「松本清張・隠避と暴露の作家」
「松本清張・隠避と暴露の作家」高橋敏夫著・集英社新書
著者はいう。「清張がいま帰ってきた」と・・しかし正確には「今こそ清張を取り戻せ」が正しくないか?今ほど清張が必要な時代はない。
清張は言う。「隠避された闇の中からネガティブな状況を徹底して知り、暴くことが新しい社会へ向けて解放への次のステップになる」と・・・
森友問題の財務局職員の自死、政権の公文書改ざん、桜を見る会の隠避、検察人事の私物化。まさに隠避の世界だ。
これを暴露しようとする者はごく僅かである。多くのマスコミ、ジャーナリストは政権からの情報欲しさに権力に媚を売る。自己の出世が目的化する。
清張が隠避のバックボーンとして表現した「国家神道」と「天皇制国家主義」戦争のしっぽ切りとして殺されたBC級戦犯たち。本当に絵を描き、計画を練った黒幕はそのまま生き残る。
かつて「巨悪は眠らせない」と言った検察はシロをクロと言い、クロをシロにする。組織全体が狂気の世界。恐ろしいのはこの狂気の世界が民主主義のベールを被って、正気の個人を殺すことだ。
天皇制国家主義から民主制国家主義へ変質しつつある。検察、官僚が巨悪の僕となる。
民主主義だから仕方がないと諦め、政権の片棒を担ぎ、共犯者になる。いまこそネガティブな状況を徹底的に明らかにする努力が必要だ。
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