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人生100年時代と人工呼吸器

「人生百年という不幸」里見清一著、新潮新書

著者はガン治療の内科医。人生100年の現在、医療現場で起きている現実を明らかにしている。そこで行われてるのは治らない患者を死なせない医療、死なないことが前提とする。
医療現場で専門化が進み、総合診療科は専門医が診ない患者が送られ、治療できなくなれば、看取り専門施設に送られる。
現在、自宅で看取りされるのは1割程度、ほとんどが病院施設で最期を迎える。人はピンコロリを望む。著者は言う。ピンコロリがうまくいくとは限らないと。本人は良いが、周りは突然で迷惑すると言う。
尊厳死の事前意思は変わる。結果、最終的に家族の意思によって決定される。なぜなら、最後は意思表示もできない状況になるからだ。

コロナで人工呼吸器が話題。一度、人工呼吸器を付けると外せなくなる。コロナでも呼吸器の救命率は半数程度、抵抗力がある人でもこの程度。高齢病人はかなり厳しい。
死ぬことは自然と知る必要がある。年寄りが先に死ぬのは「めでたい」と疑問を持たない時代が少し前まであった。

丸山真男のササラ型文化、タコツボ型文化を思い出す。医療現場もタコツボ化を避け、同じ根を持って対話できる環境が必要。
呼吸器メーカーは海外、中小企業中心。需要少なく、大企業ではビジネスにならないからだ。ここにも利益至上主義、グローバル化の歪が出ている。

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