黒い犬

 5歳くらいの時、黒い雑種の犬が我が家にいました。番犬として飼っていたのか、可愛がっていたのかは不明。今では写真が有るから面影に記憶が有るのか、本当に当時の記憶が有るのかも不明。

 ある日、母の実家に2時間かけて車で訪問した。叔父さん宅が割と裕福な家なので沢山ご馳走になった。比較的貧しい家庭の我が家、何かお返しをしたいと思ったのか父が姪にオモチャ買ってやると言い出し、街の玩具屋へ車で移動。黒い犬(名前もクロ)も一緒に移動。玩具屋について、車のドアが空いた時、クロがリード無しで飛び出た。『クロ!』と家族全員叫んで追いかけてようとしたところで、誰かが玩具がどうのこうの、、、、これで、その後クロが居ないのに再び気付くのは玩具屋を出てから。

 そう、居ないですよ。賢い賢い犬だったはずですが、知らない街のせいでしょうか?その後、どんなに探しても見つかりません。姪を家まで送って、家路に着く前も探しても見つかりません。私は幼く記憶曖昧ですが、父は毎週日曜日に往復4時間掛けて探しに行っていたらしいです。

 なんで、クロはいつもの賢さで入り口前で待っていなかったのか?なんで、誰も直ぐにクロを追わなかったのか?ナゼナゼ。今も思い出すたび子供の頃の胸の苦しさが蘇る。痛恨の嫌な記憶。せめて、私がクロを追えば大人が誰かついて来たのだろに。何故、追わなかったのか。

 人の話では、クロは私の生まれる前後には既に我が家にいたらしい。私が更に幼い頃、クロの頭を何時もペタペタ叩いていたらしい。



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