2024年7月14日フィンランド1人旅 【タンペレ】

6日目

8:30ぐらいに起きたと思う。
今日からまた移動を始める。行先はオウルかロヴァニエミ。まだ迷っていた。数100キロ先。まぁ大体券売機の前に立ってから決めるのでどっちに行こうかな〜ぐらいに考えながら支度をした。
とりあえず洗濯物をしようと思って外を出た時、相部屋の1人として泊まっていた日本人の方とエンカウントする。
このホテルに入った直後もちょっと話したからはじめましてではないけど、恐らく一人旅をしてる方とどういう距離感で話せばいいのかがわからなかった。挨拶させてもらって、お互い自己紹介した。この方はロンドンに社会人留学してて、サウナ目的でフィンランドに来たとのことだった。俺はニート金髪。キチィ。

その場で軽く話し解散。衣服を洗濯させてほしいと受付の人に伝えると2時間で5ユーロとのことだった。
それを承諾し、案内された所に家庭用ドラム式洗濯機が2つ置いてあった。
生乾きであったろう洗濯物を全部ぶち込み、洗濯スタート。それまでまたゆっくりする。
時間が経ち、あらかた洗濯も終わったかなってタイミングで見に行ったら洗濯物が乾いてなかった。どうやら洗濯だけで2時間かかる洗濯機らしい。
チェックアウトが11:00。もう間も無くだったので、とりあえず荷物を全部出し、受付の人に「乾燥だけさせてもらってもいいか」と伝えたら快諾。ちなみに乾燥は3時間かかるとのこと。

自由に使っていいとは言われたけど
勝手がわからないロビー1
自由に使っていいとは言われたけど
勝手がわからないロビー2


そしたらさすがに腹も減るから朝食を注文する。10ユーロでビュッフェスタイル。ハムがめちゃくちゃ好みだった。
朝食を貪っていると先ほど話した日本人男性がロビーを抜けて出かけるところだった。
もしかしてここで話さなかったらもう会わないかもと、思い切って声を掛けた。

気さくな方で、その後、1時間ぐらい話し込んでしまった(自分の話をすることのが多かった気がするけど)。
世代が近いかもと思ったら自分よりも2つ歳上の方だった。彼の名前は貫さん。

もし良ければユーロの試合を夜に見ないかという話になった。ユーロ?あーサッカーね!
ぐらいの知識の自分。後に聞いたけど今日は世紀の一戦らしかった。なんとなく今日は寝台特急で移動しようと思ってたからそのお誘いをありがたく頂いた。

出かけようとしてたところを引き止めてしまい申し訳ない旨を伝え、夜また集合しようとのことになった。

写真を見返したり日記を書いたり、次の街のことを調べたりしてるうちに過ぎてる。3時間なんてあっという間だ。畳むつもりで洗濯機を開けたらアツアツでビショビショの洗濯物が出来上がった。どうした?

思わず笑ってしまった。なんでこんな熱いのに濡れてんだよと。とりあえず洗濯物のシワを軽く伸ばし、畳んで袋に詰めた。いつになったら満足した洗濯が出来るのだろうか。


洗濯機


準備が終わり、いつでも出れるようになった時、受付の人に写真を撮らせてくれと頼んだ。快諾。この方はずっと明るい。そして何故か凄く言葉が聴きやすい。名前はエミリアという。
写真を撮らせてもらい、元気に挨拶して外に出た。さて夜までどうしようかな。スケートパークにはまた行きたい。

とりあえず街の方に出た。マックに入り日記の続きを書き始めた。マックのサワークリームダブルチーズバーガーみたいなの。読めないけど。これめちゃくちゃ美味い。
Wi-Fiも使えるしで、ここに長居したあと、外に出てベンチに座りながら缶ビールと煙草を吸って続きを書いたり、街の人を眺めてた。

