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【2019年12月18日・未来のBUTAI #8】2020年、ブロックチェーン革命は花開くか

「未来のBUTAI」は、浅草橋の『インキュベーションスペースBUTAI』で開催されているイベントプログラムです。
The First Stage for Any Innovator(あらゆるイノベーターにとっての最初の舞台)というコンセプトのもと、参加者の皆さんの次なる1歩のきっかけとなるコンテンツを提供しています。

2019年12月18日に行われた第8回目(最終回)のテーマは『2020年、ブロックチェーン革命は花開くか』。

2014年にビットコインの可能性に惚れ込み、ブロックチェーン業界の情報発信を精力的に行っている平野淳也氏をゲストにお招きし、弊社bajji CEO小林と「ブロックチェーンによって世界はどうなっていくのか、ブロックチェーンを活用したイノベーションは起こるのか」等ディスカッションいたしました。

会場には幅広い年代の方々にお集まりいただき、後半の質問タイムでは興味深いアイディアと意見が飛び交いました。

登壇者プロフィール

平野 淳也 (ひらの じゅんや)氏
株式会社 HashHub CEO

1991年生まれ。
大学時代に創業した服飾事業を譲渡後、2014年から暗号通貨業界に参入。
世界中を旅しながら海外のブロックチェーンカンパニーやVCなどに取材し、自身のブログやオンラインコミュニティで情報発信を行う。
2018年に業界初のブロックチェーン専門のコワーキングスタジオ株式会社HahHub(ハッシュハブ)を本郷三丁目に共同創業、2019年にブロックチェーン専門のリサーチ配信事業を合同会社d10nLab(ディーテンエヌラボ)として法人化。

自己紹介・会社紹介

小林:今日はどうもありがとうございます。
最初に弊社bajjiの紹介、次に平野さんのHashHubの紹介、その後対談という形で進めさせていただきたいと思います。
まず簡単な自己紹介から。
私は株式会社bajjiを創業したんですが、これが7社目の創業でして、6社目もブロックチェーンの会社をやっておりました。
シンガポールなどアジア圏に6年ほど住んでいて、昔はそこで会社をいくつかやっていました。
このBUTAIというコワーキングスペースの後ろがbajjiのオフィスになっています。

弊社のbajjiというサービスについて少しご説明します。
みなさんいわゆるWeb2.0(※)のサービスを使っていらっしゃると思うんですけど、中でもSNSの登場によって、人と繋がりやすくなった、出会いやすくなったというメリットがあると思います。Twitterで情報を公開すると、リツイートなどでドーンと世界に拡散される可能性もある。ただ、その情報はフェイクである可能性も十分ある。
(※Web2.0…明確な定義づけはされていないが、一般的には、2000年代中頃以降における、動的で双方向的な技術を用いてリッチなユーザー体験をもたらすユーザー参加型のWebのあり方を指す)

また、Facebookは、20億人の人がつながっていると言いつつ、最近は村の掲示板状態なんですよね。私は2,000人の人とつながってるんですが、タイムラインには数十人くらいの情報しか流れてこない。
同じ村・コミュニティに住む人たちのニュースを見て楽しむっていうローカルな使い方になってますよね。世界の20億人の人たちとつながっている気がまったくしない。

今、自分にとって本当に重要な情報や重要な人を見つけるのは難しいとすごく感じています。
なぜかというと、これによってインターネットサービスが世界に広がったという利点もありますが、無料無制限のフリーミアムモデルによる弊害が起きているからだと思っています。

二つ目の理由としては、不確かすぎることが挙げられます。
例えばFacebookなどで共通の友達を何十人もサジェストされた時に、友達の親友なのか、実は数年コンタクトすらとっていないのか、わからないような人たちの顔写真が並んで表示されます。本当のことはデータとしては見えてこない。

他には、例えばLinkedInとか見ても、全ての情報が自己主張なので、基本的にいいことばかり書いている。その人の本当のところはなかなか見えない世界なのかなと思っています。

なので私たちは、そういう状況や変化も踏まえて、例えば「名刺をアップデートしたい」と思っています。

名刺はここ100年進化してないんですけど、名刺のように一枚見るだけでその人の歴史・軌跡・経験値・信頼関係などを見えるようにできないかなと。

それを今ブロックチェーンを使って作って提供している、という状況です。

単純化すると、人と出会うためのSNSとも言えるかもしれません。

未来を変えるような新しい出会いを増やしていきたい、今日のこの場所もそういう出会いの一つの場で、こういうのを増やしていきたいなと思っています。

じゃあどうやってその人の人生の軌跡だとか信頼関係といったようなものを見える化するかというと、弊社のサービスでは三つの要素でそれをやろうとしています。

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一つ目は、「エンカウント」といって、リアルに会うことです。

例えばUberEatsでは、親指で3回くらいタップするどマクドナルドが目の前にやってくるわけですが、それとは逆の発想で、リアルに会わないことには全ての機能・サービスを使えないようにしようと。

