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ジェルメーヌ・セルネイ ブラームス『2つの歌曲』Op.91(1942)

J.Brahms
Deux cantiques op. 91 n °1 et 2
“Désir Apaisé”
“Berceuse de la Vierge”

Germaine Cernay, mezzo-soprano
M.benoit, alto
Lucette Descaves-Truc, piano

Coiumbia LF169
Shellac 10" 78rpm
Enregistré au Studio Pelouze, Paris, le 7 octobre 1942

ブラームス「2つの歌曲」Op.91
1.鎮められたあこがれ
2.聖なる子守歌

ジェルメーヌ・セルネイ(メゾ・ソプラノ)
M.ブノア(ヴィオラ)
ルセット・デカーフ・トリッチ(ピアノ)

ジェルメーヌ・セルネイ(Germaine Cernay, 1900年4月28日 - 1943年12月19日)はフランスのメゾ・ソプラノ歌手。

主にパリ・オペラ・コミック座で活躍した彼女のSPレコードは決して少なくない。

『カルメン』『サムソンとデリラ』のタイトルロール、『カヴァレリア・ルスティカーナ』のサントゥッツァをはじめとするヒロイン役やフランス、イタリア・オペラのメゾに充てられた諸役の音源もある。
更に彼女はリートやバッハの宗教曲も得意としたが、それらがいずれもフランス語で歌われているのが、却って新鮮である。

「『リート』が『シャンソン』になる」と言ったらいいだろうか?
ドイツ・リートの(それがいいところでもあるのだが)厳格さ、精神性を受け継ぎながらも、どこか淡い色彩が滲み出るようなスタイルがとても新鮮だ。

色に喩えれば「少しグレーがかった薄いブルー」という感じだろうか?
それは華奢で触れば壊れてしまうようなプロポーションや、翳りを帯びた顔の表情と綯い交ぜになって、明るく温かい歌であっても、どこか寂しい翳が通り過ぎていくような風情がある。

1942年に42歳で引退して修道女になり、その1年後には癲癇で43歳の短い生涯を閉じる、という彼女の人生もまた、セルネイの歌声のイメージを補ってしまっているようだ。

そしてこのブラームスは彼女の引退間際の1942年に録音されている。

ブラームスの作品91の2曲はアルト、ヴィオラ、ピアノのために書かれた傑作で、メゾ/アルト歌手にとっては大切なレパートリーだ。
SP盤に限って言えば、マリア・アンダーソンとキャスリーン・フェリアーが残した二大名唱が良く知られている。
オブリガードにヴィオラを入れたというのは、この楽器を愛したブラームスらしいが、ヴィオラがメロディを奏でることにより、このブラームスの慎み深く、宗教性も感じさせる作品の魅力がグッと増すのが手に取るようによくわかる。

セルネイのSP盤は10インチ両面盤なので、演奏に5、6分を要する2曲をそれぞれ短縮したヴァージョンとなったのが少々残念。
しかしフランス語歌唱によって柔和さが加わり、セルネイの先に上げたような声質が一層際立って聴こえる。

このセルネイのブラームスを、只今販売中の日本コロムビア最高級ポータブル蓄音機 MODEL-221でお聴くください。




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