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#6 ビジネスアーキテクチャって何だ?

IPAが設定した「デジタルスキル標準」にある「DX推進スキル標準」で定められている「ビジネスアーキテクト」の役割とその仕事の内容についてシリーズで考えています。もう6回目となりました。本当はもっとあっさりすませられるかと思っていたのですが、誤解を避けるために少し丁寧な表現を心掛けたためか、冗長な感じになりました。ただ、IPAの資料が膨大なためその内容を紐解いて行くと、思ったより「デジタルスキル標準」の構造自体が複雑だったのでしかたありません。

さて言い訳はこのくらいにして、前回の続きです。
前回は[ビジネスアーキテクチャ]>[戦略・マネジメント・システムカテゴリー]の[変革マネジメント(チェンジマネジメント)]について考察しました。結論は、一筋縄ではいかない大変な役割だということでした。
今回は「DX推進スキル標準」に定められている以下のテーマから、「システムズエンジニアリング」を検証していきます。
(サブカテゴリー:戦略・マネジメント・システム)
 ・ビジネス戦略策定・実行 ⇦#4で仕事内容を検討済
 ・プロダクトマネジメント ⇦#5で仕事内容を検討済
 ・変革マネジメント ⇦#5で仕事内容を検討済
 ・システムズエンジニアリング ⇦今回のターゲット
 ・エンタープライズアーキテクチャ ⇦今回のターゲット
(サブカテゴリー:ビジネスモデル・プロセス)
 ・ビジネス調査
 ・ビジネスモデル設計
 ・ビジネスアナリシス
 ・検証(ビジネス視点)

「システムズエンジニアリング」とは、システムズエンジニアリング普及団体である一般社団法人JCOSEでは、「システムズエンジニアリングとは、システムを成功させるため、複数の専門分野にまたがるアプローチと手段。」と定義しています。
もう少し詳しく言うと、「システムの企画、構築、運用、廃棄というシステムライフサイクルを通して、全ての技術分野で利用可能なものをインテグレートし、一つにまとめるもの」となります。
また、システムズエンジニアリングの実行によりシステムのあり方をモデル化し表現することで、システム構成(アーキテクチャ)に関する関係者の共通認識を得ることが出来ます。
昨今、クラウド等のハードウエア環境の進化やそれに伴う先進的なアーキテクチャによるソフトウェアの登場など、アプリケーション開発環境と運用環境が大きく変わっています。これらに追随することの大変さは現場の開発者であればお分かりかと思います。

続いて、「エンタープライズアーキテクチャ」について考察します。
「エンタープライズアーキテクチャ」は、大企業などの巨大な組織のリソース配置や業務プロセス、デジタルシステムなどの標準化、全体最適化を進め、効率のよいビジネスを生み出すための設計手法です。
エンタープライズアーキテクチャは、4つの構成要素、「ビジネスアーキテクチャ」「データアーキテクチャ」「アプリケーションアーキテクチャ」「テクノロジーアーキテクチャ」によって構成されます。よくピラミッド型の図で表され、下から「テクノロジー」→「アプリケーション」→「データ」→「ビジネス」となります。これらの4つのレイヤーでそれぞれのアーキテクチャが整合性を持って関係した世界を構築することになります。
ここでも言えるのは、あまりにも巨大なスキル要求であり、これをちゃんとやろうとするとコストの心配より、人材の心配が大きくなるのは間違いがありません。想像ですが日本国内でEAにちゃんと取り組んだ企業は、恐らく10数社レベルではないかと考えます。

さて、やはり要求されるスキルのあまりにも膨大なのにいささか嫌になるのですが、じつはこれまで見て来たスキルセットのいくつかは重複しています。ちゃんと整理すると少しは楽になる?かもしれません。これについては後ほど検証していくことにします。
次回は「ビジネスモデル・プロセス」カテゴリで使用するスキルについて考えて行くことにします。

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