娘達(犬)と妻

 妻は娘達の思い出話をすると、『やめて!』と私の言葉を遮る。

未だ、娘の居ない生活が信じられないし、その現実も直視したく無いみたいです。先月、娘(妹犬)ソフトゲージ、ハードゲージ、古いベット、タオルケット、最後に使っていたマット、etc  次々捨てました。

 吹っ切れた様にも見えたけど、現実は真逆。目にすると思い出すものを捨てただけ。骨壺前の造花を新しくしたり。ひどく心が揺れてます。大丈夫だろうか?ちぃ心配です。娘達の力が借りたくなります。

 私はと言うと、仕事が有るので助かります。仕事中は少なくとも忘れていれます。ただ、帰宅する車で白い毛一本見かけると、『ここにも、あの子がまだ居る。』否定的でなく肯定的にあの子達は常に側に居てくれてると思ってます。

 あの頃、散歩中にあまり聴いてる風でもない娘に、ずーと語りながらいた自分。他人が見ると、独り言を続ける変なおじさんか、犬に語る頭のイカレタおっさんでしょうが、娘達とはそれが習慣で、パパが静かになった時は娘も歩みを止める。「車が来た?何か危ない?」と娘が振り返る。

 犬に向かって「暖かくなったね。」「雨だから、もう帰らない」「天気良くて気分良いね」と話しかけてながら散歩するオッさんは不気味かもしれないが、娘は聞いていてくれた気もします。

 私は、日中居ないので朝の散歩だけですが、家に残っている妻と娘の関係は比べ物にならない濃密さだったのだと思います。

 私達はもう、誰かの世話と保護をする万全の自信のある年代では無いので、これから先はやはり2人で、二人だけで埋めていくしか無いですね。

 ちょっと出張で居なかったので、妻が心配なる今日でした。

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