ダブルチーズサワークリームバーガー
ショッピングモール


気が緩んでる時ってトラブルが起きる。

その後また腹が減り、目についた店に入った。「焼き」という店。
ビルに入ってる、どうやら中国人が経営してるらしい店。日本で例えるとフードコートみたいなもんだと思ってもらってもいい。
値段はいくつかコースがあったが、19ユーロで食べ放題らしい。けど、その値段にも選択肢があったから選ぶ品物を間違えるのが怖くて高いのを選んだけど、受付を抜けて広がるビュッフェを前にどこまで手をつけていいかわからなかった。だから、目の前にいた男の店員さんにスアミ語(フィンランド語)の翻訳で聞いてみた。

「Chinese?」と聞かれたので、うわごめん!気が回ってなかった!と思って翻訳を中国語にするも、その時ネットに繋がっておらず、言語をダウンロードしなければ使えなかった。あたふたしてると受付にいた女性が来てくれた。

その瞬間である。
男の店員が明らかな軽蔑をこちらに送ってきた。あのバカにされてる感じ。それを感じた。
いやいや被害妄想だよ疲れてんのかと思ったけど、テーブルに付いてもニヤニヤこっちを見てきた。本気でバカにされてると思った。

揉めるつもりはない。けど、ここで馬鹿にされたままは違う。
良くないことを考えてしまう。
誰かに馬鹿にされて、やり返されて、それが俺の友達だったから結局俺の身内が困るとかそういう心配がない。1人だしやられても痛い目を見るのは俺1人だけ。周りの友だちが困る。といった、考える必要がないことを考えてしまう。
そういうことではないのは勿論当たり前に分かっている。

ここまで会ったフィンランドの人たちに申し訳ないし揉め事を起こすなんて当たり前だけど良いわけがない。日本人はヤバいっていう、そこにいた人がこれから会うかもしれない日本人に対して悪い印象を抱かせてしまうかもしれない。
手を出したり暴言を吐くのは違う。

そんな選択肢は普段なら浮かばないのに浮かんでしまうぐらいにはイライラした。
店内の人や受付の人にまで困らせる。それに、その人は俺にとっては間違いなくクソな存在ではあるけど、誰かにとって大切な存在かもしれない。マナーの話。

ずっと葛藤しながら料理を食べてた。チラチラ見られながら。料理を取りに行った時もチラチラ見られた。で、その後ホールの人とこっちを見ながらなんか笑い話してた。不快だ。早く退店するか。それも違う気がする。

どうしようか迷い、目をずっと合わせた。睨むもしない。
チラチラこっちを伺うその目線に合わせて店員を見た。彼と5秒ほど目が合ったが先に向こうが逸らした。
それでも俺はそいつを見続けた。
料理を取りに行ったら何か話しかけられたけどシカトした。

これを読んで不快に思ってしまった人がいたらごめんなさい。

それからもそいつはずっとこっちを伺ったり俺のテーブルの周りを彷徨いたりしてた。本気で不快だった。その度に、目を逸らしても再度こちらを伺ってくる目線を逸らさないようにした。
全然満足してないけど帰った。
受付の人には「kiitos」と頭を下げて後にした。


次も意味がわからなかった。

ムカムカしたまま店を出て、道路を挟んだ先にあるマクドナルドの前を通ると視線を感じ、店内を見ると窓際に座ってる金髪の女の子二人組が俺に食いかけの口の中を見せてきてた。
それまでだったら笑って返せるかもしれないけど、気が立ってたのもあって、何もリアクションせずにその場を立ち去った。

どうなってんだよと思いながらベンチで煙草を吸い出すと、目の前に人が立った。

顔を上げると10歳ぐらいの子供だった。フィンランド語で何か話してくるが俺にはわからない。けど、ジェスチャーと単語から察するにタバコをくれと要求してるようだった。
後ろを振り返るとその友達らしき人もいた。

