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僕はあの子に二度目の恋をした
?:「〇〇…」
そんな声が聞こえて、目を覚ますと
1人の可愛い女の子が涙ぐみながら僕の隣にいた。
?:「良かった…目を覚ましてくれて。
ちょっと、先生呼んで来るね!」
〇〇:「あっ、はい…」
少し困惑している僕。
正直、この女の子のことが全く分からない…。
一体、誰なんだろうか?
医:「失礼します。
突然ですが、自分の名前は分かりますか?」
〇〇:「………分かりません。」
医:「やっぱり…」
〇〇:(やっぱりってどういうこと?)
僕は、脳内で困惑しながら先生を見る。
医:「これがあなたの名前です。」
そう言って、僕に学生証を見せてくる。
ということは、僕は今高校生。
さらに、自分が車に撥ねられるのを避けようとして
転倒して事故を起こした事実も教えてもらった。
医:「今は回復に向かってる時です。
くれぐれも無理はしないようにお願いします。」
〇〇:「分かりました…」
目が覚めて気づいたら、病室にいるという
訳の分からない状況に困惑しながらも返事をする。
先生が病室から出ていき
名前の知らない可愛い女の子と2人っきり。
正直、こんな可愛い子は一度見たら忘れないものだが…
この子は一体、誰なんだ…?
〇〇:「あの…あなたは誰ですか?」
?:「井上和。〇〇の彼女だよ?」
〇〇:「えっ、彼女?
僕らって付き合ってるんですか?」
和:「そうだよ?」
急に知った事実。
そんなことがあったなんて…信じられない。
僕は、事故以前の記憶が無いんだから…。
「この18年間、俺は何をしていたんだろう…?」
そんな疑問を抱きながらも、時は進んでいく。
翌日、僕は退院した。
あの子の彼女という事実や
事故で今までの記憶が無いことなど
訳の分からない状況に振り回されながら
病院を後にして、家に帰った。
その翌日、月曜日の朝。
僕は、学校へ向かうために玄関を開けると
そこには、和が待っていた。
![](https://assets.st-note.com/img/1689695889294-QTT17MizrT.jpg)
〇〇:「うおっ!」
和:「おはよう!」
〇〇:「おはよう!
あれっ?家、知ってたの!?」
和:「うん!だって、何回も遊びに来てるよ?」
〇〇:「えっ、そうだったの…?」
そして、今日を境に和と一緒に登下校するのが
日常になった。
そんなある日、僕は和に相談してみた。
〇〇:「ねえ、和。
失った記憶ってどうしたら戻るんだろう?」
和:「う〜ん…無理に戻そうとしなくても
いいんじゃないかな?」
〇〇:「確かに…過去を知るのは少し怖いかも。
でも、思い出したいっていう気持ちも…」
和:「でも、なんで思い出したいって思ったの?」
〇〇:「実は…これが気になって。」
そう言って僕は、1枚の写真を和に見せる。
和:「あれ?これって京都じゃん!」
〇〇:「京都なんて行ったかな?」
和:「うん!行ったよ。私と〇〇で…。」
〇〇:「えっ!」
事故以前の出来事を言われて、驚きを隠せない。
〇〇:「でも、これを財布に入れて持ってたってことは
何か心に残った思い出があったのかも…。」
何があったのか分からないものの
和との思い出があったのだろう…。
すると、和がある提案をしてくる。
和:「京都、行ってみる?」
〇〇:「えっ?」
和:「それを持ってるってことは、
何か京都に思い出があったってことだから
行ってみれば思い出せるかも…。」
〇〇:「そうかもしれない…。
でも、そんなこと言って本当は
和が京都に行きたいだけとか…笑」
和:「……そんなことない。」
一瞬、沈黙があったものの否定する和。
そういうわけで、和と京都に行くとこが決まった。
京都へ行く土曜日
朝、6時30分頃に目が覚める。
〇〇:(う〜ん…今日は京都に行くんだ。
起きないと…。)
昨日は早めに寝たので、かなり目覚めが良い。
僕が起きあがると…
![](https://assets.st-note.com/img/1689727545509-0LWGMWjtyN.jpg)
当たりそうなくらいに、和の顔が近くにある。
〇〇:「うわっ!」
少し、勢いのない驚きの声を上げる僕。
和:「おはよう!笑」
驚いた僕のリアクションを面白がるように
笑いながら挨拶をする和。
〇〇:「おはよう…来るの早いね。」
和:「だって、京都行くの楽しみだったから
早起きしちゃった!」
〇〇:「じゃあ、俺も準備するよ。」
和:「うん、じゃあ下で待ってるね!」
朝7時
着替えを終わらせて、そろそろ駅へ向かう頃。
階段を降りて、1階へ行こうとする僕は
母さんと和の会話が聞こえてきて、足を止める。
母:「〇〇のこと、よろしくね!」
和:「はい!」
母:「〇〇は、普段『好き』とか言わないから
そっけないように見えるけど
和ちゃんのこと好きっていう気持ちは
誰よりも負けないから…」
和:(〇〇…)
母:「〇〇が言ってたの。
『記憶が無くなって、
この先どうなるか不安しか無かったけど
和のおかげでどうにかなってる』って」
和:「そうなんですか…?」
母:「うん!だから〇〇には、
和ちゃんしか居ないってこと。
これからも〇〇のこと、支えてあげて…」
