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連動した仕組みの機能美

グリコがデロイト主導の基幹システム移行がうまくいかず、プッチンプリンなどの出荷が出来ない問題、クボタがアクセンチュア主導で更改した基幹システムで生産休止トラブルが起きるなど、SAP導入トラブルが最近目につきます。

SAP HANAだけで販購買から製造、会計まで『連動した仕組み』は機能美としてはすばらしいと思うのですが、最初の要件のとりまとめ、導入期間中のギャップ解消のための開発、切り替え時の全社単位でのカットオフ調整など、大変な工数がかかることが想像されます。

インドネシアでも比較的規模が大きい製造業様であれば、全世界拠点基幹システム統一化の一環でSAPを導入されている場合がありますが、通常導入プロジェクトは本社主導で日本の大手SIerが数か月間出張して行うため、基本的にインドネシア現法は出来たものを使うだけという場合が多いと思います。

規模は小さいながらも、インドネシアで自社プロダクトで基幹システム導入サービスを行っている身としては、ライセンスと導入支援にかかる初期費用と毎年かかるライセンス保守などのランニングコストをペイするのか、名のあるパッケージを単価の高いコンサル依頼しとけば選定の責任を問われない他責の雰囲気という大企業病があったんじゃないのなどと余計な詮索をしたくなりますが、これらは本質的なトラブルの原因ではないはず。

『SAP HANAは日本の製造業に不向き』という風説を聞くこともありますが、向き不向きの問題ではなく、多くの関係部署がかかわる大組織に『連動した仕組み』を1パッケージでやりきること自体の難易度が高いという仕組み自体の問題であると考えます。