対戦型ネットライムは制約のゲーム

概要

対戦型ネットライム特有の面白さについて考える。

執筆の経緯

以前に“「シキヤミ vs 越境」感想”にて次のように書いた。

筆者は普段ネットライムをやらない人間である。
特に勝敗のある対戦型ネットライムには懐疑的だ。

それぞれに自分の愛する韻を語るライマーたち、そこに優劣を持ち込む必要があるのだろうか?
第三者によって、どちらが上か下かなどと論じる意味があるのだろうか?

このような考えから、対戦型ネットライムに否定的な気持ちを持っていることは事実である。

しかし、対戦型ネットライムに特有の面白さや魅力があるならば、その点は認識しておくべきだと考えた。
今回は、そのあたりを整理してみたい。

対戦型ネットライム特有の面白さとは、難易度の高さである

“韻を踏む活動の一つ”として見た時に、対戦型ネットライムならではの面白さはどこにあるか?
この問いに対しては“トピックを罵り合いに限定する、という制約によって、発掘難易度・編集難易度が上がる点”を挙げられるだろう。

たとえば相手が踏んだ韻に対して、別解ライムでカウンターを繰り出す場合。
対戦型ネットライムでは、その別解ライムのフレーズは何でもよいわけではなく、“相手を罵る表現”や“自分をアピールする表現”に結び付ける必要がある。
その結び付け方が直接的か間接的か、という表現の幅はあるとしても、究極はすべてのフレーズがそこに行き着くのが対戦型ネットライムである。

したがって、踏む韻すべてが“ディスまたはボースティングに属する韻”であることを求められる。
あるいは韻のフレーズ自体がその主題に結び付かない場合も、韻を文章内に使用するための編集作業(繋ぎ)によって関連付けを行うのだ。

自由型ネットライムであれば、通常、トピックにそのような制約はない。
これは、自由型ネットライムと比較して対戦型ネットライムの発掘難易度・編集難易度が高いことを意味する。

しかし、別の見方をすれば、対戦型ネットライムは自由型ネットライムよりも易しい側面がある。
次回はその点について述べる。

【つづく】

(文/MCコモドドラゴン)

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