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学校一の美少女から副会長にスカウトされました

僕は高校3年生。
今、生徒会で副会長を務めている。

僕は、ものごとにあまり関心を持たない平凡な高校生。
そんな僕が今、どうして副会長をしているのか?

きっかけは、本当に小さなことだった。


高校3年生になった4月。
学年が変わり、新しく生徒会の役員も変わる時期。

この学校の生徒会役員は
自分から立候補して、立候補者が多いと選挙で決める。
一方、立候補者が必要な人員に満たさなければ
既に決まった役員が、全校生徒に声を掛けていく。
そんなルールで生徒会役員が確定していく。

生徒会長になったのは、五百城茉央。

この生徒会長が僕が副会長になるきっかけを
もたらすことになる。

彼女は、学校一の美少女と言われるほど
男子、女子ともに注目が集まる。
僕も「かわいい」とは思うけど、
僕が話せるような生徒ではない。
平凡な僕と学校一の美少女では接点がなく、
釣り合いが取れないと思ってるからだ。

そんな彼女が生徒会長になり、
今後の学校生活に期待が膨らむ生徒が多いが
副会長の枠だけは、誰も立候補者がいなかった。

そして、ここから副会長探しが始まることに。
彼女が相応しいと思った生徒に声を掛けていく。

そんな様子を僕は見ているだけだったが、
彼女にお願いされる生徒たちは断るばかり。

〇〇:(せっかく学校一の美少女と話せる機会が
    あるのに、もったいないヤツらだ…)
そんな呑気なことを僕は、考えた。


そんなことを考えてた翌日
まさか、こんなことになるなんて…

僕が学校に登校して席についた途端に
彼女が声を掛けてきた。

茉央:「ねえ、〇〇くん!」
〇〇:「ん?五百城さんどうしたの?」
茉央:「あの…ちょっとお願いがあるんだけど…」
〇〇:「何?」

何をお願いされるかってことは
もう想像がついていた。

茉央:「副会長になってくれないかな?」
〇〇:(やっぱり…)
   「えっ?僕なんかでいいの?」

頼まれることは分かっていたものの、
僕は思わず聞き返す。

茉央:「うん!茉央は、〇〇くんに
    やってほしいから!
    今日までに副会長、見つけないとダメやねん。
    それにみんなに断られて、もう〇〇くんしか
    頼める人がいなくて…」

「やってもいい」という意思を少し見せたからか、
彼女が僕に笑顔を見せながら言ってくる。

そんな笑顔見せられたら、何も言えなくなる僕。

〇〇:「分かった…やるよ。」
茉央:「ホントに?ありがとう〜!」

僕が了承すると、さらに彼女が笑顔になった。

茉央:「じゃあ、明日からよろしくね!」
そんな訳で僕は、この学校の生徒会副会長になった。


翌日

新しいメンバーになって初めての活動の日。
放課後になり、僕は生徒会室へ向かう。

生徒会室の前に着き、ドアを開ける。

ガラガラガラ(ドアを開ける音)

茉央:「おっ…〇〇くん!」
〇〇:「ごめん…ちょっと遅くなった。」
茉央:「ううん…大丈夫。」

僕が生徒会室に入ると
生徒会長の彼女と他に2人の男女がいた。
おそらくこの2人も生徒会役員の子だろう。

茉央:「〇〇くんが来たところで、紹介するね!
    書記の●●さんと会計の△△くんです。」

●●:「●●です。よろしくお願いします。」
△△:「△△です。よろしくお願いします。」

彼女の言葉で2年生の書記と会計が紹介された。

今日から生徒会活動が始まるのか。
そんなことを考えていると…

茉央:「じゃあ…今日はこれで終わり!」
〇〇:「えっ?あ〜もう終わり?」
茉央:「うん!本格的な活動は明日から。」
〇〇:「あ〜そうなの?」
茉央:「うん!えっ?もしかして…
    昨日渡した活動のプリント見てないの?」
〇〇:「あ…ごめん、見てなかった。」
茉央:「もう!ちゃんと見てよ〜!」

少しだけ頬を膨らませて言われた僕は
何だかむず痒い気持ちになった。


その翌日

今日は生徒会の活動日。
放課後になり、生徒会室へ向かう。

茉央:「〇〇くん、お疲れ!」
〇〇:「五百城さん、お疲れ!」

五百城さんが一番乗りで、生徒会室に来ていた。

茉央:「あの…〇〇くん。」
〇〇:「何?五百城さん…。」
茉央:「その…『茉央』って呼んでほしい!」
〇〇:「えっ?何で…?」
茉央:「だって…〇〇くんとは同じクラスメイトで
    生徒会で一緒に活動していくのに
    何か、ぎこちないかなって…
    それに…私たち友達じゃん!」

