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女装5のお題(ダニエルとテオ)

[01] ナース
「やはり俺の目に狂いはなかったということですか。テオ、よく似合ってますよ」
「全く嬉しくなーい!!」
テオは女性看護師の服に着替えさせられていた。
白と桃色の合間の色合いをしたその制服はミニスカートであったが、何よりテオにとってはニーハイソックスを履いてることが今までにないことだった。
「これまさかオーダーメイド…?」
「そうですよ?女性の物しかないので、作るしかないんです♪」
「先輩ホントすごいですね…」
テオはダニエルの裁縫の技術力に苦笑いするしかなかった。


[02] 女性警官
「なるほど、警官というのは騎士団と似て非なるものですか。これは可愛いですねぇ…」
「先輩、何を見てるんですか」
テオは魔導具の修理をしている最中だ。
「新しい服を見ていますよ。これはベルに似合いますね」
「たまにはターゲットを彼女にしてくださいよー」
「ええ、そのつもりですよ」
ダニエルは今はまだその時じゃないですけどね、と思いつつ。これをテオに着させて恥ずかしい思いをさせるのが実に愉快で可愛いものだと感じていたのだった。

[03] 女子高校生
「成程。これが彼女たちの服装…。面白いですね」
「ああ、ニホンの学生服ですよね。まさか」
「ええ、そのまさかです♪近いうちにこれを着て頂きたいのですが…」
「嫌ですよ!!先輩みたいになりたくないです!」
テオは数年前にダニエルがセーラー服を着ていたのを思い出した。
「でも着るんでしょう?」
「大方アンタの呪いのせいでな!メイドもナースもチャイナもみーんな呪いだよ!呪いの使い方が間違ってるよ!よくそれで魔王に取り上げられないよな…」
そこまで言ってため息をついてしまった。
「いつもありがとうございます」
柔らかい笑みでダニエルは言った。
「趣味に付き合ってくれるのは貴方ぐらいしかいないですから。俺は最高の弟子を持ったんだなって思います」
「いえ、そんな…先輩は恩人ですし…」
調子狂うなあと思いつつ、テオは照れていた。
「お互い様ですよ。なのでこれからは貴方の趣味にも付き合います」
「それってつまり……」
「俺の趣味にも付き合ってくださいね♪」
「やっぱりそう来たかー!!」
テオの叫びも虚しく響くだけだったが、満更でもないと彼は思ったのだった。


[04] お天気キャスター
「うげ」
テオは見つけてしまった。知り合いの日本人からもらった雑誌に女性お天気キャスターの特集があったのだ。
これをダニエルに見つかったら…服を作り上げ、呪いや魔法で勝手に女装させられてしまうだろう。
「先輩には見せたくないな…」
と言いつつ別のページを見た――苺料理の特集である。苺をふんだんに使ったスイーツから加工品まで数ページあった。
それを見て、今日はイチゴサンドにしようと決めたテオであった。

[05] メイド
「やっぱり一番はメイドですね♪やはり貴方は最高のメイドです!」
「もうダメだ。悲しい事に慣れちまった…」
これで何回目のメイド服なのだろうかとテオは思った。
ちなみにテオのメイド服は彼の所持品ではない。ダニエルの所持品なのである。
「慣れてしまって良いんですよ?それだけ貴方が似合ってて可愛いということ。ついでに言えば、魔力が増幅され、強力な魔法で敵を圧倒できます!これだけ多くのメリットがあってデメリットなんて――」
「あるよ!!!恥ずかしいんだよ!!!」
男が女の服を着るというのは未だに恥ずかしいのだ。テオはあらゆる女性の服を着るが、決して女装家ではない。女装家ではないが、女装をさせられているのだ。
「恥ずかしいなんて言いながらトムと戦う時は堂々としてませんでしたか?」
「それとこれとは違うんです!仕方ないんですー!」
懸命に抗議するが無意味に終わってしまう。これからもテオはダニエルが飽きない限り、メイド服を着続けることになるだろう。

※知り合いの日本人はよその子です

配布元:http://99.jpn.org/

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