SNSの画面の右端に人のリストが表示されている時に、特にTwitterのフォロワーリストは、友達なのか会ったことがある人なのかもわからないんですけど、bajjiの場合は絶対にリアルで対面してコミュニケーション取ってない限りはコネクションリストに上がってこない。

リアルで会ったという関係性のもとに、bajji上の全ての機能を使えるようにしています。

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そして、無料・無制限というのは先ほど述べた通り弊害を生む可能性があるため、その反対の有料・有限でやっています。

エンカウントした人にだけbajjiを贈れる。

bajjiという名前の由来は胸につけるバッジからきているのですが、人に対して感謝を示したり、「あなたのこういうところがすごいね」とか、「あのプロジェクトよくやりきったね」とか、そういったものをbajjiにして贈ることができます。

贈るためには自分で費用を払って贈らないといけないので、ギフト的な要素もあります。

具体的にどんなbajjiがあるかというと、「志」とか「Stay hungry stay foolish.(スティーブ・ジョブズの名言)」とか、「世界中どこでも生きていける人」だとか、「美しいコード」だとか、「動く人」はどうにかしてくれる人だとか、こういったものをストアに並べて販売しています。
それを、お互いに贈り合う。

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それで例えばこんな風にもらったbajjiを一覧で表示できるんですが、bajjiの集合体というのがその人の歴史であり、人生の軌跡を一瞬にして表すことができるんじゃないかなと。

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この「エンカウント」「bajjiを贈る」「bajjiをもらう」という三つの要素を活用して、「bajjiキセキ」という定量的な数値を計算しています。
この三つの数字を計算式に代入すると、bajjiキセキの数値が出てきます。
(図の例では、エンカウント:365、贈った:168、もらった:102、bajjiキセキ:19038)

この数値が大きければ大きいほど、いろんな人に出会い、いろんな人と賞賛し合い、正のスパイラルに入っている人なのかなと推測できるわけです。

その計算式も公開していますし、誰と誰が会って、どうbajjiを贈り合っているかというのも公開されています。
こうしたキセキを算出することによって、それぞれの人の良さ・すごさ・面白さを可視化・定量化しようとしています。

「実際にbajjiを買う人がいるのか?どうやって買ってもらうのか?」と思う方もいるかもしれませんが、その点ではインセンティブを設定しています。

弊社はbajjiを販売することで売上収益を得ているのですが、この収益の一部をリワードとして、キセキの数値の高さに応じてユーザーに還元しています。

なぜリワードとして還元しているかというと、bajjiの数値が高い人は人にプラスの影響を及ぼしている人であり、その人は賞賛に値するとして表彰しているような形です。
その副賞としてリワードがもらえると。

ターゲットとしては、フリーランスの方や、スタートアップで働いている人、インフルエンサー、大企業だと新規事業に携わってイノベーションを起こそうとしている人で、そういった人たちに使ってもらって、その人たちの良さ・すごさ・面白さや軌跡を見える化していこうと思っています。

先ほど名刺のアップデートと言いましたが、名刺を配る代わりに、bajjiの自分のページをパッと見せるだけで、それぞれの生きてきた足跡や軌跡がもっとよくわかるんじゃないかと思います。

ここで、なぜ当社がブロックチェーンを使っているかというと、データをフェアに保ちたいからです。

今やFacebookでも、タイムラインの情報を改ざんするということが起きてしまっていますが、ブロックチェーンにこういう軌跡を刻めば、弊社でさえ改ざんできないフェアな状態を保つことができます。

頑張りを蓄積して定量化して見える化する、人と出会うためのSNSがbajjiです。

もうちょっとブロックチェーンを使う意義を因数分解したいと思います。

ブロックチェーンやブロックチェーンサービスの特徴としてよく挙げられるのが、トークンエコノミー、改ざん耐性、非中央集権などがあると思います。

トークンエコノミーは、仮想通貨・トークンを配ってサービスを活性化させようというものですが、金融の規制対応が非常に重たくなってきます。
それを回避するためにはどんなビジネスデザインが必要なのか考えないといけない。

改ざんできないというところで言うと、学歴の証明だとか、何かをしたことの証明に使われる例が最近出てきています。

非中央集権ですと、送金手数料の安いフィンテックを作れたり、誰に取ってもフェアで中立的なデータベースを作ることができるため、物流などに応用できるのではないかという話があります。
利害関係が対立しているようなところにはブロックチェーンがハマりやすいのかなと。

ブロックチェーンにはこれまで見えなかったものを可視化できるという特徴もあります。
弊社の場合は、人と人との関係や人生の軌跡を可視化しています。

これまで見えなかったものを可視化する際に、自社データベースでこんなにすごいよと言ってもひとりよがりな自己主張になってしまいますが、それが第三者データベースのブロックチェーンから来るのであれば納得感があると思います。

あと、DApps(decentralized applications/分散型アプリケーション)という、ブロックチェーンを用いたサービスやゲームを提供するアプリがありまして、これは、トークンを配ったりインセンティブを付与してアプリを盛り上げようというものです。

