MLB選手紹介 vol.1アドリー・ラッチマン

22年、83勝79敗でシーズン勝ち越しを果たし、最後までワイルドカード争いをしたオリオールズ。
21年シーズン100敗したオリオールズの躍進を支えたのは22年シーズンにメジャーデビューした新星、アドリー・ラッチマンであった。

ラッチマンは2019年ドラフト全体1位指名でオリオールズに入団した。
その後2019〜2021年シーズンはマイナーリーグで大切に育てられ、2022年5月21日のレイズ戦で満を持してメジャーリーグデビューした。

メジャーリーグデビューしてからはその守備力、出塁能力を武器に活躍。
徐々に打撃成績も上昇し、7月以降は毎月OPS.800を超える活躍を見せた。

ここからは22年シーズンの主要成績、打撃指標を参考にラッチマンの選手としての特徴を見ていきたい。

アドリー・ラッチマン 22年シーズン成績

・主要成績
BA .254
→vs R .280 (L)
→vs L .173 (R)
OBP .362
SLG .445
OPS .807
HR 13
2B 35
barrel 25
DRS 18
fWAR 5.3

・打撃指標
K% 18.3% (22.1%)
BB% 13.8% (8.4%)
HH% 36.8% (35.8%)
barrel% 7.9% (6.7%)

A exit velo 87.9 (88.4)
M exit velo 110.9 (122.4)
launch angle 15.6 (12.1)

GB% 40.0% (44.9%)
FB% 26.7% (23.1%)
LD% 25.1% (25.0%)
PU% 8.3% (7.1%)

zone con% 88.5% (82.0%)
chase%  23.1% (28.4%)
chase con% 67.7% (58.3%)
whiff% 17.9% (24.7%)


・ラッチマンのここがスゴい!
1.高い選球眼と四球率
2.将来性を感じる打球指標
3.高い守備力
4.安定した成績

・23年シーズンはここに注目!
1.どれだけ打球指標を伸ばせるか。
2.左打席での打率を上げられるか。


ここからはラッチマンのここがスゴい!について語っていきたい。

まずラッチマンといえば選球眼、四球率が非常に優秀で、7月以降は常に出塁率.350を超えている。
四球率は13.8%でMLB平均の8.4%を大きく上回っており、それなのに三振は18.3%と平均を下回っている。

その理由はふたつあり、一つ目はボール球スイング率(chase%)の低さだ。
ラッチマンのボール球スイング率は23.1%とMLB平均以下でボールをよく見極められている。
もう一つはコンタクト率の高さで、ゾーン、ゾーン外共にコンタクト率はMLB平均以上で、スイングにおける空振り率(whiff%)も17.9%と低く、それによって三振を減らしながら四球を増やす、という理想的な流れが出来上がっている。

ラッチマンは打撃指標もなかなか可能性を感じる数値で、マリナーズのフリオやNL新人王のマイケル・ハリスⅡほど特出してないとはいえ、barrel率やhardhit率(HH%)はMLB平均を上回っており、更なる長打の増加を予感させる。
ゴロ率も他のプロスペクト達と比べるとさほど高くなく、平均打球角度もそこそこあることから23年はbarrel数、ホームラン数の上昇が見込める。
それらの上昇にともない、多少三振数や空振り率は増えるかもしれないが、長打率が上がるのであれば少しは許容できる。

ラッチマンはキャッチャーとしての守備力も高く、フレーミング技術、セカンド送球は共に高水準となっている。
キャッチャーとしてのDRS18も見事で、MLB1年目にして扇の要をしっかりと勤めあげた。
今オフはメッツから攻守のベテラン捕手マッキャンがオリオールズに加入したのでマッキャンとの併用で身体を休めつつ、技術もトレースしていってほしい。

安定した成績が出せるのもまたラッチマンの魅力で、デビューして6月にはもうそれなりの成績をあげ、それ以降も安定して高水準の打撃成績を残すことができていた。
こればかりは今年の成績だけでは判断しきれないかもしれないが、安定感もまたラッチマンの特性の一つかもしれない。


次に23年シーズンに注目してもらいたいラッチマンの伸び代の部分だが、1つ目は打球指標の更なる向上だ。
もちろん今年の成績も悪くはないが、新人王を受賞したフリオやハリスⅡと比べるとやや見劣りするところがあるし、トラウトやベッツと比べるとまだまだ物足りない。
barrel率やHH率が上昇してくれば自ずと長打率、ホームラン数が増え、更なる好成績を残すことに繋がると思うので、23年シーズンは打球指標の向上に期待したい。

それとラッチマンは両打ちではあるものの、右打席の成績が悪く、右打席(対左)では98打数17安打で打率.173と左打席(対右)の.280にだいぶ劣る。
来季からMLBではワンポイント起用が禁止になるとはいえ、ここまで左右差が出ると年間の成績に大きな影響が出るので、ここを縮めていけるか、はたまた左に専念するのか、というところもまた23年シーズンの見所である。


ラッチマンは目立った弱点があまりなく、守備も打撃も優れているので、将来的にはMLBを代表する選手になれるポテンシャルがある。
なのでこれからのラッチマンの活躍を楽しみに見ていきたい。


※使用しているデータはbaseball savant、fangrafhs、Wikipediaを参考にしています。

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