彼女が笑顔で答える。

彼女が「友達」って思ってくれてる。
それが分かっただけで、僕は心の中で舞い上がった。

〇〇:「分かったよ!」
茉央:「じゃあ、呼んでみて!」
〇〇:「えっ?今?」
茉央:「うん!ほら〜早く!」

僕に早く呼んでほしいのか、
上目遣いで僕を見つめてくる。
そんな彼女にまたキュンとしてしまう僕。

本当なら「茉央」と素直に呼びたいけれど
いざ、本人を目の前にすると緊張してしまう。

〇〇:「……茉……茉……茉央さん…」
茉央:「もう!茉央でしょ!」

どうしても照れくさくなってしまう。
「茉央」と呼べるのはまだまだ先になりそうだ。


今日の活動が終わって

●●:「お疲れ様でした!」
△△:「お疲れ様でした!」

2年生の2人が僕たちに挨拶を交わして
生徒会室を後にして、帰っていく。

〇〇:「五百城さん!鍵、僕が戻しに行くよ。」
茉央:「えっ、ありがとう!」

生徒会長は何かと大変。
副会長である僕は「何か助けられたらいい…」
そんな気持ちを持っている。

鍵を職員室に戻し、僕が玄関へ向かうと
五百城さんがいた。

〇〇:「あれ?五百城さん…」
茉央:「あっ、鍵ありがとう!」
〇〇:「あ…うん!」
茉央:「〇〇くん!一緒に帰らない?」
〇〇:「えっ?」

彼女と一緒に帰る。
そんな状況に驚きつつも、嬉しい気持ちでいっぱいに…

〇〇:「別にいいけど…」

僕が緊張して何も喋らないと
気まずくなるんじゃないかと思ったが
彼女の方から話しかけてくれたので安心した。

茉央:「〇〇くん!」
〇〇:「ん?」
茉央:「その…副会長になってくれてありがとう!」
〇〇:「別にお礼なんて言わなくていいよ…。」
茉央:「ううん…茉央が言いたいから。」

いつもの笑顔でお礼を言われる僕。
何度も見ているけど、毎回ドキッとしてしまう。

2人の帰り道が別れる交差点に着いた。

茉央:「じゃあ、また明日ね!」
〇〇:「うん!バイバイ👋」

2人はそれぞれの道へと足を進めていった。


一週間後

いつものように、生徒会室へ向かうと
彼女と●●さんの話し声が聞こえてきた。

●●:「〇〇先輩のこと、好きなんですか?」
茉央:「えっ?何で…?」
●●:「言わなくても分かりますよ。
    〇〇先輩と話してるときの五百城先輩…
    何か様子がおかしいですよ?」
茉央:「うう…」

後輩に見透かされたようで何も言えなくなる。

茉央:「好き…でも〇〇くんの気持ちは…」

盗み聞きしたと思われたくないので
僕は、ドアをノックして入った。


1ヶ月後

今日も生徒会活動を終えて、教室を後にしようとする。

茉央:「〇〇くん!」
〇〇:「ん?」
茉央:「ちょっと話したいことがあって…」

もしかして…とは思ったけど
そんなことがあっていいのだろうか?

茉央:「茉央、〇〇くんが副会長になってくれて
    良かった!」
〇〇:「良かった?」
茉央:「うん!茉央ね…〇〇くんのおかげで
    生徒会の活動も楽しいと思えたし、
    〇〇くんと沢山話せてるから…」
〇〇:「………」
茉央:「〇〇くんは副会長になったことを
    どう思ってるのか分からないけど
    茉央の気持ちを今日は伝えたい!」
〇〇:「うん…」

茉央:「茉央…〇〇くんのことが好き!」

赤面しながら彼女が言った。
まさか、学校一の美少女から告白されるなんて…
僕は何も言えなくなった。

茉央:「〇〇くんの気持ちは?」

〇〇:「僕なんかでいいの?」
あまりにも飲み込めない状況で
僕は、確認をしてしまう。

茉央:「〇〇くんがいいの!」

驚きが隠せないが、僕は思い切って口を開いた。

〇〇:「こんな僕でよかったら…よろしく!」

茉央:「wwwww」
告白して緊張が切れたのか
喜びでいっぱいな茉央が笑顔になり、笑った。

その笑顔につられて僕も笑った。


1週間後

今日も生徒会活動をしていると△△が声を掛けてきた。

△△:「先輩、なんか良いことありました?」
〇〇:「なんだよ、急に…」
△△:「何か先輩が最近よく笑ってるところ
    沢山見るようになったからです。」
〇〇:「その言い方だと、普段俺が笑ってないみたいに
    なるだろ!笑」
△△:「すいませんwww」
〇〇:「別に何もねーよ!笑」

それは嘘だが、茉央と付き合い始めて
毎日が本当に幸せと感じるようになった。

そんなことを思いながら、茉央を見ていると
目が合い、僕に向かって微笑んだ。

この笑顔をいつまでも見られますように…

そんなことを願いながら、今日も生徒会活動へ

…終

__________

五百城茉央ちゃんの笑顔とピュアな一面は
本当に可愛くて、癒されますね!

また、空回りすることもあるけど
あきらめずに努力する姿勢も応援したくなる理由です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!