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クレデンザ1926×78rpmの邂逅 #102~リヒャルト・シュトラウス 『7つのヴェールの踊り~”サロメ”』自作自演盤(1928)

自作自演『7つのヴェールのダンス』

立て続けにO.クレンペラー、K.ベームが78rpm時代に録音したR.シュトラウスの楽劇『サロメ』から『7つのヴェールの踊り』をお届けした。

ここで本人さん登場、というわけでシュトラウス本人1928年11月ベルリン・フィルハーモニーと録音したこの曲の【ターンテーブル動画】をお届けしようと思う。
奇しくもクレンペラー盤と同年に録音されている。

この曲が12inchの78rpm両面でちょうど収まる演奏時間、シュトラウスのオーケストレーションの鮮やかさを凝縮したような音楽、という点で、78rpm時代に録音されやすい曲であったことは容易に想像できる。B.ヴァルターも録音を残している。

R.シュトラウスの演奏史及び録音史の存在意義

リヒャルト・シュトラウスの作曲家兼指揮者、それも両分野で超一流であったことの歴史的意味については、この「note」でも折々に触れてきた。

それを凝縮し、簡潔に述べるならば

19世紀のおしまいから20世紀初頭にかけて、オーケストラ曲の規模が大きくなり、曲が複雑化するにつれ、それまでは当たり前だった作曲者が指揮するのではなく、その手を離れ専門的な技術を持った職業指揮者(先駆者はH.vビューロー、H.リヒター、A.ニキシュの3名)によって演奏され始め、それが定着した中にあって、マーラーを除けば(それ以上に)唯一の兼業作曲家・指揮者であった。
作曲者として後世にその名前、作品が認められ、大作曲家になったのではなく、生きている時から偉大な作曲家であり(ブルックナー、マーラーは決してそうではなかった)、その後も彼の作品はコンサート、オペラの両分野で、大切なレパートリーとして定着、人気を博している=”コンテンポラリー且つクラシックな”作曲家であった。

実際、1926年に78rpmの電気録音がスタートし、それまでのアコースティック録音では編成的に限界のあった大規模な管弦楽曲が録音できるようになった。
そうなるとシュトラウスの作品は自身の指揮によってすぐにレコーディングされ始めた。

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消費者の「オーケストラ曲をちゃんと聴きたい、それもちゃんとした演奏で」というニーズがあったとすれば、まさにシュトラウス自身の自作自演録音がそれを満たす最適なスキームであったはずだ。
シュトラウスとレコード会社が成し遂げた、レコード録音史上に特筆されるべき業績と言える。

【ターンテーブル動画】

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では、その最も明快な事例をお楽しみあれ。


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