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バンドエイド剥がすような別れ方

バンドエイド剥がすような別れ方の歌詞から
ストーリーを広げてみました。

?:「卒業式までもう、あと2週間だね。」
〇〇:「そうだな。」

そんな話題で一緒に話しているのは、咲月。
一ヶ月まで僕の彼女…だった。

高校3年生の進路が決まった2月の中旬。
クラスでは卒業式の話題が出始める。

今でも僕は、咲月のことが好き。
でも、進路のことをきっかけに
咲月に別れを切り出されてしまった。

咲月:「私が東京の大学に行ったら
    もう〇〇と会えなくなっちゃう…
    遠距離は私には耐えられないよ。
    だから、お互い友達に戻ろうよ…」

そんなことを言われた。
咲月の言ってることに、納得いかない訳じゃない。
僕だって遠距離は耐えられない…でも別れたくない。

当時は「分かった」と一言だけ言って終わったが、
家に帰って僕は、ただひたすら涙を流した。

あのときの咲月の言い方は
まさにバンドエイド剥がすときにゆっくり剥がす感じ。
僕の心が傷つかないように、配慮してくれたが…

別れた直後は、心に穴が空いたように
胸が苦しい日々だった。

空いた心の穴を埋めるように
咲月とよく遊びに言った海に行っても
辛くなるばかり…。

ただ、ぼんやりと海を見続けるだけ。
僕が水平線へ沈む夕陽に照らされて歩く頃には
星の数ほどいた恋人たちもいなくなる。

咲月:「〇〇!」

咲月の声が聞こえたような気がして、
胸がキュンとする。
咲月はいないのに…

できるなら、咲月の前から消えて何もかも忘れたいけどそんな度胸もない。

まさに、夏の恋はフェードアウト。
気付かないうちに消える幻のようなもの。
そんな言葉が僕と咲月の恋にピッタリだった。

別れた後も咲月は僕に話しかけてくれる。
正直、咲月も辛い気持ちはあるだろうけど
それだけ僕のことを思ってくれている証だ。

僕との恋は終わったはずなのに、どうして…
そんな疑問と悲しい感情を僕は抱く。


進路最終決定の日
〇〇:「先生、これでお願いします。」
先生:「分かった…」

僕の進路は、無事に決定した。


そして3ヶ月後の10月
僕は無事に希望した進路に合格することができた。

だけど、僕はそれを咲月に言わなかった。


そして1ヶ月後

?:「〇〇、ちょっといいかな?」
僕を呼び出したのは、同じクラスメイトの井上和。

咲月と付き合ってから、ほぼ話す機会が無かったが
何かあるのだろうか…

〇〇:「何か用?」
和:「咲月と別れたって本当?
   今もずっと様子が変わらないから
   別れてると思わなかった…」
〇〇:「ああ、本当だよ。」
和:「なんで、別れたの?」
〇〇:「咲月に別れてほしいって言われたんだ。
    東京の大学に行ったら遠距離になるけど
    私には耐えられないって…」

僕は少し涙を浮かべながら、そう答える。

和:「でも、〇〇は別れたくないんでしょ?」
〇〇:「そうだけど、咲月の気持ちも
    考えた結果なんだよ。」
和:「後悔はしてないの?」
〇〇:「してるよ。だから…
    もう一度、付き合える方法を探したよ。
    それで、見つけたんだよ…」
和:「えっ、どうするの?」
〇〇:「東京に行くんだよ。」
和:「えっ?」
〇〇:「東京の会社に就職することにしたよ…」

初めて打ち明けた、自分の進路。
これならあの頃の思い出を取り戻せるかも…
誰に何を言われても、僕は諦められない。
僕はわずかな望みを信じて、この道を選んだ。


数日後
この日、日直の僕はみんなが帰った後に
教室の戸締りをしていた。すると…

咲月:「〇〇!」

咲月が教室にやってきた。

〇〇:「咲月。」

キーンコーンカーンコーン🏫

喋るタイミングと最終下校を表すチャイムが重なる。

僕らは、帰りながら話す。
〇〇:「それで話って何?」
咲月:「〇〇の進路、決まったんだね。」
〇〇:「何で知ってるの?」
咲月:「和から全部、聞いたよ。」
〇〇:「そっか…」


和と進路のことで話した翌日
実は、和が咲月と話していた。

和:「咲月、ちょっと話があるんだけど。」
咲月:「ん?何…?」
和:「〇〇の進路、どうなったか知ってる?」
咲月:「知らない…」

〇〇のことを聞かれて、少し暗くなる咲月。

和:「実はね、そのことで話があって呼んだの!」
咲月:「どういうこと?」
和:「〇〇は、東京で就職することになったの!」
咲月:「えっ?」
和:「〇〇言ってたんだ。
   東京に行くのは、憧れもあるけど…
   咲月とまた一緒にいられるかもしれないから。」
咲月:「〇〇が言ってたの?」
和:「うん!」
咲月:「〇〇…」
和:「今ならまだ間に合うんじゃない?」


咲月:「そう言われて、私気づいたんだ…
    やっぱり〇〇のことが好き!
    別れを切り出したりして
    自分勝手なのは分かってるけど
    こんな私でよかったら付き合ってください!」

一度は別れを切り出されたものの、
咲月のその言葉に呆然とする僕。

〇〇:「咲月…」

言葉に詰まる。

〇〇:「やっぱり咲月のこと、忘れられないよ…
    咲月のこと、今でも好き!
    だから、こちらこそよろしく!」

僕がそう言うと、咲月の目には涙が…
そして、僕の元に来て抱きつく。

咲月:「〇〇、今までごめん…
    辛い思いさせちゃたね。」
〇〇:「もう、いいよ。
    だって今、こうしてまたやり直すことが
    できたから…」

強く抱きしめてくる咲月に応えるように
僕も咲月を抱きしめる。

〇〇:「さっ、帰ろうか…」
咲月:「うん!」

そして、僕たちは手を繋いで下校した。


あれから5ヶ月後

僕と咲月は、東京へ向かおうとしている。
駅の改札口の前で、僕と咲月は
お互いの家族に見守られながら改札の中へと向かう。

咲月:「そろそろ、電車の時間だね。」
〇〇:「もう、そんな時間か…」

〇〇:「行ってくる!」
咲月:「行ってきます!」
僕らは、その言葉を口にすると背をつけて
改札機に切符を入れて、中へと向かった。

そんな僕は今、咲月が隣にいることに
やや喜びの笑みを浮かべながら足を進めた。
咲月と共に…

…終

__________

バンドエイド剥がすような別れ方から
ストーリーを広げた妄ツイでした。

相手を傷つけない別れの切り出し方は難しいものです。
どんなに気を遣っても、別れることは変わらない。

そんな葛藤を抱えながらも
最後は2人が一緒になる道へと辿り着いたという
妄ツイを書かせていただきました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!