DAppsには、コインユーザー、サービスユーザー、投資家、マイナー(パブリックチェーンの場合)、規制当局といった多様なプレーヤーが存在します。

普通のスタートアップのサービスの場合は、サービスユーザーと投資家(株主)の二つしか利害関係者がいないんですけど、ここにコインを加えると、コインユーザー、マイナー、規制当局も追加されて、利害関係者が一気に5個になるんですね。
すると、サービスのグロースが非常に難しくなる。

当社がどこでブロックチェーンを使っているかというと、エンカウントしたりbajjiを贈ったりという行動が確かにあったよということを、ブロックチェーンを通じて間接的に証明するという使い方をしています。

インセンティブとしてリワードを付与する際に、弊社の場合は仮想通貨やトークンを付与していません。
それをやろうとすると、KYCや仮想通貨交換業登録などが必要になってしまう。
そうではなくて、ブロックチェーン側とデータトリガーは切り離しており、IT側の処理でポイントを買ってbajjiを購入します。
このポイントは、資金決済法の規定で180日で失効します。

bajjiというのはトークンでできていて、贈ると、トランザクションとしてブロックチェーンに刻まれます。
そこで二つを並行して走らせることによって、仮想通貨でもトークンでもなくブロックチェーンをデータ処理として使っていると。

リワードもトークンではなくて、期限が来ると失効するようにしています。
このようなサービス設計により、規制をクリアしています。

こちらがシステムの構成図です。

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この図の上側がbajjiアプリですね。
アプリの中で人と人がエンカウントしたりbajjiを贈り合ったりしていて、このプライベートなところはIT処理しています。

その中の行動の事実だけを、図の下側のパブリックブロックチェーンに刻むことによって、エクスプローラー(仮想通貨の取引記録を確認できる検索ツール)から第三者が確認することができます。

そういう形でパブリックブロックチェーンを使っています。

トークンエコノミーを法令遵守させる形で上手く機能させるには、普通のトークンを使う場合はKYCと交換業登録をしないといけないし、電子マネーの場合は資金移動業の登録が必要、ポイントを配る場合は前払式支払手段に該当するので資金決済法にしたがって残高の半分を供託しないといけない。

T-POINTが世の中に100億円発行されていれば、その半分の50億円を供託金として積まないといけないという規制があるんですね。

しかし、飲食店に行った時にもらえる次回来店時ドリンク一杯無料チケット、これは何の規制もないんですね。規制なく進めていくことができる。
こういった規制状況の中で弊社は、起こった事実をブロックチェーンに刻んで、ブロックチェーンの中立性を上手く利用しつつ、インセンティブを確保したいと。

それで先程言ったような形にすることで、規制の対象外できちんとした形でサービス設計できています。

bajjiは現在webアプリのみで提供していますので、後で是非チェックしていただけたらと思います。

▼興味をお持ちいただけた方はこちらからご登録できます!
https://bajji.life/(スマホ版のみ)


濱田:続いて平野さんからHashHubのご紹介をお願いします。

平野:初めまして、HashHubの平野です。
HashHubは120%ブロックチェーンにフルベットしている会社です。

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自分たちではブロックチェーン・スタジオ・カンパニーと呼んでいます。主に日本のブロックチェーン企業に対するコンサルティングから開発まで、それからブロックチェーンのスタートアップに特化したコワーキングスペースの運営をしています。
その他、たまに投資をさせていただくといった形です。

それからd10nLab(ディーテンエヌラボ)という有料リサーチプロバイダの子会社を持っていて、ブロックチェーン業界のリサーチレポートを有料で配信しています。
業界内で有料リサーチを配信している中では国内シェアTOPかと思っています。金融機関などにもご購読いただいています。

今回、まだあまりブロックチェーンに親しまれていない参加者の方もいらっしゃるようなので、ブロックチェーンについて簡単にご説明します。

ブロックチェーンには色んなコンテキストがあって、BitcoinやEthereumを中心とした分散型のパブリックブロックチェーンや、企業の業務効率化や銀行の裏側のシステムに使われるプライベートブロックチェーン/コンソーシアムブロックチェーンなどがあります。

最近ではこのパブリックブロックチェーンvsコンシーシアムブロックチェーンという対立構図で、宗教戦争の様相を呈することもあります。

実際技術的には似たものを使っているけれども、パブリックチェーンとコンソーシアムチェーンではビジネスの組み立て方も周りにいるプレーヤーも全然違います。

自分たちはパブリックもコンソーシアムもどっちもやっています。

直近のお客さんとしては金融機関が非常に多くなっていて、売上収益の約7割は銀行やブローカーディーラーや証券会社からいただいています。

ただ、Bitocoinとか分散型〇〇といったDecentralizedな世界に全く興味がないわけではなくて、むしろ個人的にはそこを入り口としてこの業界に入ってきたし、当然そこで何かしら作るということも考えています。