和:「はい!」
聞いてて少し照れくさくなった僕は、
再び足を進めて階段を降りる。
和:「準備できた?」
〇〇:「できた。」
和:「じゃあ、行こうか。」
準備が整い、家を出発した。
和に導かれて、東京駅へと向かう僕。
東京駅に着いたのは、7時30分頃。
乗車券と新幹線特急券
2枚の切符を通して、改札の中へ入った。
隣同士で予約した指定席に和と座る。
和:「wwwww」
楽しみな気持ちが漏れて、少し笑ってる和の隣で
僕には気掛かりなことが…
〇〇:「………」
和:「ん?〇〇、どうしたの?何か考え事?」
〇〇:「まあね…いろいろ考えてる。」
考えてしまうのは、仕方がない。
ぶっちゃけ、本当に記憶が戻るのだろうか…
そんな不安が頭をよぎる中、
新幹線は、定刻で東京を出発した。
およそ、2時間後
車内:「まもなく、京都です。」
和と何を話していただろうか…。
事故以前の話を聞いて、僕は驚かされていた。
京都に到着した僕たち。
京都駅の改札を出てからも、和に先導される。
寺町京極商店街、四条大橋、八坂神社、
清水寺、太秦映画村など
京都の名所を歩きながら巡っていく。
初めて来た感覚ではなく、
どこか懐かしい感覚を覚えた僕。
そして、四条大橋にやってくると
和が足を止める。
![](https://assets.st-note.com/img/1689775208701-9t3JedUyiy.jpg?width=1200)
和:「ここ、覚えてる?」
〇〇:「なんか…初めて来たような感じではないよ。」
必死にここで何があったのか、思い出してみる。
〇〇:「………」
自分のスマホに入っていた写真をよく見ると
全部、今日回った場所であることが分かった。
和は僕の記憶が戻るように、必死になってくれた。
何としてでも、今日記憶を取り戻したい。
事故直後からの出来事を思い出してみる。
和が僕の彼女である事実を知って
僕の記憶を取り戻すために、京都に来た。
振り返ってみると、ある疑問が出てきた。
そもそも、僕が和と付き合ったのはいつなんだ…?
事故以前から付き合っていたことは分かってるけど
何をきっかけに付き合ったのか…
どこで告白したのか…何と言って告白したのか…
思い返せば多くの疑問が出てくる。
一か八か、和に言ってみた。
〇〇:「記憶が無いから、定かではないけど
もしかして和と付き合い始めたのは…
以前、ここに来たときだったりする?」
和:「………。」
〇〇:「………。」
和:「よく分かったね!
以前、京都にやってきたとき
〇〇と私が付き合うことになったの!」
〇〇:「そうだったのか…」
和:「今の〇〇には、そんな記憶もないけど
あのときのこと、私は今でも覚えてる。」
〇〇:「ちなみに、どっちが告白したの?」
和:「私から…」
〇〇:「ごめん…全然覚えてないよ。」
和:「まあ、仕方ないよね…
実は、このことを話すためにここに来たけど
他にも話したいことがあって
ここに来たの!」
〇〇:「他に話したいことって…?」
僕が聞くと、和が少し発言をもったいぶる。
和:「〇〇の記憶が無くなって1週間経つけど
〇〇が私と付き合ってることを
受け入れてくれた。
記憶が無いし、気が動転してるはずなのに…」
〇〇:「事故以前のことは知らないからね…」
和:「だから、〇〇の記憶が早く戻るように
私は、〇〇を支えていきたい!
これからも私と一緒にいてくれる?」
〇〇:「もちろんだよ!
俺も和と一緒にいたいよ!
今日の朝、母さんから
俺の気持ち、聞いたでしょ?」
和:「なんで知ってるの?」
〇〇:「階段降りようとしたときに
母さんと話してるの、聞こえたんだよ。
あれが俺の本音だよ。」
僕がそう言うと、和が僕に抱きついてくる。
そんな和に驚きながら、僕も和を抱きしめた。
夕方の帰りの新幹線
今日を振り返ると、いろんな思い出があった。
![](https://assets.st-note.com/img/1689815660426-Rq83L3zVwp.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1689815726939-aK5Pzpm4Mf.jpg?width=1200)
着物姿の和、お土産を見て嬉しそうな和。
いろんな和を見ることができて、
僕も満足した1日だった。
楽しかったけど、歩き疲れた。
帰りの新幹線も和はずっと僕に話しかけてくる。
本当に和は元気だ。
一方、僕は名古屋を出発してから眠気が襲ってくる。
目を瞑りながらも、隣から和の声が聞こえる。
和:「ねえ、ちゃんと聞いてる?もう!仕方ないな…」
和:(チュ!💖)
和の唇が僕の頬に当たる。
〇〇:「うわっ!」
寝ぼけている僕は、目が覚めた。
和:「しーーー🤫」
驚く僕を面白がりながらも、和が言った。
それ以降、東京まで僕はずっと起きたままだった。
隣に和がいる幸せを感じながら…
…終
__________
突然、記憶が無くなってしまえば、
大切な人のことも忘れてしまうことも
あるかもしれません。
しかし、本当に大切なものは
何かをきっかけに思い出すこともあります。
これを機に、もう一度自分の大切なものを
振り返ってみませんか?
最後までお読みいただき、ありがとうございました!