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私だって電車の中では死んだ魚の目をしている。

最近、学生の就活の相談を受けると5人に1人は「電車に乗ってる会社員の目が死んだ魚の目をしていて。生き生きと働いている大人がいない」という。

使う言葉は少し違うこともあるが、言いたいことは「日本の会社員は疲れ切ってる。魅力がない。」ということ。

その時、私はこう聞く。「ついでに、死んだ魚の目ってどんな目ですか?」

そしたら「なんというか、一点見つめてたり、ボーッとしてたり、覇気がなかったり」と学生たちは答えるのだ。

「それだったら、私も電車の中では死んだ魚の目をしてるよ」

仕事は充実してるし、幸せだが、電車の中で目をキラキラさせ、背筋を伸ばして、イキイキオーラを出してるかというと答えはノーだ。

むしろ、真逆で背筋を丸め、ため息をつき、目を開けているのか閉じているのか分からないくらい、じーっとしていることの方が多い。

電車の中は私にとっては緩める時間なのだ。
勝負アポが終わり、次の講演会に向かう移動だったとしても、電車の中で人前に立つモードにはならない。

次までにエネルギーを蓄えるために、何もみず、何も聞こえず、何も話さない。一点をひたすらじーっとみていることも少なくない。

電車の中だけ見て判断してはもったいない。

あなたたちが一瞬出会って「死んだ魚の目をしている」とジャッジしたその人は、もしかしたら、30分前に営業がうまくいかなかったが、電車の中で切り替えて、会社に戻ったらまた奮起しているかもしれない。

もしかしたら、かなり大きなプレッシャーがかかるプロジェクトが終わり、電車で一息つき、家に帰ったら笑顔の優しい親の顔に切り替わっているかもしれない。

もしかしたら、昨日は夜泣きでなかなか眠れなかったから、電車の中だけは短くても仮眠をとって体力を回復させているのかもしれない。

もしかしたら、その一か月は仕事がきつくて、毎日通勤が憂鬱だったけど、暗闇を抜けて、今は気持ち良く会社に行っているかもしれない。

だから、たった20分、同じ電車に乗った印象だけで、「社会」や「働く」や「会社員」を決めてはもったいない。

上辺だけを見て、ダメだと決めると自分の幅も狭くなる。

会社にインターンに行ったり、家族留学したり、中小企業経営者のカバン持ちをしてみたり、電車に乗る人たちの電車に乗っていない時間をみてほしい。

もっと働く人の様々な側面を見ると、働くことが少し面白くなる。

電車はオープンだけど、精神的に1人になれる空間。

電車は物理的にはみんなに見られるのだが、知り合いがいなければ、精神的には1人にこもれる場所なのだ。

そして、移動は唯一「会社の自分」や「家庭の自分」をふと忘れられる「何者でもない自分」になれる瞬間でもある。

だから、その特殊な空間と時間だけをみて、その方の会社とプライベートが充実してないと判断しないでほしい。そして「日本の会社員終わってる」とか「かわいそう」とか「なりたくない」とか言わないでほしい。

電車に乗っている時の顔や目にさほど意味はない、と思ってほしい。

少なくとも私は移動中は死んだ魚の目をしているし、私が魅力的だと思う方々を電車で見た時「ボケー」としていることも多い。

そんな時は「無の時間」を邪魔しないように、そっと隣の車両にうつる。

いつでもどこでも元気な人はあんまりいないよ。すごい社長さん達は送迎車で移動するから、彼らが移動時にどんな顔をしているか知ることができないけど、たぶん緩めているんだと思う。じゃないと、締める時に締めらないから。

だから、そんなに未来を悲観せずに、働くことを怖がらず、チャレンジしてください。

そして、電車の中の人たちをあなたが就活から逃げる理由に使わないでください。

補足。電車で私を見つけても決して声をかけないでください。無の状態で声をかけられると「えっ。。え!えっ?」とパニックになりますから。

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授業作家。 株式会社新閃力代表取締役社長。(株)市進ラボ社外取締役。奈良県生駒市教育指導課教育改革担当。 社長兼公務員として、子ども教育をさまざまな側面から「面白くする」ことがしたい。