会社として「Building Choice(選択肢を作る)」というビジョンを掲げています。

ブロックチェーンとはどういった技術かというと、これは一側面にしか過ぎないのですが、Bitcoinに関していうと、大きい選択肢なのかなと僕は思っています。

この会場にも資産運用をされている方たちがいらっしゃると思うんですが、資産には日本円・ドルなどがあって、僕たちの会社も日本円やドルを稼ぐために必死になっている訳ですが、日本円やドルがあまり健全なアセット(資産)には思えないんです。
100年後にもこれが価値あるのかというと、結構疑問。

そこでBitcoinという新しい選択肢が生まれたことは、自分にとってすごく嬉しくてインパクトのある出来事でした。

それと同じような話で、これから、銀行に預ける以外で自分のお金を管理する選択肢であったりとか、あなたの個人データをどういう風に管理しますかというところで新しい選択肢が生まれたりとか、それぞれが信用するネットワークを作れるまたは参加できる選択肢が生まれると思っています。

そういった選択肢を作る人になりたい、もしくは作る人たちを支援する企業になりたいと思っています。

コワーキングスペースは東京の本郷三丁目にありますので、お時間のある時にお立ち寄りください。

今今では企業案件であったりとか、カタめの産業の裏側にいることが多くて、NDAの関係上表に出せない情報などもあります。

中国のデジタル通貨とFacebookのリブラ

濱田:ありがとうございます。それでは早速、「ブロックチェーン革命」というテーマで、まずは世界と日本の状況の違いからお話を伺いたいと思います。

平野:世界と日本の違いというと、最近多くの人が興味を持っているのは、やはり中国。
中国の習近平国家主席が、ブロックチェーンが非常に重要な技術だと発言しました。
いわゆる仮想通貨・パブリックブロックチェーンの形ではなく、金融産業でブロックチェーンを使っていく動きが中国ではすごく多いです。
国家の戦略として、中央銀行が発行するデジタル通貨というのも、おそらく世界で一番早く、むしろ数週間後くらいには出てくるのではないかというスケジュール感で進んでいます。

僕たちも色んな企業さんたちとコンサルティングや開発をさせていただいている中で、世界中の事例を調べていますが、中国がダントツでプロダクションのスピードも速いし、実証実験なんていうレベルじゃないくらい、すでにブロックチェーンを製品レベル化し、その上で数千億円から何兆円という規模の流通が行われている。そういう金融インフラもブロックチェーンで作られているというのが中国ですね。

小林:中国もすごいですが、Facebookのリブラはどうなると思いますか?

平野:どうなるんでしょうね。個人的な興味関心は、リブラよりは中国のデジタル通貨に移っていますし、客観的に見ても重要なトピックはそちらに移っていると思っています。

Facebookのリブラは6月にホワイトペーパーが出て、いろんな国の中央銀行やアメリカ議会から嫌な顔をされていますが、なぜ嫌な顔をされているかというと、結局、Facebookが大きすぎるからなんですね。

ちょうど最近、日銀の黒田総裁のプレゼンの一部にFacebookリブラの何が問題なのかを指摘する箇所がありましたが、結局Facebookは20億人のユーザーを抱えていて大きすぎるという話がありました。

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(画像引用元:日本銀行「決済のイノベーションと中央銀行の役割 ―― ステーブルコインが投げかけた問題 ―― 創立35周年記念FISC講演会」 )

実はリブラみたいなことは、Facebookが初めてではないんですよね。
リブラって、法定通貨をカストディ(保管)して流通量を増やして、溜まった手数料をステークホルダーにあげよう、といったような、すごくシンプルなビジネスモデルなんです。

それは、既に仮想通貨業界で散々行われています。
TetherやUSDCといったステーブルコインというものが既にあります。
ただ、なぜそれらはそんなに怒られず、Facebookがめちゃくちゃ怒られるかというと、規模の問題でしかないと。

今のステーブルコインって、例えばTetherは流通金額が5,000億円くらいなんですが、それくらいの規模しかないんです。そこから金利3%とかを稼いでいると。
一方、Facebookだと規模が違うので、議論を呼んでいる段階です。

やはりそれを実現するのは、すごく難しい。
それで彼らは、議論を呼んだ中で、デジタル通貨というものの出現を早める役割を果たしたのではないかと思います。

そして今、そっちのトピックの方が熱くなっているのではないかと思っています。

小林:デジタル通貨とリブラはどういう違いがあるんでしょうか?

平野:デジタル通貨は、中央銀行が発行する法定通貨をそのままブロックチェーン上に乗せましょうという取り組みです。中国がもうこれを始めようとしていて、アメリカや日本は現実的ではないのですが、他にもシンガポールやイギリスなど、様々な国が前向きに検討しています。

小林:Facebookのような企業ではなく、国家という単位でやれば、その国は当然反対しないわけで、そこが違うという事ですかね。

平野:そうですね。今僕たちが使ってる日本円やUSドルがある程度安定しているのは、中央銀行が色々頑張っているからなんですね。金融緩和したり引き締めたり。

それで、リブラがやろうとしていることは、法定通貨をカストディすることによって、その安定性を法定通貨からもらい、自分たちは流通だけして金利をもらおうとしている。
公共資産を自分たちで使おうとしている。
中央銀行の実務者から見れば、そういう風に映らざるを得ないんです。
(各国当局が多大なコストをかけて維持している金融システムにタダ乗りする行為)

STOは日本でどうなる?

