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地元で創業する女性達に忘れないでほしい「時間」と「価値」について

先日、流山市女性向け創業スクールの最終プレゼンテーション大会が終わった。

今年で4年目。
立ち上げから行政の方と一緒に手作りで試行錯誤しながら作ってきた。
受講者に名刺を作って飛び込み営業をしてもらうなどリスクが高いこともしたが、行政の方は「何かあったら私たちが何とかします」とチャレンジしてくれた。

4年前はまだまだ女性の創業のハードルが高く、応募の際も「誰にも知られたくない」とおっしゃっていた方もいた。
しかし、継続していくにつれ「創業スクールがあるから流山市に引っ越してきました」とおっしゃる方も出てきて、今年は1日で応募の30名が埋まるほどの人気になった。
20代から60代まで。会社員から専業主婦、フリーランス。属性も様々。

しかし、「創業者(株式会社設立)が少ない」「プチ起業レベルではないか」との意見を言われることもある。

今日は地方で創業する女性の方々に4年間のべ110人の受講者を見てきた私がどうしても伝えたいことが2つある。卒業プレゼンの場でもお話をしたことを記事としても残しておく。

創業期に必要な「まとまった時間」を投資できない女性達

流山の創業スクールの受講者は約8割が子育て中か介護中の方。
自分でやりたいことがある方から、地元で働きたいが企業がない、すでに50歳を過ぎていて求人がない。子育てしかしてきてない。等々理由は様々。

創業スクールで仲間をつくり、背中を押しあい、一歩を踏み出した後、しばらくすると彼女たちはある壁にぶち当たる。

「家族に迷惑をかけない程度にしてほしい」
家事も育児も介護もすべて今までと同じレベルでやってくれるなら創業してもよいが、それができなくなるのは困る。ということだ。

では、家事を分担してほしいという相談をすると「君が僕より稼げるようになってからの話だ」と言われる。

「稼ぐようになる」にはある一定期間お金は稼げなくても、まとまった時間を投資し、グッと事業を持ち上げなければならない。

創業者だけでない。会社員だって同じなのだ。
稼げない時期(会社に給料分の貢献ができていない時期)を経ないと、利益を出し、貢献できない。

それをなくして「まずは結果を出せ」と言われても難しい。
夫の壁と同時に愛すべき子ども達の壁も来る。
「なんで急に仕事なんてしだすの?ママとの時間なくなって寂しい」と。
さらに周囲も壁を作り出す。
「かわいそうね。お母さん忙しくて。こんな食事」
マックで夕食を食べていたら顔見知りの方から実際に私も言われた。

これが父親だったらどうなるんだろうか。と何度も考えた。

そうして軌道に乗りかけた仕事に自らストップをかけざるを得ない人も見てきた。

**0か100じゃない。1でも2でも続けてほしい。いつかくるあなたの時間のために。

**

八方ふさがりになった時に、辞めるという選択肢をどうか選ばないでほしい。
たとえ、大きくできなくても、思ったような結果が出なくても、やりたいなら続けてほしい。

いつか自分の時間ができたときに、まとまった時間を投資できるタイミングが来た時に0だと動けない。
1でも2でも常にエンジンを入れておけば、もう一度アクセルを踏める。

創業する人の幸せが何より一番大切だから、それでも全く問題はない。家族の形は色々だし、人の幸せはその人しかわからないから「頑張れないなんて甘い!」とは言わない。

ただ、今しか見ないと辞めたくなるけど、将来を見て、小さくでも動いていてほしい。その場で足踏みでもいいから。

女性の創業はどれだけ細く小さくでもいいから、長く続けられるかが重要だと思う。

東京都、福岡市、神戸市などで創業しないで流山市(地元)で創業する理由

これは私の主観だが、爆発的にスケールさせたいなら流山市で創業するメリットはほとんどない。
東京都で創業すると素敵なスタートアップカフェを安価で使え、いつ行っても仲間と出会え、営業する企業もたくさんある。神戸市では行政バックアップのもと実証実験ができたり、海外を見据えた動きもとれる。

もちろん、大都市と流山では全てが違いすぎるから比較すること自体がナンセンスなんだが、当然創業者には選ぶ権利がある。本社をどこに置くかを。本当にスケールしようと思ったら「環境」と「お金」の観点から大型都市を私は選ぶだろう。

では、なぜ流山市で起業したのか?

答えは、自分の住んでいるこの街をよくしたいからだ。
自分の周りの課題を解決して、身近な人に喜んでほしいからだ。

どうせリスクとって起業して、自分にとって大切な時間をかけるなら、自分の子ども達や友達に直に還元される場所でやりたい。 その気持ちは大きなお金を得るより優先される。

行政のインフラでは届かない、コスパが悪くて大手は手を出さない。
しかし、当事者として感じている街の課題をサービス化しているのが地元の創業者たちだと思う。

彼女たちは地域に密着してセーフティネットを作っている。

地域でマイナスだったものを0にする。または起こっていたかもしれない負の出来事を防いでいる。大きな利益が出る活動ではないから評価されないこともある。

地域の創業は「税金以外で街に貢献している価値」もしっかりと見てほしい。

地元密着のビジネスは急なスケールはしない、すぐに横展開できるわけではない。ただ、結果をちゃんと出せば「流山モデル」として大きくすることも可能だ。
あくまでも「結果として大きくなった」が私は理想だと思っている。
私自身のビジネスもそうだからだ。はじめから事業拡大を考えすぎたら、標準化しようとしすぎて街の課題に合致しなくなり、中途半端になっていただろう。

「自分の事業は大きくなってないし、価値がないんじゃないか」そんな不安を持つこともあると思うが、地元で創業し、活動することはそれだけで価値がある。

だから、どうかブレずに自分のスピードで自分の大切にしたい人を守りながら、進んでいってください。

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