しっきー(id:skky17)が「LoLは日本人に合わない」と考える理由は何なのか

※この記事は2015年05月23日に投稿したもの

id:skky17 素晴らしいゲームであることは間違いないけど、日本人にはいろいろとハードルが高いよね。
LoLのようなe-sportsは、反射的なものよりも、状況判断の的確さを軸にして対人戦用のゲームを作っている感じがする。これはこれですごいことなんだけど。

LoLとは、Riot Gamesが提供する「League of Legends」のこと。
eスポーツの代表的なタイトル。
同時接続数は300万を超え、アカウント数は7000万を超える化物タイトルである。
よって、日本はRiot Gamesにさっさと侵略されるべきなのだが、まだまだ米国の侵入が浅い状態。

さて、しっきー(id:skky17)のLoL評からは、大なり小なりLoLを知っていることが読み取れる。
実際にプレイした経験を匂わせるレビュー。
もっとも、LoLはeスポーツだから、実際にゲームをプレイしている必要はないが。

しっきー(id:skky17)は、LoLを以下の様にレビューしている。

LoL(league of legends)なんかは、和ゲーのいいところをしっかり吸収しているし、非常に優れた作品なんだけど、日本人にはあまり馴染まないと思う。なぜなら、ゲームの発想が、「俺TUEEE」でも「ぬるま湯に浸かっているような努力」でもなく、対人を前提としたスポーツだから。
lolはいいゲームだけど、あんまりスポーツって感じで盛り上がらないよね。


ドラクエとモンハンがゲームなのかどうかはさておき、いくつかおかしい点がある。
まず、しっきー(id:skky17)のスポーツ観が怪しい点。
それに、敵と味方のChampionが入り乱れる場面で、LoLは大いに盛り上がる。

しかし今回は関係がない点だから、いい。
今回は、しっきー(id:skky17)の「LoLは日本人にはあまり馴染まないと思う」の箇所。

誰もが思い付く理由は、「日本にLoLのサーバーが提供されていないから」という問題。
日本法人の「ライアットゲームズ」が立ち上がる2014年の4月頃から、既に日本サーバーの登場は噂されていた。


しかし未だ実装されず。
だから、日本人がLoLをプレイするなら北米のサーバーに接続せざるを得ない。
当然、英語が必要になる。
MOBAは味方とのコミュニケーションが要るから、英語でのやり取りが求められる。
インストールもチュートリアルも全て英文。
最低限の語学力、もしくは自分で和訳を調べる力が必要になる。

「日本人にとって英語の壁は高い」というのが、日本人に合わない理由か?

だが、こんな初歩的な理由をしっきー(id:skky17)が挙げるとは考えにくい。
次に、「日本人は協力型のゲームが好きだから、対戦型のゲームは合わない」という仮説。
「日本人は農耕民族だから作業ゲーが好きで、人と争うゲームは嫌い」といった、よくある日本人論。
そして後に続くのは「日本でeスポーツは根付かない」という戯けた結論。


これか?
「対人を前提としたスポーツだから」か?
だがこれだけでは理由として弱い。
なんとなく「日本人は対人戦を好まない」と思いがちだが、本当にそうか?
この辺の日本人論は憶測の域を出ておらず、LoLも国内サーバーが無いのに、日本人はそれなりに居る。
対人戦のFPSにも、格ゲーにも人は居る。


全体の比率を考えれば、対人より協力の方がユーザーが多い、という話か?
それなら日本人の性質を変えるまでだが。
大体、対人戦が好きか嫌いかどうかの判断は、まずLoLに触れてもらわなければ始まらない。
eスポーツだ、eスポーツだと喧しいのも、まずは対人戦のゲームを知ってもらう為だ。
LoLの存在すら知られてないのでは、合う合わない以前の問題。

ではここで、別の方向から考える。



「ソーシャルゲーム批判」でしっきー(id:skky17)は、「ゲームとは冗長性を縮減するもの」と定義している。
「冗長性を縮減」は便利な考え方で気に入ってるのだが、何でも応用が効いてしまう為、多用は控えたい。
だが今回は、この「冗長性を縮減」を使って、まずはLoLの基本を押さえる。

RPGの面白さはどこだ?
RPGを楽しむ人間は、どの部分で快楽を得ているのか?

音楽?
ストーリー?
グラフィック?

