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【子どもが先生をするオンライン授業】「学びを止めない」というより、「学ぶ意欲を止めないこと」が大切。

民間学童ナナカラがオンライン授業を取り入れたのは今から4年前。
■2016年5月 浪江農園さんとのオンライン会議
子ども達が植えた苗の様子を浪江農園さんが田んぼから報告。
それに対して「なぜ苗が生えてくるのか?」などスカイプ越しに質問。
オンラインを通して、様々な職業の人が先生になってくれること、生きている教科書の面白さを知った。

■2018年 5月 ナナカラ大学 子ども先生を開始
学童内に大学を設置。自分の得意分野の先生になる試み。
各教室を回って先生をすることで、「教える楽しさ」を知った。

■2019年5月 キャリア教育で本格的にオンライン活用を開始。
私は毎月仕事や出張先から子ども達に授業をした。新しい働き方、新しい学び方を子ども達は「当たり前」に感じるようになった。

2020年5月 子どもがオンライン授業の先生に

そして、コロナの影響による休校に伴い、在宅の子も学童に通う子も参加できるオンライン授業を開始。
今までナナカラが培ってきた経験を活かしてオンライン×子ども先生を実施。
流山の小学校に通う田中ひろはる君が自分の得意なプログラミングについてオンライン授業を作ってくれた

私は授業の骨子を作る時だけ、少しアドバイスをした。本当に少しだけ。
それだけで、彼はこれほどの授業を完成させた。
子どもが先生になったリアルなオンライン授業をぜひ見ていただきたい。

授業後の各々の感想

【田中先生のインタビュー】
--一番大変だったことは?
スライドや原稿とかを作って、いかにみんなに分かりやすく伝えることができるか、この授業を作るうえでそこが難しかったです。
---やってみて良かったですか?
はい。とても良かったです。
作ってきたものをみんなに発表できたということがとてもよかったです。そこを準備してきたので、とてもやりがいを感じました。

【参加した子ども達の感想】
・もともとプログラミングに興味があった(本やサイトを知っていた)けど、もっとやってみたくなった
・土日に家でやってみたい
・かっこいい(司会や使いこなしているところ)
・自分もレゴで洗濯物をとりこむものを作ったことがあるけど、発表するのははずかしい
・本物の先生みたいだった。教えるのが上手
・自分でやっていてすごい
・プログラミングで自分の言ったように動いてうれしかった
・パソコンを使いこなしている(zoomの操作やチャットなど)のがすごい、かっこいい  

【田中君のお母さんの感想】
■初めて会った他の教室の子達にも授業を見てもらえたこと
■直接会って友達になったわけではないけれど、ナナカラ大学オンラインに続けて参加していたことで、ひろはるを覚えてもらえたこと
■授業での短い時間でも、こども同士の交流ができたこと
が、本人にとって嬉しかったようです。
休校中の今だからこそ挑戦できたことですので、このような素晴らしい機会を与えていただき、感謝しております。

<子どもが先生になることで変わる5つの視点>

①先生に対する見方が変わる
『授業を作るって難しい、先生の大変さがわかった』とチャレンジした子はみんな口をそろえて言う。
先生がどれだけの時間を準備に費やしているのかを知るキッカケになり、先生という職業への見方が変わる。

②授業を見る視点が変わる
授業で先生の伝え方に興味を持つようになる。例えば、新しい式を子ども達に教える時、先生はゲームを活用して説明している。それがすごく面白くてみんな食いついている、という風に生徒の様子にもアンテナを張るようになる。  

③コミュニケーションの視点が変わる
自分の伝えたいことを一方的に言うだけでは伝わらない。どうすれば相手に自分の伝えたいことを理解してもらえるか?相手はどんな人か?を考えるようになる。「伝える」ことより「伝わる」ことの重要性を理解する。

④自分にする見方が変わる
自分は何が得意なのか?何が好きなのか?なぜ好きなのか?何を伝えたいのか?授業を作る中で何度も自分と向き合うことになる。自分の好きなことを言語化する作業は自分のことを言語化する作業でもある。  

⑤受講者の教科に対する見方が変わる
今まで先生は大人だった。大人だからできて当たり前。授業でやることは、やらなければいけないこと。でも、今、自分と同じ小学生が、あんなにも堂々と先生をしている。羨ましい。かっこいい。同級生があんなに面白そうにプログラミングを語るんだから、面白いに決まってる。やってみよう!となる。先生が同世代であることで、教科に対するスタンスが変わる。

<オンラインで増える3つの機会>

①先生として価値を出せる機会が増える
自分とは違う環境の人たちとつながれることで先生として教える機会が増えるのだ。日本の中だけだと、日本の事を語っても「みんな知っているわ」となるが、海外の子に伝えたら「知らなかった!すごい!」となるように。  

②年齢が関係ない分野が創出される
ICT教育はデジタルネイティブの子ども達の方が大人より、すでにスキルも知識も経験も上をいっている場合が多々ある。子ども時代はひたすら生徒として学ぶのが仕事である、という考えが成り立たなくなる。大人に教えることが当たり前になる。  

③人の役に立つ機会が増える
オンラインで場所に関係なく、自分の得意分野を知りたい人に出会うことで人の役に立つこと機会が増える。教えることで、自分に足りないものを知り、勉強への意欲がわく。誰かの力になれること、それこそが「成長したい」「もっと勉強したい」という学びの自家発電の源である。  

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教えることを大人の特権にしない。
子どもの手に「先生」を渡す事。
そして、年齢も場所も取っ払って「生徒」を集められる環境をオンラインで作ること。
それだけで学びはさらに大きく、もっと速く変わると信じている。



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