。対戦相手から追放するものもあります。
・《敏捷なこそ泥、ラガバン》
・《ダウスィーの虚空歩き》
・《君は囚人を見つけた》
・《騒乱の発端、グレンゾ》
・《敵対工作員》
・《法務官の掌握》
 
 《虚空歩き》《敵対工作員》は契約の恩恵用というよりは相手の動きを封じるヘイトカードに位置し、アドバンテージ稼ぎを約束する1枚ではありませんが、ただのヘイトカードがこちらにも利点を生むヘイトカードにワンランクアップするため採用しています。除去を必ず吸ってくれるので、《プロスパー》が生き残りやすいのも評価点です。
 《掌握》は実質200枚以上のカードプールからカードを1枚持ってくる願いのようなもので、しかもよく問題に挙げられる色が違うカードは持ってきてもプレイしづらい問題は契約の恩恵で出る宝物トークンで賄えます。宝物2個用意出来れば固有色の壁を越えてほぼ全ての呪文を撃てるでしょう。

マリガン基準

《プロスパー》早期着地ハンド

 《プロスパー》が定着することによるバリューの高さはジェネラルスペックの項目で説明した通りです。よって早期着地を狙うことで他のプレイヤーとのアドバンテージ差をつけやすいのです。3t以内に着地出来るハンドならキープしてみましょう。

1t着地 例①
1t着地 例②
2t着地 例
3t着地 例

TurboNauseハンド

 勝ち筋項目で挙げた強力なドローソースを1~3t目に叩きつける前向きな手札です。序盤は自身の立ち上がりを優先することが多いデッキがほとんどですので、キープ出来れば余裕を持って殺しに行けます。余談ですが《ログラクフ》+黒の共闘はこのハンドをキープするのが非常に得意です。《ログラクフ》→《弱者選別》を起点とした大幅なマナ加速により1t目に《深淵》等をぶっぱすることも珍しいことではありません。「シンプルにTurboNauseがやりてぇんだ」って人は今すぐこの記事を閉じて《ログラクフ》系のデッキリストを探しましょう。あくまで《プロスパー》でのTurboNauseハンドは「この選択肢もあるよ」ってだけです。

2t《むかつき》 1t《深淵》なんて贅沢ハンドは5~6枚くらい要求されるので無理です。

《最後の審判》ハンド

 《プロスパー》早期着地が出来るハンドに《悪魔の教示者》等のサーチカードが1枚でも紛れていればこのルートに入れます。…がマナソース面の要求枚数が多いためあまり現実的ではありません。初手から茶ではしゃぐプレイヤーと《波止場》があれば諸々の問題が解決したりもしますがギャンブル要素強めです。ですが「この《吸血の教示者》で《最後の審判》を探せば次勝てるか…?」と常に狙う意識を持つことは大事です。損をするファーストペンギンになりそうか、の雰囲気も併せて読めるようになりたいですね。

1t《プロスパー》→2~3t《最後の審判》 ちなみにここからもう1枚0マナファクトを引くか秘奥義で0マナソースを追放出来ないと2t《審判》に辿り着けません。

対スタックスハンド

 主に《ウィノータ》を初めとしたスタックス生物搭載デッキを睨む形になるハンドです。該当する形はスタックスカードを置かれる前に殺すTurboNauseハンド、そして盤面の生物を流せる全体除去を最低1枚抱えるハンドです。クソ後ろ向きな動きなので正直やりたくないですが、対《ウィノータ》はやらないと死ぬのでやむなし。

《唐突なる死》とか《Fire Covenant》の使い心地を試すべく採用してますが普通に《毒の濁流》とかでいい気もします。

 目立ったスタックスデッキが無さそうな卓は《プロスパー》を極力早い段階で出せる手を目指す意識でマリガンしましょう。

採用カード群大雑把メモ

筆者愛用中リスト

土地枚数

 土地は28枚。有色土地15枚、無色土地(宝石の洞窟含めて)5枚、フェッチ8枚で構成されています。黒を軸にマナ加速していくのに《山》を入れている理由は、赤系フェッチを過剰に引いて意外なところでマナが足りずキレ散らかしたという経験があるためお守りとして採用するようになりました。また枚数については秘奥義のおかげでそこそこの確率で土地が手に入るので今のところ適正と判断しています。中盤で素引きした《モックス・ダイアモンド》も出る際のコストに困ることはあまり無いです。

出すor使うとマナが増えるマナソース

 0~1マナで置ける茶は合計10枚。使い切りスペルは8枚。《プロスパー》早期着地ハンド、TurboNauseハンドへの貢献度の高さ、浮きマナ0での《むかつき》《深淵》ぶっぱからのマナ確保と価値が非常に高いです。《LED》はこれに加算していませんが、秘奥義などで追放した呪文を唱える際や《むかつき》などの解決前に使うことで実質《Black Lotus》としての運用も可能です。

