夢を諦めて死んでくれ

 死にたくないょ。
 俺はまだ死にたくないょ。
 薄汚いエルデンやゴボブレやってる方がいいょ。
 エロRPGを作りたいょ。
 そんな気持ちにさせてくれる神ボイドラでした。

 別に子供の頃に限らず、眠るという事、意識を失い自我を手放すという事に対する恐怖を感じるのと同じかもしれない。
 死。
 いつか死ぬという事に対して真摯に向き合う事を強制させるような。
 そんな深みのある神ボイドラでした。

 過去形にしているけどちっとも進んでいません。
 ちっとも進んでいませんが、ちょっと進めたら「あ、これ案外そんなかかんなさそうだな」とも思わせてくれました。
 それでも指先が言う事を聞かないんです、リヴァイ兵長……!

 俺は何のために生まれてきたんでしょう?
 こんなゴミを編集する為に時間を使う意味は?
 人は何のために生き、何のために死ぬんですか?
 俺はもっと崇高な……エロRPGとかを作るために生まれたのでは?
 教えて下さいよエルヴィン団長!

 辛い。
 死に向かって闇雲にひたすら走り続けるのは。
 誇り高き肉片達の気持ち、ちょっぴりだけ分かった気がする。

 やはり足りないんだろうな。
 薄汚いゴミ共に薄汚い誇りとか生きる意味だとかを吹き込む悪魔が。
 それっぽい事をほざいて味方だの部下だのを地獄へ蹴落とす心の中のエルヴィン団長が足りてねえんだろうな。
 俺は半端に賢いからあからさまなゴミに対して意味を見出す努力を怠っているのだろう。
 自分への対話。
 己に対する詐術。
 これは明確な壁だ。
 よく考えればゴミボイドラに限った事ではない。
 これこそが俺の無意識が求めていた経験値か。
 やりたくねえ、でも、やると決めた事に対するスタンス。
 己を騙す技術。
 しかし俺は俺自身を偽りたくない。
 偽った分だけ無駄なストレスが体内に蓄積される事を知っている。
 もう十年以上若かったら強引にゴリ押しできただろうが、今の俺はそんなもん健康に良くねえ事を知っているからやらない。
 だからその基準を掻い潜った上で、己を騙すと言う結果に至るまでの最適なルートをよく見極めて殺さなければならないのだ。

 今日は、ゴミボイドラの編集に辿り着くまでに気づきがあった。
 優先順位だ。
 薄汚い何の得にもならないであろうゴボブレ、エルデン、ABEMA。
 やらなきゃならんゴミボイドラを差し置いてそれらをやる事。魂がそっちを優先していたという事実。
 今日が終わりかけているのになんか影の城うろついてたら川下って真っ暗闇の地下墓とかあんま嬉しいアイテムなさそうな場所見つけたり、なんか適当にうろついたらメスイキみたいな名前の人の場所に着いたり。
 そういう儀式が必要なのだ。
 試験前の勉強やるよりその辺に置いてある漫画読んでる方がマシとか。
 誰もが経験するはずだ、その本能的儀式を。
 簡単な身辺整理を終え、簡易的な死への心残りを消す。
 そうしなければ、ゴミボイドラは編集できないのだろう。

 もう時間だ。
 俺はちょっとだけ夢を諦めて死んでくる。


(本当は死にたくないょ……)

 





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