いや、もっと地味な作業だ。
地味な作業の積み重ねだ。


敵を狩ってレベルを上げる。
敵を倒して金を稼ぐ。
冒険で得た金でアイテムを揃える。
パーティとの構成を考える。
自分が歩くマップの状況を把握する。
どのスキルを強めていくか考える。

RPGの作業は、本筋のストーリーを進める為の過程だ。

中には本道そっちのけで、ひたすらレベルアップに勤しむプレイヤーも存在する。
ひたすら数値を増やしていくのは、RPGというジャンルの醍醐味らしい。


しかしRPGはあまりに冗長。
作業だけを楽しむにも、ストーリーやムービーが付いて回る。
クリアまで一体何時間かかる?
10時間か、100時間か。

そんな冗長なRPGを縮減し、美味しい所を切り取ったゲームがLoLである。
LoLはMMORPGの集大成だ。
日本人でも、MMORPGのプレイ経験があるなら、LoLにすぐ馴染めるはず。
「これはネトゲに似てる」と直感するだろう。


LoLは一試合に、30分から1時間かかるスポーツ。
ではその30分間に、何をするのか?

まずショップでアイテムを買う。
自分のChampion(使用キャラ)のスキルを習得する。
敵のMinion(雑魚敵)を倒す。
敵から経験値とGoldを得る。
Championのレベルが上がると同時に、自分でスキルを強化する。
稼いだGoldで、武器、防具、回復アイテムや探索アイテムを購入する。
最終的に、敵のNexus(陣地)を破壊すればゲームクリア。

他にもやれることはたくさんあるが、省略。
やっている作業は、MMORPGでよく見る光景だ。


では、MOBA(LoL)とMMORPGは何が違うのか。
一番の違いは、LoLはPvP (Player versus player)だということ。
人対人のスポーツである。
5on5で戦うeスポーツである。

もう一つの大きな違いは、データが残らない、ということ。

少し前に、「GameCast iPhone」というスマートフォンのゲームメディアが、ある調査をした。

10代中盤〜20代後半の100人にアンケートを取った所、「成長し続ける楽しさ」がゲームに求められているのが分かった。
eスポーツとLoLはまさに「成長し続ける楽しさ」が肝であり、この10代中盤〜20代後半にはeスポーツの適正があると思われた。

だがその調査結果を読み進めると、どうにも話が違う。
ソーシャルゲームにおける「成長し続ける楽しさ」とは、ゲーム内のキャラクターが成長する、ということだった。

ゲーム内のキャラが強くならないのは不満らしい。

また、リセットが嫌われていた。
何時間もかけて強化してきたキャラクターのステータスが、リセットされて0になるのが嫌われている。


ここか?
しっきー(id:skky17)が「LoLは日本人に合わない」と考える理由はここか?

LoLで使用するChampionは、最大レベルが18だ。
敵のMinionを倒し、経験値で上がるレベルは18が限界。
レベル18までにかかる時間は、長くても1時間。

平均的なRPGに比べ、カンストまでの時間が異様に早い。
強いアイテムを入手するまでの時間も、ゲームをクリアするまでの時間も、早い。
MMORPGが持つ冗長性を、30分に縮減しているのがLoL。
RPGが持つ作業的な楽しさを、美味しい所取りしてSummoner's Riftに詰めているのがLoL。

楽しくない訳がない。
RPGの快楽が詰められている上に、対人戦まで実装されてるのだから。


しかし、LoLはリセットも早い。
LoLは、試合が終わればChampionのステータスがリセットされる。
Championのスキル、レベル、獲得した装備はオールリセット。

つまり、セーブデータはゲームに保存されるのではなく、ゲームのプレイヤー自身に蓄積される。

ここが、日本人に合わない理由なのか。
いくら時間を使おうが課金しようが、下手なプレイヤーはいつまでも下手なまま。

LoLは、Championにデータが蓄積されていかない。
よって、頼れるのはプレイヤーの腕と経験のみ。
しっきー(id:skky17)は、「日本人は自分の育てたキャラクターがリセットされるのを極端に嫌う」と考えているから、LoLは日本人に向いてないと言っているのか?

ここから余談。

ただ、コツコツレベル上げをしたりリセマラができるというのは、和ゲーのエートスと言ってもよく、グローバル・スタンダードに多くの文化が脅かされている中、こういった独特の指向を持っているというのはどう考えても喜ばしいことだと僕は思う。

全く喜ばしくないと、id:Bakabotは考える。
洋ゲーのRiot GamesとValve Softwareには、一刻も早く日本に攻めて来て頂きたい。
対人戦のゲームが広まるのに、ガンホー(パズドラ)とスクエニ(ドラクエ)は邪魔である。
カプコン(ウルトラストリートファイターIV)はいい。






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