対戦型ネットライムの合理主義
概要
前回“対戦型ネットライムは制約のゲーム”において、対戦型ネットライム特有の面白さは(トピックの狭さに起因する)難易度の高さだと述べた。
今回は、逆に対戦型ネットライムであることが難易度の低さにつながるケースを考察する。
発掘範囲の局所化は作業負荷を下げる
対戦型ネットライムはトピックが制約されるため、ディスまたはボースティングに結び付けられそうな韻だけが求められる。
すなわち、いかに音響効果や技術性が高い韻であっても、バトルと無関係なものは役に立たない。
そのような韻を用いた場合、「内容と無関係な韻を羅列しただけ」といった評価を受けるだろう。
必然的に、ライマーの発掘作業や編集作業は、バトルに適した語彙・表現の枠内に最適化されることになる。
それ以外のエリアで韻を探すことは無駄になるからだ。
結果的に、ある素材フレーズで発掘や編集を開始した際に得られる解は少ないものになる。
また、一定範囲で推敲を打ち切ることになるので、自由型ネットライムと比べて所要時間も短くなる。
対戦型ネットライムのほうが韻を探す範囲が狭い分、やることが限られており、難易度が低いともいえるだろう。
そして、このような韻ばかりを踏んでいれば、異なる分野にわたって韻を探し続ける忍耐力、さまざまなトピックで文章を組み立てる推敲力が不足する。
つまりは成長の可能性が狭められると思う。
まとめ
ここまでを総括すると、次のようになる。
対戦型ネットライムは、発掘できる範囲が限られるため、優れた韻を探し出す難易度が高い
一方で対戦型ネットライムは、発掘すべき範囲が限られるため、推敲のサイクルが短く、難易度が低い
そこから導き出される対戦型ネットライムの特性とは、“限られた範囲内で可能な限り優れた韻を探すゲーム性”だといえる。
その成果物は、制約の少ない自由型ネットライムと比べれば、品質の面で劣っても不思議はない。
しかし、制約の厳しさを考慮した上で総合的に評価する場合、同等の面白さや魅力が見出せるのかもしれない。
(文/MCコモドドラゴン)
押韻島公民館アドベントカレンダー2023
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