掌編「日本ダイエット」@毎週ショートショートnote
「あと2年です」
ん、2年か。平均寿命までは、と思い込んでいた私からすれば、だいぶ早い余命宣告だ。しかし長いと言えば長い。
交換手に実家へ繋いでもらうよう伝えながら、私は考えた。
2年もあれば。やりたいこと、何が残ってたっけなァ。
あれもこれも、「いつかは、いつかは」と思い続けてこの歳になった。あれこれ思いついたって、いざ時間が出来ると忘れている。
タイムリミットがはっきりした以上、私の「いつか」は2年以内に実現しなければ、永遠にその機会を失なう。
と、すると。
「あ、母さんか?今、病院。うん。おれ、あと2年らしい。…うん。近いうち帰るけぇ。今までありがとうな」
『虚しく肥えたこの国は!どこへ向かうのか!私腹を肥やす独裁を打ち砕け!オォー!』
いったい、ここには何人集まっているのか。いざ、声をあげてみると皆、内なる想いは同じだった。
首筋を汗が流れる。活動を始めてから身体が引き締まった。食べる量は増えたが代謝が上がったようだ。
この国も、ぜひ。
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