小林:なるほど。いったん次の話題に移りましょう。
日本ではSTO(Security Token Offering)の輪郭が出てきつつありますが、もう一回こういうのが始まる可能性ってあるんでしょうか。

平野:まず簡単にSTOを説明します。
ST、つまりセキュリティトークンというものがあって、証券をトークン化しましょうという話があります。
今世界的にもすごいバズワードになっており、日本でもやろうとしているところが多いです。
なぜ多いかというと、来年の4月に金融商品取引法・資金決済法が法改正をして、電子記録移転権利(セキュリティー・トークン)という新しい概念を、法の枠組みの中で定義するようになるからです。

この電子記録移転権利に基づいて移動されるもの、すなわちセキュリティ・トークンは、第一種金融商品取引業の登録をした業者しか扱えない商品になります。
まさに株式がトークン化されたものになります。

では、株式がブロックチェーン上でトークン化されると何が嬉しいのかというと、仮想通貨って今世界中で24時間取引されていますよね。しかし株は一日6時間くらいしか取引できませんよね。

それが、24時間、世界中どこからでも取引できるようになったらいいよね、流動性もあって、小数点以下10桁くらいまで小口化できたらいいよね、という話があります。

さらに、コンプライアンスの自動化という話もあります。ブロックチェーン上に定義されたスマートコントラストを使うと、認証された機関投資家しかこの株は持てませんとか、この国の投資家はこの証券トークンにはアクセスできません、といった定義がスマートコントラクトで制御できるようになります。

そうすると、今まで株式のコンプライアンスにかかった高いコストも削減できます。
そういう大きいビジョンがあります。

そのSTOというのが、来年4月から部分的に日本でも解禁されます。

次に、直近STOの状況について話をします。すごくやりづらいと思っています。

なぜやりづらいかというと、STOというのが定義され、一種金融商品取引業に登録してSTを販売できるようになっても、プライマリという最初の売り出ししかできず、セカンダリの市場(二次流通市場)を構築するのがすごく難しいんです。

(二次流通に使う)私設取引所を作るには、PTS(Proprietary Trading System/私設取引システム)ライセンスが必要で、すごく大変です。

その法整備もまだされていないので、たくさんの人が24時間取引して流動性のある世界が、来年すぐに来るわけではないです。

と言いつつ、いつか来るかもしれないので、どういう順番で仕込みをしてどういう風に事業を作っていくかというのは、各自次第ですよね。

濱田:せっかくなのでIEO(Initial Exchange Offering)についてもご意見いただければ。

平野:そうですね、まずトレンドの流れから説明します。2017年くらいまで流行っていたICOというのは、イーサリアム上にスマートコントラクトのコードを置いて、そこにETHを送ったらXXトークンがはね返ってくるというコントラクトを自分たちのwebサイト上に貼りつけて、トークンセール(トークンを使った資金調達)をやっていたんですよ。

それが最近、今年くらいから、取引所にトークンを販売してもらいましょうというトレンドに変わってきたんですね。

取引所にトークンを販売してもらうと何が嬉しいかと言いますと、取引所って、すでに顧客を持っています。BinanceとかBitfinexとか世界的に大きな取引所は、アクティブユーザーを数百万〜数千万くらい持っている場合があります。
(※Binanceは2018年11月時点でアクティブユーザーは1,000万人を超えているとCFOが公表した)

そうすると、自分のサイトでICOページ作るより、集客が楽ですし、売り出し側も嬉しいと。
取引所側も、仮想通貨が下落トレンドで新しい収益源を作るのに結構困っていたので、このIEOというビジネスを始めたという側面もあります。

IEOとはどういうものかというと、通常のエクイティ(返済期限の定めのない資金のこと)のIPO(Initial Public Offering/新規上場株式)の引受会社と市場運営を両手でやっているようなビジネスです。

そこはやはりBinanceがすごくうまくて、直近バリュエーション(投資の価値計算や事業の経済性評価のこと)より下げてIEOをやって、IEOをやったトークンの価格が上手く上がるように演出し、上手く上がると次のIEO案件が来て、買った投資家も喜んで出来高も上がってBinanceも儲かって…Happyという感じですね。

小林:ICO、STO、IEOの三つの中では、IEOが日本で一番可能性あるかなと思っています。
IEOが2020年に海外の面白いプロジェクトを持ってこれると、また業界全体のアクセルになるんじゃないかと思ってるんですが、どうでしょうか。

