見出し画像

日本の農業

私は少しだけ農業に関わっています。

現在の日本の農業にはいろんな問題があって、いつも
「あーでもない、こーでもない」
と話をしています。

しかし、このような話をする場合、なぜか話がかみ合っていない気がします。

この原因は、話している人の考えている「前提」や「目標」「知識」「立場」が違うからだと思います。
今回は、論点を整理してみます。

話がずれている原因

「日本の農業について」というテーマのはずなのに、話がずれてしまう具体例をいくつか挙げてみましょう。

野菜の価格について収入のについて

野菜を買う消費者としては「安い方が良い!」と言います。しかし、農家も仕事だと考えると、適切な価格で売れないと困ります。

最近は、肥料や燃料の値段が上がっていますので、本当は野菜の価格も上げないといけないのですが、個人農家が多い日本では、なかなか値上げできない状況が多そうです。

農業は、仕事なのか趣味、ボランティアなのか

私は農業は仕事だと思っていますので、農業に関する労働には適切なお金をもらうようにしています。

しかし、昔から家が小さな農業をしている人の中には、
「農業は日本の自然を守るためにやっているのだ。損得じゃない」
という人もいます。(結構多い)
このような人は、農業の収支を計算していませんのでおそらく、赤字状態で農業をしています。(兼業農家や年金生活者に多い)

昔からの農家ではない場合でも、最近の田舎暮らしブームで移住した人や、定年退職して余裕のある人が始めた農業では、「儲け」を考えないパターンが多いです。そもそも日本人は「お金≒汚い」って考える人が多いですからね。

そのような人たちの作る趣味の野菜が、直売所に並ぶと野菜の値段が値下がりします。労働力を考えると、製造原価よりも安くなることもよくあります。
安い野菜は消費者にとってはうれしいかもしれませんが、これらのボランティア農家によって、仕事としての農業はつぶされてしまいます。

農薬や化学肥料を使うことについて

これは、少し勉強すれば分かるのですが、日本や世界全体の人口分の食料を作るためには窒素肥料は必須です。農家さんも化学肥料や農薬を使わなくて良いなら使わないですよね。

一方で、有機農法や、オーガニック、自然農、自然農法など、農薬や化学肥料を使わない農法を否定している人たちが対象としているのはとても狭い特殊な市場であることをまず知らなければなりません。

数年前に、日本のある政党の人が、「農薬や肥料が無くても十分な収量が得られる」というような話をしていました。証拠があるなら良いのですが、エビデンスが示されていませんので今のところは嘘だと思います。

海外でも、政府が化学肥料を禁止したことで国の農業がダメになった例もありますので、現状ではそれが正解でしょう。

ただし、上にも書いたように、オーガニックなどを求める市場はありますので、それらの人に対して付加価値をつけた商品を売ることは良いことだと思います。

これらの人の話がかみ合わないのは、日本全体のことを考えているかどうかという部分だと思います。

大規模か小規模か

「企業の参入を許すな!」VS「非効率な農業はダメだ!」
のような対立はいちばん良く見られる構図ではないでしょうか?

企業の農業を許さない派」の主張は

・企業が農業をすると田舎の自然が壊される
・企業が農業をすると野菜が工場で作られる
・個人が愛情を込めて作った方がおいしい
・金儲けを優先して、地域の自然を守らない

等でしょうかね。感情的な理由が多い気がします。

一方で大規模化を主張する人の主張は

・それぞれの家が機械を買うのはムダ。
・農地が、小さく細切れで無駄。
・地域のための活動(農会、消防団など)への負担が多すぎ。
・儲からないのは工夫が足りない
・愛情を込めても味は変わらない

と言ったところでしょうか。

これに関しては、非効率なやり方でやると農家はつぶれてしまうので、いずれ、大規模化の方向に進んでしまいそうに見えます。
しかし、実は大企業の中でも農業に参入した事例はあります。しかし、うまくいかずに撤退したという話もあり、微妙なところです。

いちばん困るのは、効率無視の小規模農家が、同時に高齢化でいなくなってしまい、大規模化をすることもなく、村が廃れてしまうことです。

農家の子どもたちは、今のうちに対策を考えておかないといけないと思います。

その他の問題

この他にも、「農地法が厳しすぎる」とか「外国人に土地を売るな」とか「ソーラーパネルはダメだ」とかいろいろな話もあるけど、それは、農業と言う仕事とは少し離れた話題になりますので、ここでは扱いません。

このようなたくさんの論点があるのに対して「農」や「食」は誰にとっても身近な話なので、論争になってしまうのでしょうね。

いずれにしても、日本の農業の未来が明るくように建設的な意見を戦わせてもらいたいものです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?