なんでこういうことが一気に来るのだろうか。
「NO!」と言ってスニーカーの裏でタバコの火を消して去った。

さすがに休みたい。
昨日とは違うダメージが来る。街のハズレまで歩いて休む。自分を納得させるために自分の言葉を生み出す。
そうだ、そうだよな。街なんて全員が良い顔するわけない。それがたまたま重なっただけかもしれないけど、そんな顔もするよな。
そしたら俺は夜までの間、俺が思った俺らしい表現をする。いいよな。
って気持ちで写真を撮りまくった。時に変な目で見られたりもしたが、関係ない。
俺はこの町でこんな表現がしたい。
やはり感情の機微で街の表情も違って見えてくる。
イラつきながら写真を撮り続ける。
すると、頭の無い地蔵2体を店前に飾ってる店舗があった。そしてその横に浮浪者が座ってる。めちゃくちゃ興味深くなったけど、撮らせてくださいとは、どうしても言えなかった。
この町で頭の無い像を見るのはこれで3体目。
歩みを進めると、由緒ある建物群で工事してるデカい重機をよく見かけるようになった。

3本目の500ml酒缶を買い外のベンチで飲む。携帯をいじって休んでると、謎の髭面の男がベンチに座った。何やら喋りかけてくるけど全くわからない。何かミュージシャンがどうとか言ってたけど、めちゃくちゃどうでもいい。
適当に流していたら、上下迷彩服で酒を持った男が目の前に立った。明らかな浮浪者だった。
髭面の男が何か話しかけると浮浪者がベンチに倒れかかった。これがアル中か〜と思った。
そこから2人で何かを話しだした。街行く人がこちらをチラチラ見てくる。席を離れようと思って立ったけど、写真を撮らせてもらいたくなった。ギャラは煙草。嬉しそうに吸う2人を撮った。

スケートパークに行こうとしてたことを思い出し、湖に向かう。足が棒のようだなんて言葉を聞くが、それよりも先に膝の違和感を覚えた。歩くために身体が機能し、朽ちるかもしれないことにいささな感動があった。


スケートパークに向かってみると、目の前の建物に消防車が停まっていた。煉瓦造りのマンションと消防車は合うなーと思って写真を撮る。顔を上げると、マンションのベランダから2人の子供がこっちに向かってピースしてた。またカメラを向け、自分からピースしてそこを去った。

スケートパークに着くと、ベンチにたむろするスケーター達の側で、果敢にトリックに挑戦するスケーターがいた。
遠くから写真を撮って離れた。
ある程度の時間が経ち、貫さんと待ち合わせる時間が近づいて来たので駅前に向かう。途中、ビルとビルの間でタバコを吸ってる子供がいた。さっき自分に声をかけてきた子供だった。間といっても普通に通路する人はいるぐらい広い。皆何も言わずにその場を通り過ぎていた。

約束した時間よりちょっと遅れて貫さんが着いた。
全く気にしない。その遅れも全く気にならないぐらい最高なロケーションだった。
パブリックビューイング、路面電車、まだ明るい外、ビール。
サッカー全く分からない自分でも分かるこの特別感。むしろ感謝してる。
正直、前半だけなら!みたいな連絡もしていたから電車の切符も買ってたんだけど物凄く後悔した。
乾杯し、試合前まで先ほどまでの愚痴を話した。海外ってそんなもんなんですか?
いやいやそんなわけないよ
立て続けに起こることは珍しいモノらしい。まぁ笑ってくれたからヨシとしとこう。

ビール


貫さんはサッカーファンで、進む試合を色々解説してくれた。
スペイン対イングランド。頂上決戦らしい。
試合途中、めちゃくちゃ酔っ払って絡んでくるおっさんがいた。自分はまったく喋れないから適当にしていても、貫さんが受け答えした。どうやらイングランドファンらしい。あちこちの席にダル絡みしていた。
前半は0-0。その間に次の電車に切符を取り替えてもらえないか、って話をしてくると席を立った。けど、その時はもうそんな気は無く、変えられなくても良いという気持ちで次の電車の切符を買うつもりだった。
電車のインフォメーションは閉まってるだろうし、自分はそんな手続きが出来ない気がするし、次の電車のキップを買っても後悔は無いと思った。未来の俺に一生のお願いをしてキップを買う。15ユーロほど高くなっていた。
確か10000円ぐらいした気がする。まぁいいだろ!オッケー!未来の俺なんとかなるっしょ!

戻って切符を買い直した事を伝えた。後半が始まってすぐビールを買いに行った。並んでるというか、店員と客が談笑してるのを落ち着くまで待ってると、外から歓声が湧いた。どうやらゴールが決まったらしい。見逃した〜〜〜〜!!