平野:僕もそうなるといいなと思ってます。

NFTを使ったゲームアイテムの価値担保方法

小林:最後に、フィンテック領域と非金融領域で何か面白いお話があれば。

平野:金融は本当に多いので、非金融領域でいうと、コンシューマー向けで目立ってるのはやっぱりゲームですよね。

濱田:日本の規制の関係上、NFT(Non-Fundible Token/非代替トークン)を使ったゲームが目立つかなと思うんですけども。

平野:どこの国にも規制の問題はありますが、その点で言うと、NFTは金商法の取り締まり外ですよと金融庁からパブリックな意見書が出ているので、ゲームアイテムをトークン化する事は違法行為ではないと明らかになっています。

そのため今、ゲーム系のプレーヤーが多くなっています。
もちろん、ガチャのような、ちょっと課金したらこのNFTが当たるかもしれないみたいな事をやりだすと今度は景商法という別のところで指摘されるので、そういうのが起きるとまた業界が苦しくなっちゃうと思いますが、現状はゲーム系は規制が緩やかな分野ですね。

濱田:ゲームでのブロックチェーンの使い方は、2015年くらいのCounterPartyのSpells of Genesisの頃から、ゲームキャラクターをコンテンツトークンにするというのは変わっていない気がします。ゲーム業界で、他の使い方はないんでしょうか。

平野:結局、ゲームアイテムをトークン化して革命的だということが言われていますが、リアルマネートレードしやすくなっただけだよね、という話があると思います。

あとは、最近自分がオピニオンレポートで書いたブロックチェーンゲームに関するトピックがあります。

マイクリプトヒーローズさんのゲームのコンセプトは、「ゲームにかけた時間もお金も情熱も、あなたの資産となる」というものです。
このコンセプトは素晴らしいと思うんですけど、これってユーザーとしてもゲーム運営会社としてもちょっと難しい問題があるんですね。

ゲームアイテムAが資産価値があるとしてブロックチェーン上に存在していて、供給量も制限されていますと。ゲームの運営会社でも、その供給量の上限を増やす事はできませんと。
それがロックされていることもブロックチェーン上で検証できますと。
だからゲームアイテムAは価値があります、というロジックなのですが、ゲーム自体のロジックが変わったら、ゲームアイテムAは弱いアイテムになってしまうかもしれないし、ゲームアイテムAより強いゲームアイテムBが登場したら、ゲームアイテムAの価値はなくなってしまうかもしれない。

ではどうやってこの価値を担保しようかという話なのですが、本当に本気でやるとしたら、ガバナンス(統治)トークンを使う手段などがあるかなと思ってます。
価値があるブロックチェーン上のゲームアイテムAを、ガバナンストークンみたいにするということです。

どういうことかというと、例えば、運営会社がゲームアイテムBを出すとなった時に投票を行って、ゲームアイテムAを持ってる人たちが拒否権を行使できるというようなことです。

これって、会社法における、株券を持ってる株主と全く同じなんですよ。
会社が増資して株式を新規発行する時には、株主総会を開いてそこで承認を得ないといけないので、それと同じ話で、ゲームアイテムのオーナーをステークホルダー(株主)だと思うんだったら、そういう仕組みを導入するといいかもしれないですね。

会場からの質問1:中国でのブロックチェーン事例

参加者:ブロックチェーンって改ざんできないんですよね?一般的な認識として、中国って国家が改ざん・検閲を行っているという認識があるんですが、その辺いかがでしょうか。

平野:改ざんしにくいというのはブロックチェーンの価値の一つではありますが、改ざんしにくいというのは検証しやすいとも言い換えられます。

中国では、政府が検閲しにくくなるという意味での検閲耐性に注目するよりも、例えば三者間でコンソーシアムを組んで何かしらのビジネスロジックをブロックチェーンに乗せてお互い検証しやすくするとか、そういう使い方をよくしていますね。


会計コンサルティング会社のEY(Ernst & Young)が、ブロックチェーンは複数社間で使えるERP(Enterprise Resources Planning/企業資源計画、統合基幹業務システム)だという例え方をしていて、これはいい例えだなと思っています。

濱田:ブロックチェーンでも、パブリック、コンソーシアム型、プライベートというのがあります。

中国が発行している人民元を、仮にBitcoinベースのパブリックチェーンに乗せると、他の国も誰でも閲覧できてしまいます。そこでは絶対やらないんですよね。
コンソーシアム型を使うとなると、自分たちが知っている協会的なところだけでやっていきましょうということになります。
プライベートチェーンを使うと、共産党の実権を握っている人たちだけでやりましょうという形になります。
このように、用途に合わせてブロックチェーンを使い分けてるのだと思います。

平野:一番いいのは事例を調べてもらう事で、中国建設銀行の例とか、テンセント傘下のデジタル銀行であるWeBankの例などを調べると、あ、ブロックチェーンってこういう使い方をしてこういう業界で使われてるんだ、というのがすぐにわかると思います。

