ベルナール・ビュフェ回顧展 Bunkamura ザ・ミュージアム

Bernard BUFFET ベルナール・ビュフェ
青い闘牛士
1960年

Bunkamuraで開催中のビュフェ展を見ました。画業全体を振り返る回顧展なので、その表現の変遷は画家の人生と重なりとても見応えがありました。

この絵は、妻のアナベルをモデルに描いた連作の一つです。アナベルの輪郭をたどりながら、闘牛士という人間の内面を描き出していて、強い意志と勇敢さが表現されています。

ビュフェは「人は愛する女性の中に、いつだって何かを発見するものだ」と言っています。素敵な言葉です。

ビュフェは、アナベルと出会い、強い直線と豊かな色彩の新しい境地を拓きました。それはアナベルを愛する心によって描かれたものです。モデルとしても愛する人としても深いインスピレーションを与えるアナベルは、ビュフェにとってミューズでした。

この後、40年にわたって画家を支え続けたアナベルは、「芸術家の夫に妻が与えられるものがあるとすれば、それは平穏、落ち着きだけでしょう」と話しています。
芸術家の生活は、精神面においては、常に創造を追求する過酷なものだと思います。アナベルと出会うことができたビュフェは幸福だったと思います。そして、アナベルにとってビュフェは、両親の自殺などによる重圧から解放してくれた人であったそうです。

互いの個性を保ちつつ、心で繋がっていることを実感できる関係、求めてもなかなか得られるものではないですよね。

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