言い訳の塊
"This race is over!!"
CP1(5.5km)までに集団ロストを繰り返し、先頭と30分差あると聞かされて、隣のガイジンは吐き捨てるように言い放った。
(いやいや!レースは始まったばかりでしょ〜!!)と内心呟いて、もちろん前を狙う気満々で自分はちょっとペースアップ。
こっちの気合を感じ取ったのか、彼も後ろからついてきた。なんだあ、案外根性あるじゃんかよ。ちょっとしたら彼は自分をパスして登り上がって行った。
TransJEJUは10/14に開催された韓国初の100kmレースだ。自分は50kmに参加した。TransASIAシリーズの一戦としても開催され、この国では最も国際色豊かなレースとなった。
済州島は朝鮮半島の南、九州の西側にある火山島で、その最高峰が標高1950mハルラサン。このレースはこの独立峰を一気に登り降りして、後半はフラットなトレイルを走るというコースレイアウト。
一見イージーに見えるコースプロファイルとは裏腹に、アジアのレースらしいカルチャーショック満載のカオスなレース展開となった。
マーキングが不案内でロストしやすいという事前アナウンスはあったものの、まず序盤の3kmほどで集団ロストが発生。その際に大会スタッフからあっちが正しい、いやこっちが正しいと同じ道を何往復もすることに。
その後に正規ルートに合流するものの、50km/100km中盤から後方のランナーの集団ロストにも遭遇。ここもマーキングが不明瞭で、行く道が不明に。現地で合流し二日間共に飲み食いし走りお世話になった"マンキ"が後ろからやってきて、正しいルートを教えてくれた。
ちなみにここではマーキングが見つからなかったのだけど、リボンはないけど突き進め!최고(チェゴー、最高)!って韓国メンバーと一緒に叫びながら走れたのは、半島を出よ読者としては感無量の瞬間でした。
CP1通過してCP2までの18kmはハルラサンの一本道をひたすら登って降りるというコースレイアウト。1400mUP一気にする練習は最近やってないので、あまりうまく登れないのは織り込み済み。
淡々と登っていくと紅葉と見え隠れする花崗岩の色合いが素晴らしく思わず写真をパチリ。
山頂は景色を楽しみたい思いを堪えつつ、仕方なくスルーして降りセクションへ。ここからは、ひたすら木段と固い岩場が続いた。なんかリズムに乗れないなあ、、、
さらに、ハイカーが多いとは聞いていたけれど、道幅一杯に横一列に並んで歩いてくるのには苦労させられた。
苦手な降りのサーフェイスとハイカーへの気遣いのダブルで集中力を消費してたら、どんどん足取りは重くなり、また捻挫や怪我もイヤだなという気持ちもあり、ペースは大幅にダウンして数名にパスされてしまった。まあ後半のフラットパートで巻き返せばいいやという考えでもあったし。
CP2からゴールまでは結果的には走りやすいコースレイアウト。CP4までに(後から分かったことだけど)2位だった長田(おさだ)くんまで捉える。
とりあえず集団ロスト組の冒頭のガイジンまでは追いつくっしょ!と声を掛けて、有刺鉄線激突&流血トラブルなどを乗り越えて二人でパックで進む。
ラスト5kmで、真っ直ぐか右に行くか不案内なマーキングが登場し、これどっちだろう?と迷ってるとハイカーのオバちゃんが真っ直ぐだと。信じて進むと、例のガイジンの姿が見えてきた。
辺りを見ればCP1と同じ場所で、スタートとゴールは同じ道を行くので、じゃあやっぱりこっちが正しかったのね〜と3人でヨーイドン!のどんぱちレースモードに突入。
が、それも束の間、なんだかマーキングがない、、、そして偶然にも目の前から大会車両がやってきて、こっちじゃないよと。
え、じゃあどのルートなの?って聞いてもコースが分からないと。レースディレクターに電話してくれてるけど不明瞭で結局ここでもコースを右往左往……最終的にハイカーのオバちゃんが教えてくれたのとは別の(そりゃ関係者じゃないし)右側のルートが正しかったと。
自分の判断ミスに拍車を掛けて、正直なところ他人のディレクションミスというのは倍くらい疲れる。最後の最後でまたロストしてしまう始末。
気づいたら長田くんと二人になっており、最後のロストで、こりゃ例のガイジンの彼が行っちゃったよねー後ろから見てたろうし、という認識になった。
最後の最後でまた階段が登場。うーん、前を追いかけたいが、最後調子乗って激しく降ったら怪我するやつじゃんかこれ。今日の下りは全然イケてないのは自分が一番よく分かってる。最後にいきなり何とかなる確率は相当低いぞ。
その後に控えたレースが頭をよぎって躊躇してたら、自分は前追いたいっす!と長田くんが激下り開始。あっちゅー間に消え去って行ってしもうた。
人生には3つの坂が〜じゃないけど、まさか〜と思ってゴールすると、やっぱり長田くんが一番だった。例のガイジン(お名前はJulian BAKERさんと後で知った)は、何と更にロストを重ねて3位で後から登場してきた。
何とも拍子抜けというかなんというか。しかしレースが始まればあらゆる要素がレースの一部。それをどう調理して消化するかは自分次第ですね。懲りずに前に進み続けます。
おまけ
前日はマンキ夫妻と共に豚肉ローディング!
からの、レース後に打ち上げ!お世話になりっぱなしでした。彼もレースを来年5月に開催するらしく。こういう繋がりが出来るのが良いですね。
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