会場からの質問2:HR系ブロックチェーンサービスのチェーン選定

参加者:今HR系のサービスの構想をしているのですが、企業の人事評価って基準がバラバラだと思っており、ここにブロックチェーンを活用したいと思っています。

健康データをユーザーからもらってきて、Proof of Healthというアルゴリズムで承認するようなチェーンを今作っています。人事評価の中で「まだ働ける」と言っている人でも、平準化されたブロックチェーンの中だと、「ちょっと休んだ方がいいですよ」と判断されたりする。

そういう人事評価の共通化をブロックチェーンでやるのと、もし働けなくなった人がいたらパラメトリック保険(被害等ではなく被害と関連性の高いデータの変化によって保険金を請求できる保険)で補填してあげるという構想があるんですが、現在チェーンや規格をどれにするかという検討をしています。
どのチェーン・規格がいいんでしょうか。

平野:難しいですね。コンソーシアムだと思いますが。

参加者:パブリックにしたいなと思っているんです。企業間ではなくて、ユーザーから健康データを集めて、健康データを渡すとアルゴリズム精度の向上に寄与したという事でトークンがもらえるようなマイニング方法を考えています。
これをパブリックブロックチェーン上でやる構想がありまして。

小林:どのチェーンにするかという手前で、健康のバロメータを測るパラメータっていうのは定まっているんですか?

参加者:パラメータは定まっていないのですが、そこは共通化するつもりです。
誰が見ても同じ基準、例えば血圧数値だとか、wearableな機器で計測可能なものとか、企業に依存しないデータでパラメータを作りたいです。

小林:お話の印象からすると、蓄積する情報はシンプルなので、どのチェーンを選ぶかというのは、第三者視点が得られるならどのチェーンを選んでも実は一緒で、それよりも、参加した企業が納得のいく健康バロメータを作る事の方が結構悩ましいのではないかと思いました。

会場からの質問3:エストニアのような電子投票は日本でもできるか?

参加者:私は今高専生で、大学でブロックチェーンを勉強したいと思っています。今年の夏までエストニアに留学していたのですが、今年の3月くらいにエストニアの国政選挙でブロックチェーンを使ったネット投票が行われたという事で、日本ではどうなのか、将来的にできるようになるのかお聞きしたいです。

平野:日本でもできたらいいですよねえ…。頑張っていきます。

小林:選挙でいうと、この間の7月の参院選で投票に行ったときの話なのですが。未だに納得がいかないことがありまして。監視員が3人くらいいるところで投票し、その後人間がカウントするじゃないですか。なぜ、紙に鉛筆で書くのかなと。鉛筆って消せるじゃないですか。すごく改ざんしやすい仕組みですよね。その仕組みをなぜ維持するのかと。

それで、なぜ鉛筆なのか調べたんです。
すると、鉛筆の芯の方がボールペンよりインクの持ちが長いからとか、おじいちゃんおばあちゃんのような筆圧が弱い人でも字がちゃんと濃く書けるからと。それが理由でずっと鉛筆なんですね。

濱田:エストニアの電子国家って日本より100年進んでるって言われてるじゃないですか。
僕はバルト三国のレポートを昔調べた事があるんですけど、日本のマイナンバーって、国会議員の方などがエストニアに視察に行った後で導入されたものなんです。

でも、エストニアの電子国家と今の日本のマイナンバーって全然違うじゃないですか。最初の通知は紙で来ますし。

なので、そのエストニアの電子投票を日本に持ってこようと思っても、全く違う形になる可能性がある、というのは感じます。

小林:制度の電子化の促進という風に捉えると、技術的な課題というよりは、組織的な課題の方がかなり大きいかなと。

東京都は今副知事に元ヤフー社長の宮坂さんが就任されたので、それで東京都は変わるのではないかなと思ったり。また、変わっている自治体でいうと、大阪府大阪市というのは、橋下さんが入り、記者会見をYoutubeで配信したりして、行政が決める条例が決まった経緯がすべて動画で見られるんです。
そういうところは変わり始めていたりするので、技術で解決するのではない領域かなと思います。

濱田:今日のテーマがブロックチェーンなんで、パブリックチェーンの技術的な事でいうと、Bitcoinのパブリックな技術特徴と、営利を追求する法人の目的とを組み合わせようとすると、合わないんですよ。

なぜかというと、非中央集権的なものを、利益を生もうとする一法人がやると合わないですよね。

そうすると企業はコンソーシアム型だったりプライベートチェーンだったりを模索するんですが、プライベートに行くほど、今度はブロックチェーン使う意味があるのかが問われてくる。

技術的な事というよりは、小林が言ったように、使う側がどこまでわかって上手く使い分けができるか、というところが重要になるのではないかと思います。

参加者:つくば市で、ブロックチェーンを使った選挙が行われたという記事を見ました。将来的には国でも使えるようになるでしょうか。

平野:僕たちは企業向けにブロックチェーンの導入やコンサルティングをやっていますが、市に対しても多分同じで、結局費用対効果の問題なんです。

ブロックチェーンって効用がすごくわかりにくい技術だと思うんですね。
一方、効用がわかりやすい例としてAIを挙げると、AIを使った広告のターゲティングや顔認識はすごく目立ちます。