出してもマナが増えないマナソース

 茶に3枚。ぶっぱの際には使えませんが、堅実なマナ加速と色の確保が出来ることから、《むかつき》後は無色マナを実質フィルターする形で色マナを確保する際に使います。宝物を用いてなお色問題がカツカツなことも珍しくないくらい色管理がタイトなので採用しています。

除去

 ピン除去1枚、広範囲除去4枚。このデッキにおける最大の天敵はなんといっても《ドラニスの判事》です。追放領域からのキャストが封印されるため、《判事》が置かれた瞬間《プロスパー》が毎ターントップを追放するデメリット持ちの平成生まれクリーチャーになってしまいます。《城塞》《脱出》《審判》ルートにももちろんガッツリ刺さるのも天敵たる所以ですが、これはフィニッシュ直前まで除去を温存すればいいだけであって、準備段階ですら行動が封印されるのはあまりにも苦しいです。僕は《ウィノータ》を始めとしたスタックス生物の横並びや《ティムナ》系もついでに睨む意味で広範囲除去呪文を採用していますが、《稲妻》《致命的な一押し》等の最低限《判事》は殺せるピン除去の採用に留めるのも選択肢としてありかもしれません。
 必ず除去は数枚採用しましょう。

法務官の掌握と撤廃者

 《プロスパー》における《掌握》のメイン運用法は主に3通りに分けられます。1つは通れば勝つカードのサーチ、もう1つはマナソースカードのサーチ、最後は呪文を通すためのカードのサーチ
 《プロスパー》にとって最も重要な使い道は3つ目の運用法です。勝ち筋項目でもちらっと触れましたが、《掌握》で《撤廃者》を探すのが《プロスパー》edhにおける安定した勝利手段なのです。《撤廃者》本体がカウンターを当てづらく、着地したが最後除去やカウンターも撃てず、今話題の《大田原》や《母聖樹》によるメタ対策の貫通もありません。卓や場面次第では《むかつき》探したり《脱出》探したりすることも悪くありませんが、白が同卓していた時は狙ってみましょう。狙う際は宝物トークンの管理も怠らないようにしましょう。《ログラクフ》+《ティムナ》って強いな…。

Burnt Offering、Sacrifice

 どちらも黒1マナのインスタントで、追加コストで生物を生け贄にし、生け贄生物のマナ総量分の黒マナ(《Burnt》は赤黒のうち好きな組み合わせ)が出る呪文のことで、《ヴィリス》《プロスパー》を処理してマナ加速するのが目的です。
 《プロスパー》は《弱者選別》相当のマナジャンプが期待でき、《プロスパー》の着地がコンボルートの一環になっている《審判》ルート、《ハーンフェル》ルート以外なら気軽に使い捨てられます。
 《ヴィリス》は単純に《プロスパー》を使い捨てた時の倍加速が出来るという意味もあるのですが、《霊気貯蔵器》でのフィニッシュ、《審判》ルート突入の際はむしろ《ヴィリス》のせいでLO自爆します。《ヴィリス》+《再活性》から走り始め、《脱出》と《貯蔵器》でストーム貯めて決めるなどの際、《ヴィリス》を殺す手段を残しておくか、走る途中での適当なタイミングで殺しておきましょう。

フィニッシュ

 通ったら強い、cedhでよく見かける呪文全部乗せです。人によっては《城塞》を抜いたり《ヴィリス》パッケージを採用しなかったりと色々な派閥があるらしいですが僕は「全部乗せの方が強いじゃん」理論でゴリ押してます。cedhどっぷり勢からすると恐らくこの部分は賛否両論ありそうなので強く言いませんが、ただでさえ受けが脆いラクドスカラーは攻めてナンボだと思っています。

最後に

 概ね書きたいことは書き切ったので本記事はここで締めさせて頂きます。c環境におけるラクドスカラージェネラルは現状やはり《ログラクフ》+《テヴェシュ》の知名度が圧倒的に高く、正直な話《プロスパー》というジェネラルはほとんど見向きもされていません。なんなら「《不気味な雇われ人》入ってるあれでしょ」と完全に孕み袋扱いされてます。
 「《雇われ人》入ってるあれ」から「《雇われ人》もメイン統率者も強いあれ」に評価がランクアップすればいいなぁと願っております。ちなみに構築済み界隈だとかなり強い部類らしいです。すげぇ。

 これからも調整頑張っていきたいと思います。最後まで読んで下さりありがとうございました。

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