役者が揃った『MIU404』はメロウなエンディングへ向けて

MIU404の第七話、野木亜紀子の真骨頂のような、ギッチギチに詰められた、でもそれを感じさせない凄い回でしたね。時事ネタであるウーバーイーツの挟み方も全話の中で一番気持ち良くて、一番好きな回でした。
正直、MIU404は、面白いのだけれど、演出なのか何なのか何かが欠けている感じがあって面白いけれども、『アンナチュラル』と比較するとやや落ちるなと思っていたのですが、やっと役者が出揃った感が凄いです。
第七話という、連続ドラマの中盤で遊ぶという定石に沿って、これまでとはちょっと作りが違って、トランクルームで死体が見つかるという事件と、陣場さんが休日に息子の結婚相手の家族との食事会という関係ない二つが交差していくという展開。その中で、逮捕されずに逃亡生活を続けることの割の合わなさを、捕まっていたら早く出所できていたとか、雑誌の写真の人の目すら隠すようになってしまっているとかそういうところをきちんと描いている。
それに加えて、家出少女たちを泊めようとする男の危険性なども啓蒙する。
で、この逃亡できてしまった成田が最後に入ってきて、この逃亡犯になりかけている様子を対比として配置する。
菅田将暉の演技とか、多くは語らないけれども確かに悪である『JOKER』じゃないほうのジョーカーっぷりが凄まじい。
演出といえば、テレビっ子なら、陣場さんが出かける前に、古い照明写真のようなものを見るシーンから、NHKのノーナレでの「ミアタリ」を思い起こさせる。
僕はテレビでの説明的なセリフが大嫌いなので、そのあとの陣場さんの「指名手配犯」というセリフも邪魔だったんですけど、物語でフィーチャーされないであろう、陣場さんの逮捕術が全て古臭いプロレス技というのはとてもニンが滲み出ててよかったですね。
陣場さんは今58くらいの設定になるかと思うんですけど、絶対、アントニオ猪木信者ですよね。子供の頃からの筋金入りのプロレスファンで、低迷期もしっかりと応援しつつ、でも無駄に古参ぶらず、棚橋やオカダとかそういう若い世代の台頭も喜んでいるタイプ。でも仕事が忙しいから試合には行けないんだけど、たまにプロレス特集とかのテレビを見て、若い女性がかんきゃくにいることを知って驚いてて、噂で聞いた、『有田と週刊プロレスと』を見たくなったけど、機械オンチだから、息子に頼んでAmazonプライムに加入してるみたいな。
陣場さんの日常は置いといて、第六話で志摩の過去も回収されたことで、やっと最終話に向けてこっからさらに加速されていくと思うとたまんないですね。

ところで、キングヌーの井口が殴られたシーンで、笑ってちょっとスッキリしたのは僕だけでしょうか。

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