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掌編「動かないうんこ」@爪毛の挑戦状

今朝の牛小屋は、かなり冷えた。
僕の鼻毛は凍りつき耳は取れてしまうんじゃないかと不安になる程、かなり冷えた。

2頭の涎は、今にも氷柱になりそうだった。
空気が冷たいせいか、2頭ともくしゃみをしている。

おはよう、と声を掛けながらポンポンと腰角のあたりを叩き、立ち上がってもらう。
手早く敷料を寄せて、新しい藁を敷き詰める。
いつものように、寝床の掃除完了だ。

…と、成りたいところだったが。

この、寝床のふちの立派な、敷料を避けて落ちた立派な、ヤツ。

凍り付いて、まったく動かない。
だめだ。これは昼まで取れないから諦めよう。

悲しそうに振り向いた牛と目が合った。
おまえさんのだぞ。

尻尾がグッと持ち上がったので、すぐに逃げた。
危ない、また浴びるところだった。

しかし逃げた先に、動かないうんこ。
僕は躓いて倒れた。


(344文字)



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