テーブルに戻ると「どこ行ってたんだよ〜!」と貫さん。
イングランド派のおっさんが周りに絡んでる時に、流れで後ろのテーブルに居た人たちとも喋るようになってた。
3人組で、1人は何か貫さんと仕事の話をしてて、もう1人がヴァイオリニストの方だった。
「インスタのアカウント交換しようぜ〜」と言われたので交換したらアカウント名がclassicalvaiolinistとそのまんまだった。

トイレに行くために席を立つと、イングランド派のおっちゃんがトイレに行く地下階段の側でまだ他の客に絡んでた。まぁ絡まれてる人が一応待ってるってことは並んでおこうと後ろで立ってると、自分より後に来た人がそのまま階段を降りて行った。行けんのかよ。
それを見た絡まれてる客が遂に中指を立てながらオッサンと話すようになった。俺は知ってるぞその中指の重さ。

ふとカウンターを見たら空いてたので、ビールを注文して受け取り、注がれたばかりのビールをテーブルに置いておいた。
まだ揉めてるおっさんたちの横を通り過ぎ階段を降りていく。地下のトイレに入ると、ちょっと時間が空いて先ほどの3人組の1人が降りてきた。
俺は英語もスアミ後も話せないよ
って言ったからか、ハイと笑って声を掛けられただけで、俺も返した。
階段を上がって、もしかしたら取られてるかなと思ってたビールを手に持ち席に戻った。

後半が始まってすぐに試合が動き、パブリックビューイングの前で酒を飲みながらソワソワした雰囲気になるテラス席はいるだけで楽しかった。ビールやショットグラスで盛り上がる人たち。なんなら歩道からも見てる人がいる。
自分は相変わらず貫さんからのサッカー講座を受けたり世間話していた。その時。客席がワッと湧いた。同点ゴールが入れられた。これでスペインとイングランドは1-1。
スペイン派だった貫さんは一点を入れられてしまった立場だけど興奮していた。世紀の決戦の後半でこの展開はアツい。

数十人いるであろう雰囲気の熱に触れて、ビールを飲んでサッカーを見て、路面電車が走ってる22:30頃。めちゃくちゃ楽しかった。

もしかしたら同点延長の激アツ展開もあるかも。なんて話をしながら後半残り5分。スペインが勝ち越しの一点を入れた。
これはみんなが湧いた。多分俺もおぉー!!って言ってたと思う。
テラス席も歩道にいた人も騒いでた。

そして試合終了。拍手や乾杯が響く。
恐らくイングランド派であろう人は立ち去る中、スペインのジャージを着てた人が立ち上がり手を広げ声を挙げていた。熱気よ。
画面の中で抱き合う選手たちと、勝利に喜ぶ人たちが抱き合ってる姿がリンクした。
後ろにいた3人組とも乾杯し、残りの酒を飲んだ。
これで延長まで行ったらもっとこの空気に触れられてたなとちょっと寂しかった。

ホステルまで貫さんを見送り、また東京で会おうと約束をして別れた。
夜行列車までの間、また街を撮りに行った。けど、明らかに昨日より人が少ない。そうか、祝日は日本だけか。明日みんな仕事だもんな。

イングランド派のおっさん

あと1時間以上待つ電車まで、マックの前やライブハウス、ホームレスに話しかけられたベンチ、頭のない地蔵など、一度行ったところを改めて散歩した。
恐らくこの街に来ることはもうないという実感を持ちながら散歩する感覚は不思議なモノ。写真を撮ったりタバコを吸ったりしてゆっくり過ごした。

搭乗時刻の30分前にはホームに入った。
夜行列車の傍でタバコを吸う乗客や乗務員らしき人。何度も体験してる旅の実感がまた湧いてくる。

AM2:00

中に入り、二階席の廊下側の席へ。隣のシートが空いてたらそのまま横になって寝る人が結構いた。交通機関のマナーだけはいわき市植田町並に悪いフィンランドスタイル。
これから乗り換えなしの12時間以上の電車旅。タンペレから800〜900キロ北上したロヴァニエミへ向かう。

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