見出し画像

イン・ザ・マルチバース・オブ・マッドネス

(バカ公園・夢)

バイトに行くために電車に乗った。
中途半端な時間帯だったので電車は空いており、席にすわることができた。
久石譲から音楽の才能を取っ払ったような爺さんが、数駅後に乗り込んできてなぜか僕の隣に座った。
他に乗客は数人なので空いている席はいくらでもあるのに。
夕方から雨の予報だったので、僕はビニール傘を持っていたのだが、譲はその傘を指差して、「ノックダウンシールドを発見。レベル1だ」と言った。
こわ、と思った。

バイト先に到着して身支度を整えながら、
見るともなしに事務所のテレビを見ていると
ワイドショーで、どこかの大きな公園の紹介をしていた。
「見てください〜!龍脈の気を十分に吸い込んだ百合の花が満開を迎えていますよ〜!」
リポーターの後ろに広がる、怖いくらい真っ白な百合畑。
カメラがぐーっとアップしていくと、一面の白は百合ではなく、蚕だった。
ものすごい数のお蚕様。
(百合じゃないじゃん)と思っていると、リポーターが
「百合なんだよ。そういうことにしといてくれよ(^_^;)」と言ってきた。

ちなみにこの日のバイトの内容は、
スマブラの試合中にファイターに声援を送るバイトだった。
生で有名なゲームキャラクターの姿を拝むことができるので、
けっこう美味しいバイトだ。
とはいえ、楽かと言われるとそうでもない。
技が飛んできて危ないし、空中に浮かんでいるステージの場合は結構寒いし。
時給はナイススティック1本。16時間拘束されるので、16本。
ナイススティック16本。稼ぎとしては、まあまあってところか。

バイトで一緒になって仲良くなった佐久山猪口二郎さん(38)に
「君、才能あるよ」と言われた。
「何のですか?」と聞いたら、
佐久山さんは
「明後日、教えてあげるから。駅前の星乃コーヒーに13時でいい?
あと、ディアトロフ峠事件の真相も知っているんだ」
と言ってバイクにまたがり走り去ってしまった。
才能がどうのこうのより、
ディアトロフ峠事件の真相だけでもこの場で聞かせて欲しかったし、
どこの駅前の星乃コーヒーなのかも教えて欲しかった。

明日はYoutuberの撮影で「ドドン」とか「オッ!」とか「イェ〜イ」とかやるバイトなので早く寝よう。
チャンネル登録、高評価よろしくお願いします。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?