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クレデンザ1926×78rpmの邂逅 #81〜ジェーン・ラヴァル プッチーニを歌う
「クレデンザ1926×78rpmの邂逅」シリーズを始める前、つまりまだ我が家にクレデンザ蓄音機がなかった頃、私は78rpmを電気的再生、つまりテクニクスの78rpm対応のアナログプレーヤーのアームに、SP再生用のカートリッジをアームにつけ装着し再生、「78rpmをカジュアル」に聴くスタイルについて「78rpmはともだち」というシリーズで「note」に綴ってきた。
その#4で初めて買う78rpmとして「自分の好きなオペラ・アリアや歌曲」をおススメしている。
改めて「歌もの」
これについては電気的再生であっても、蓄音機再生であっても変わることがない。
78rpmは12inchサイズであっても片面の収録可能時間は5分。交響曲や協奏曲全曲を聴き通すためには、少なくとも3枚ほどの盤が必要で、都合5回盤をひっくり返さなければいけないから、配信やサブスクリプション、CDはもちろん、片面30分収録のLPと比較しても慌ただしいこと甚だしい。
しかし、アリアや歌曲であればドーナツ盤を聴くのと同じことで、1曲は片面に収められているので、針を落としさえすればそれで1曲を聴き通すことができる。
そもそも78rpmの収録可能時間から、78rpm時代に最も多く制作されたレコードは、オペラ・アリアや歌曲だった。したがって、様々な歌手の歌を同じ曲で聴き較べたり、お気に入りの歌手の78rpmをコレクトするという愉しみも体験できる。
アリア or 歌曲
個人的にはイタリア・オペラのアリアを聴くよりは、ドイツ・リートを聴く方が性には合っている、と自覚している。「華やかな世界よりインナーな世界へ」ということだ。
ただ、「蓄音機で78rpmを聴く」というシーンを思い浮かべると、華やかでドラマティック、特に「情念」や「儚さ」を感じさせる女性歌手の歌うオペラ・アリアの方が、ドイツ・リート以上にしっくりとくるような気がする。針音を出しながら78回転でクルクルと回る古めかしい、しかし栄華を感じさせる蓄音機による78rpm再生・・・。
プッチーニのアリア
女性歌手による78rpm時代のアリアの録音で、歌う方(録音する方)にしても、聴く方にしても、特に人気のあったのはプッチーニ、特に『蝶々夫人』『ラ・ボエーム』『トスカ』の名アリアではないだろうか?
『ある晴れた日に』『私の名前はミミ』『歌に生き 愛に生き』。
多くのディーヴァがこれらのアリアを録音しリリースしている。
これは「軽蔑」でなく「感心」だが、プッチーニの作る歌は、何も考えなくても、仮にイタリア語に明るくなくも、聴き手の心に何かを想起させる力を持っている。
プッチーニのアリアは、78rpm時代の「鉄板」だった。
今回はそんなプッチーニのアリア『ある晴れた日に』(蝶々夫人)、『私の名前はミミ』(ラ・ボエーム)のまさに鉄板カップリングを、フランスのディーヴァ、ジェーン・ラヴァル(Jane Laval, 1896-1984)の78rpmで。
ジェーン・ラヴァル
ラヴァルについては、あまり詳しい資料もなく、仏コロンビアにレコーディングした78rpmを市場で見かけることもあまりない。
同じくフランスのディーヴァ、ニノン・ヴァラン( Ninon Vallin, 1886-1961 )よりも2世代若いこのソプラノは、パリ音楽院に学び、1918年にデビュー。1919年にブエノスアイレスのテアトロ・コロンと契約し、一気にその名を知られるようになる。1920年にはバルセロナのリセウ大劇場、1924年にはモンテカルロ・オペラ座に出演。
もちろんパリ・オペラ座、パリ・コミック・オペラ座にも頻繁に出演している。
リリコからスピントにかかるその声は、多くのイタリア人ソプラノよりも良い意味で華奢で、プッチーニのヒロインとしては、その軽さがより相応しいように思える。
【ターンテーブル動画】
指揮はシャンゼリゼ劇場の首席指揮者を務めたり、小澤征爾が優勝し、世界進出するきっかけとなったブザンソン国際指揮者コンクールで審査員長を務めていたウジェーヌ・ビゴー。
名曲の名唱を。
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