広告のターゲティング精度がどれくらい上がってここのクリック率がどれくらい上がって...など、数値化できて効果が測定しやすい。
どれだけ技術に対して投資して、どれだけ利益を生んだかもすごくわかりやすい。

お金と時間をかけて投資するのであれば、費用対効果を考えないといけない。
それは技術がAIでなくブロックチェーンでも、主体が企業でなく市であっても、同じ話ですよね。

市も予算を持っていて、その予算をできるだけ効率的に使わないといけないというのは同じ話なんで。

それで、そういうのをきちんと考えている企業ベンダーっていうのは、ブロックチェーンの世界では驚くほど少ないなと思っています。

会場からの質問4:ブロックチェーン上の村社会ビジネス

参加者:先程、bajjiの濱田さんが、ブロックチェーンとビジネスがなかなか結びつかないとおっしゃっていました。
人と人とのつながりを作る上で一番難しいのは、きっかけをどうするかっていうところだと思うんですね。

ブロックチェーンを使ったwebサービスに登録すると、その時点からその人の活動全てが改ざん不可能な状態で履歴が残る。
とすると、そういうサービスのメンバーであるというだけである意味信頼を得られると考えています。
自分はそれだけでいいような気がします。

そこで同じような興味を持っているメンバー同士でグループを作ったり、新しいビジネスが勝手に生まれると思うんですね。
一度改ざん不可能なコミュニティに登録さえさせてしまえば、あとは半自動でビジネスが育つ。
なので最初の登録のきっかけのハードルをいかに下げるかが大事ではないかと。

昔のコミュニティって、本当にリアルな知り合いだけで形成された「ムラ社会」だったので、幸か不幸か周りの人たちの情報が何でもわかってる状態だったんですね。
そういう「ムラ」がインターネット上でも自然発生的に出てくるんじゃないかと思います。

ブロックチェーンという改ざん不可能な技術によって、信頼できる仮想の組織ができ、その中で新しいビジネスが生まれると思います。

小林:今のは、ブロックチェーンを活用した新規事業のアイディアという事でいいですかね?
非常に面白い考えだと思います。

蓄積されたデータをどう読むのかというところが難しくなってくるので、データもどんどん膨大になってくるので、データがあって改ざんできないといっても、それを読み解けないと何の意味もないですよね。

どういう風に読み解くか、もしくは読み解きやすいようにどういう風にデータを見せるか、そこがセットであると面白いかなと思います。

濱田:今のお話ってbajjiにも近いところがあるんですが、サービス設計次第かなと思います。
例えば中国の、クレジットや賃貸などで利用される信用スコアと言われるものですよね。
こういう言い方はよくないかもしれませんが、あれは、払わない人が多い環境だから必要とされると思うんですね。

でも日本てどちらかというと、ブロックチェーンとかで縛らなくてもお互い信じ合うところを大切にするんで、信用スコアには結構拒否反応もあるじゃないですか。

村というと、「村八分」もあるわけじゃないですか。
なんで、どこをブロックチェーンで担保するかという話ですよね。

生まれてから全ての行動をブロックチェーンで記録されるとしたら、100人中20人くらいの人はそんな世界はいやだと言うと思うんですよ。
そこのサービス設計が大切かなと思いました。

さいごに

最後、平野さん締めていただければ。

平野:そうですね、コミュニティがブロックチェーンに乗って、悪い事すると記録されるから悪い事しないだろみたいなことだと思うんですけど、その発想自体はワークする(機能する)と思います。

というのも、例えば僕たちが本屋で万引きしないのって、万引きしたら警察連れて行かれて色々大変だからしないわけで。

今、Ethereumのブロックチェーン上でDecentralized Finance(略してDeFi、分散金融)というムーブメントがあるんですね。

この世界では、地球の裏側にいる、名前も知らない人にお金を貸したりしてるんですよ。
なんで貸してるのって言うとですね、お金を借りてる人は、みんな担保を入れてるんですね。暗号通貨を担保に入れて、USドルを借りたりしています。
お金を返さなかったり、担保資産が所定の金額まで減損したりすると、スマートコントラクトが担保資産を没収する仕組みになっています。
この経済圏が一応ワークしてるんですよ。
金額としては500 million USD(約500億円)くらいの規模になっています。

なんでそんな名前も知らない人にお金貸せるんですかっていうのは、担保資産を手に入れているというのがスマートコントラクトで保証されているからなんですよね。
首根っこつかまれてるから悪い事しないというのは大事な発想かなと思ったりします。
以上です。

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今回のイベントを持ちまして、年内の「未来のBUTAIイベント」は終了いたします。
次の企画を楽しみにお待ちください!

「未来のBUTAIイベント」バックナンバーはこちら。
https://note.com/bajji/m/m9b3a3d4a84de