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隙間

音楽も生活も、隙間がない。

つめて練習をする、というのは文字通り詰めていく作業のことで、知らず知らずに音楽の隙間を無くしていく。息ができなくなる。

純度や精度を上げることでだんだん身動きがとれなくなっていくのはよくあることで、本番前に神経質になる時はこの状態にある。

生活はどうか。時間のことを考えずにいられる時間があまりない。何もせずただ何かを待つという空白の時間も減ってきた。

隙間に生まれた時間を無駄にせず、生産的なことをしようと時間を切り分けている。もしくは条件反射的にスマホを見て指と眼を動かす。程度の差はあるにせよ、隙間を埋めることにみないそがしい。


10年ぐらい前だったか、糸井重里がアイデアはトイレや風呂に入った時に浮かぶことが多い、と書いていて面白いと思った。

一方で、一生のうちトイレに入っている時間が全体の何分の一である、みたいなデータを知って恐ろしくなる人もいるらしい。

隙間は心地よい。空白の時間を感じられる。そこから新しい風が通ってくる。

隙間を感じたらそれを埋めるのはもったいない。その隙間に身をおく。見慣れた景色の隙間から別の景色が見えてくる。

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