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やっと来れた東京都山奥の手打ちそば『浅間坂木庵』 期待通り!

2024年5月17日金曜日 五月晴れの気持ちがいい天候、以前から行ってみたいと思っていた檜原村の浅間坂木庵さんへお蕎麦を食べに行こうと平日ソロツーリングの目的地に浅間坂木庵さんに定めた。 檜原街道を駆けあがり、浅間尾根登山口へ入る。 狭い道だな…と思いながらやや急な上り坂を上がると二俣に分かれる。 そこに『浅間坂木庵』の手書きの木の看板。書かれていたのは…『←この上です 浅間坂木庵』『本日は 食品衛生講習会の為 臨時休業いたします 浅間坂木庵』 あーーあ、冬の間はあまりお店も開いていないようだし、峠道をバイクで上がってくるのは、春を待たなければならず、やっとここまで来れたと思ったら、今日は臨時休業、私はよほど日頃の行いが悪いその報いかと。 
2024年6月6日木曜日 すぐにリベンジできなかったので、やっと行ける日を作り出した。 木庵さんの定休日は、月・火・水。 土日は混んでいるだろうなあと思い、仕事がなく平日の天気のいい木曜・金曜日に行くしかないので、そのような日がなかなかやって来なかった。 5月26日日曜日も檜原街道から奥多摩周遊道路を走り抜けたばかり、檜原村はバイクで来るのに好きな場所。 朝9時前に武蔵野市の家を出て、立川のコンビニで一度休憩し、檜原街道に入ってからトイレ休憩をして、11時には浅間尾根登山口のところまで来ていた。
木庵の開店時刻は11時半。 少しだけ待つ感じだな、と思いながら街道を外れてからの細い道を上がっていく。 前回臨時休業の看板がでていたところには今日は何もない。 左へ折れてさらに細くなった道を上がる。この道がとんでもない急坂。 ギヤをローに落として、エンジンの回転数を上げて坂を上る。 その時に思ったのは、この坂道帰りはどうしよう? ちゃんと降りることができるだろうか? この急坂をバイクでおりるとなるとかなり辛いかしれない。と思っているとまた分かれ道、木庵は右に折れたところにあるようだ。 右に折れて平らになり場所が開けた。 正面にはWEBなどで見た雰囲気のある建物、木庵と書かれた大きな提灯が玄関先にかかっている。
建物の左奥に駐車場があるようだ。 ゆっくりとバイクを進める、詰めてとめると10台くらいの車が停められるだろうロープで区切られた駐車場に軽自動車が2台停まっていた。 一番奥のスペースにバイクと停める。 何台かしか駐車できないスペースではいつも、どうバイクを停めようか悩む。 車でも一人で来ると一台分のスペースを必要とする、バイクも同じように一台分を使って停めていいのではないか、というおおらかな気持ちと、バイクなのだから、車の停め方を考え、できるだけ邪魔にならないような角の空きスペースなどを探して停めようかという謙虚な気持ちが葛藤する。 今日は奥の邪魔にならないスペースにそっと停めることにした。
駐車場の横の谷側に手作りだと思われるウッドテラスがある。 木製のテーブルと椅子が用意されていて、そこから見る山の景色は最高だろうなあと、食事を終えたらこのテラスで景色を見ながら、走りだす前の時間を楽しもうと決めた。
建物の玄関までいくと従業員の女性の方がこまごまと開店の準備をしていた。 やっと来れた…という気持ちが大きかった。 『11時半ですよね』というと、時計を確認して『もう少しですね、申し訳ありませんね、少々お待ちくださいね』と言って、玄関前にある木製のテーブルのところに座って待つよう言われた。 椅子に座って周囲の山々を五感で感じて時間を過ごすことにする。 鶯がきれいに大きな声で鳴いている。 自然の鳥の声なのだろうけども、大きくてきれいすぎて、効果音をスピーカーで流しているんではないかと勘違いをしてしまう。 自然に慣れていない自分が情けない。 少し早いけれどもと中に通される。 ライダーズブーツを脱いでスリッパに履き替える。 ブーツをしまう大きさの靴の棚はないので、上がりの簀の子の端に並べておいておく。 『お好きな席に.…』と言われた。 奥には座敷席に6人座れるくらいの座卓が2つ、部屋の真ん中にテーブル席、窓際に外が見えるように2席のテーブルがラバーズシートのように配置してあり、そこに一人で座ることにする。 メニューはざる蕎麦ととろろ蕎麦の2種類の蕎麦のメニューと、さしみこんにゃく、鴨肉、山菜の盛り合わせなどの単品と山菜の天ぷらを中心にした定食のようなメニューの2枚が用意されていた。 お蕎麦の量は多いという情報をどこかのWEBで見たことがあり、単品のメニューも食べてみたいと思ったのだけれども、量をあまり食べることができないので、とろろ蕎麦だけにする。 