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「ソフトバンク崩壊の恐怖と農中・ゆうちょに迫る金融危機」

「ソフトバンク崩壊の恐怖と農中・ゆうちょに迫る金融危機」黒川敦彦著・講談社α新書

著者は言う。資本主義は常にバブルを必要とし、バブルは金融危機を招く。発火点は投資ファンドだと言う。デリバティブと「CLO」レバレッジローンはリーマン以上に膨らんでいる。

ソフトバンクGが20年1月~3月最終損失1兆4,381億円計上を明らかにした。予想通りの数字であり、ショックは少ない。

しかしビジョンファンド88社のうち6割55社が株式価値低下、残りの30社のうち15社がコロナの谷から落下すると予想。ファンド投資の損失は1.8兆円。コロナによる影響は大きい。

ソフトバンクGの株主価値は21.6兆円、1.4兆円減少した。これは保有株式価値28.5兆円から純有利子負債6.8兆円差引したもの。孫氏独特の価値観だ。有利子負債は連結の総額でみるべきもの。

今年3月、ムーディーズは格付けを二段階引き下げBa3とした。これは投機的との格付けだ。今後、社債発行金利の上昇もあり得る。

格付け会社は複雑な企業ほど格付けの引き下げに慎重である。今回、債務削減の姿勢を見せたことによりソフトバンクショックは収まるだろう。

ソフトバンクは通信会社から投資ファンド会社に変身した。今後は保有株式価値変動幅と資金調達力に大きく左右される。

一方、第二ビジョンファンドの失敗とアリババ株への依存が明確になった。14年前、アリババ投資20億円が時価16兆円に化けた。ここにソフトバンク神話が生まれ、強気、積極経営のスタート。負債削減は孫氏の従来攻めから守りへの変更だ。これがどこまで続くか?

それは確実なキャッシュフローを生む通信会社ソフトバンクの安定収入にかかっている。ビジョンファンドの投資先・物流、通信、消費サービスはコロナ不況に大きく影響を受ける分野だからだ。

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