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生活の建築知識.84

おはようございます。

皆さまの家にはロールスクリーンを設置していますでしょうか。
最近ですと、特に収納を隠すためにロールスクリーンを設置して必要に応じて見えない空間を作るために用いられるケースが増えています。
扉ほどの設備はいらないが、全く開放するのも抵抗がある際には確かに有効な方法だと思います。
ロールスクリーンは目隠しとしての機能だけでなく、もちろん日除けとしても利用が可能です。
多くのロールスクリーンは生地を用いたものですが、ブラインドも含めれば木質や麻生地、竹などを利用したものもあり、その質感を使用して空間を演出することも可能です。
今回はロールスクリーンやブラインドについて説明をしていきます。

ロールスクリーンやブラインドは決して現代になってから必要になった設備ではなく、古くは平安時代から似たような機能を持ったものがありました。
それは今では珍しくなった簾です。
日本家屋はご存知の通り木造住宅であり、柱梁を中心に構成されて、各間仕切は襖や障子を嵌め込む仕様となっていました。
夏場の高温多湿に対処するため、襖や障子を外すことで開放的であり風通しの良い環境を実現しています。
また、軒を大きく出し、直射日光などを避け、さらに快適な空間としていたわけですが、それでも夏の日差しは地面からの照り返しや西日となれば眩しさや厳しい暑さを感じたはずです。
そのため、軒先に簾を掛けることで外部には開放しながら日射を抑制することをしていたのです。
葦や竹を利用する簾は、当時の日本家屋の質感とも馴染んでおり、また機能としても必要不可欠であったと思います。
簾は金物などに引っ掛けて設置するだけであったため、設置位置を変えることも容易であり、軒先だけでなく障子の上部に設置することで室内のカーテンのような役割も果たしていました。
わずかに透ける簾越しの景色はカーテンとは違った趣があったのではないかと想像します。
現代では、簾自体を利用することはだいぶ少なくなりましたが、取って代わりロールスクリーンやブラインドがその役割を果たしています。
現代仕様の内装から考えれば簾よりフラットで主張が少ないロールスクリーンや機能的でバリエーションのあるブラインドの方が馴染みは良いかと思います。
操作の仕方も選べ、光の調節も可能であることから利便性は遥かに良好になりました。
しかし、不便であったからこその所作や素材のムラから醸し出す雰囲気も生活の中で独特な魅力であっただろうと想像します。

利便性・機能性・意匠性を考慮されて部材を選定する際に、操作する所作や光と影のムラ感なども検討してみると違った基準で見えてくるかもしれません。
夏の暑さも少しは楽しみながら過ごせるかもしれません。

では、また。

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