見出し画像

Laughing Note〜お笑い手帖回顧録VOL23 

お笑いDOJO編 その1~
1993年の後半。当時のTBSラジオ事業部長から呼び出され、「TBSホールに若者を呼びたいので、お笑いのイベントをやりたい。君はお笑いに詳しいらしいから、プロデュースしてほしい」との命で、アナウンサーの傍ら、お笑い番組プロデューサーという二足の草鞋を履くことになる。演出を学んだこともないし、そもそもプロデューサーって何をやるんだ?って状況だったのだが、あまり深く考える性質でもないので、これまで観てきた色々なライブを参考に、2014年立ち上げたのが、「赤坂お笑いDOJO」だ。
まだ世に出る前の若手お笑いの面々が鎬を削る「道場」のイメージと、音楽DJになぞらえて、おすすめのお笑いを紹介する「お笑いのDJ」って意味も込めて DOJOと表記した。
公開録音というスタイルだったのだが、ライブを2時間やっても放送は30分で出演者の全てのネタは放送できない。悩んだ末、観客の投票で上位の組だけ放送するという苦肉の策を取った。NHKオンエアーバトルはこれより後から始まったから、こっちが先(だと思う)。
1本ネタの「有段者」と新人開発枠の「道場破り」の2つのカテゴリーに分けた構成で、1本ネタは、初段から初めて、対戦形式でネタを披露し、客の投票で買ったほうが昇段していくというシステム。最初は僕が当時ライブシーンで力を発揮し、これから世に出ていくであろうと思った爆笑問題、
フォークダンスDE成子坂、
ネプチューン、、海砂利水魚、
X-GUN TAKE2、
プリンプリン、BOOMER らを1本ネタ枠で投入。
(同じ世代でも 既に世に名が出ていた ホンジャマカ バカルディらは、あえて入れなかった)
道場破りはラママ新人コント大会のコーラスラインを参考に、会場の10人が挙手するとネタ終了で、不合格。やり切れば合格で、2回合格で初段に昇格 というシステム。
300人の観客のうち290人を笑わせないといけない厳しい関門だが、ここでウケれば、実力があるという証拠。ここでは
アンジャッシュ、バカリズム、ラーメンズ、スピードワゴンら数々の若手が結果を出し、世に出て行った。
道場破りの出場者は事務所、フリー関係なく広く募集し、毎月ネタ見せを行った。
終日、50組以上の組を観て選考しつつ、アドバイスを行う。いくらお笑いが好きでも、これは神経を使うし、さすがに堪えたが、実際の舞台でウケる様子を目にすると、やはり嬉しい。
当初は、観客が思うように集まらず、集客も苦戦したが 1年後には、観覧希望者が溢れるほどの人気ライブになり、日本青年館でスペシャル公演を開催するに至る。
(このスペシャルライブについては、のちの回で記述する)
多くの笑いに包まれて、若者が集う場になっていったお笑いDOJOは、途中、会場の改修工事の為、野外や協力してくれた専門学校のスペースをお借りしながら続け、またTBSホールに帰って来るのだが、
2003年、TBSエリア再開発によるTBSホールの取り壊しと共に終了となった。
お笑いDOJOは、
僕にとっては、その後の人生においても大きな影響を与えた経験であったのだが、諸々の話は、また別の機会に。
この稿 つづく。
(タイトルの写真はラーメンズ小林賢太郎氏のデザインした公開録音の招待ハガキのもの)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?