注文のときに、蕎麦以外のメニューも魅力的で食べてみたいと思うのですが、あまり量を食べることができない体なんですよと話すと『さしみこんにゃくも煮物も量がありますのでね』と教えてくれた。 一人で来るよりも何人かで来ていろいろシェアするのがいいのだろうなあと。 ソロツーリングンの弊害だな。と思うがしかたがないことだ。 『お蕎麦は時間がかかりますよ』と念押しされる。 ここのお蕎麦は注文してから打ち始めると聞いていたので、時間がかかるというのも織り込み済み。 そして、ここでは時間を気にするということは、そんなに大きな問題でもないよな…と。 注文をしてしばらくするとお茶とゆずのピールを出された。 ピールは優しい味がする。  少し時間をおいて『これ召し上がってください』とわらびの煮物とジャガイモを焚いたものの小鉢を持ってきてくれた。 お蕎麦の他に山のもの的なものを食べたのを諦めていただけに、この小鉢はうれしかった。 わらびもジャガイモもとてもやさしい味でおいしい。 窓の外の緑をながめる時間も相当費やした。 店内にはいくつかの芸能人のサイン色紙がTVの番組名とともに飾られている。 知っている番組名やタレント名もいくつかある。 サインをちゃんと読むことができないものも多いけれども、だいたいは推測できる。 『今日の天ぷら』というボードに山菜と野菜の名前が短冊状に下がっている。 季節やその日によって天ぷらの素材の山菜が変わるんだなあ 季節や環境を食するのだなあと思っていると、お蕎麦が届く。 細長い長方形のせいろにやや太い麺が盛られている。 ととろの小鉢、たれが入った蕎麦猪口とつゆ入れ、薬味の皿には、葱、ゆず、わさびが添えられている。 とろろの小鉢に蕎麦猪口のたれを入れて、葱、わさびを少々、ゆずを入れる。 せいろの端からそばをととろにつける。 蕎麦は箸で持ち上げるとずっしりと重い感じ、そしてせいろがやや深く、蕎麦はたくさんせいろにのっていることが分かる。 蕎麦はコシがあり、ちゃんとかまないといけないような田舎蕎麦。 とろろとの相性がいい。 すごくおいしい。 ときどきゆずピールをかじり、わらび、ジャガイモを箸休めにしながら、時間をかけてゆっくりとお蕎麦を楽しんだ。 お蕎麦を待っている時間は30分くらい、店内には私一人だけ、混んでいたら結構待つことになるんだろうなあと思ったけれども、ここでは時間を考えてはいけないんだよやっぱり と納得する。
とろろ蕎麦の代金1,100円を支払い、『なるはぜジャム』を試食させていただき、一瓶購入。 あとになって、もっと買ってくればよかったなあと思うのだけれども、また檜原村へ行けばいいか。
店に入る前の予定通り、駐車場横の谷側に設置されたテラスへ行き腰を掛ける。 山々がすごくきれいだ。 谷の底に見える道路を時々車が通る。 まさに下界を見下ろしているような気分、 俗界から遠ざかり全く違う世界に身を置いているようなそんな気分になる。 周りに誰もおらず、一人でここにいて、この景色を眺めているのだから、そんな気分になるんだろうなあと。 バイクのところにもどりエンジンを掛ける。 帰り道の急坂を下りていくのがものすごく不安になる。 降りれなかったどうしよう、たぶんバイクから下りて押すことの方がバイクの車重に耐えられないだろうなあと。 不格好でもいいから、少しずつ降りていこうと覚悟を決める。 駐車場を前に進ませ、建物の横を通り、坂まで来る。 思ったいたよりも落ちていくような急坂。 エンジンを掛けているが降りるときにクラッチを切った瞬間に空走するのが怖い。 しょうがないのでニュートラにして両足ついて、小刻みにブレーキをかけて、本当に少しずつ、たぶん10㎝とか20㎝とか、そのくらいの単位で坂を下りていく、まっすぐの道はいいのだが、カーブは大きくバンクしているので片足しかつかない。 バンクの反対の端に寄せて、片足がつくポジションを確保する。 落ちていくような坂に超前傾姿勢になってしまうので、両手に体重のほとんどがかかり、左手がつりはじめ感覚がなくなってくる。 でも止まるに止まれない、止まると面倒なことになりそうだ、とりあえず少しずつそのまま降りていく。急坂も終わりに近づくにつれ角度も少しだけ緩やかになり始め、小刻みに動く距離が伸びていく。 かなりの時間をかけて、一番最初に来た時に臨時休業の看板が出ていたところまで降りてこれた。 一度エンジンを切り、両手を片方ずつ揉んで、手を休める。 大きく深呼吸。 不格好だったけれども、バイクを倒すことなく、降りてこれた。 急坂になってからは車一台がやっとという道幅。 バイクと車でもすれ違いには困る幅ではないと思う。 ましてや、こんな状態で坂を下りてきた。 登りの車に出くわさなかったことがラッキーだった。 普段の行いの報いは消えつつあるのかもしれない。 


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