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クレデンザ1926×78rpの邂逅 #57~初演者 ギッタ・アルパールが歌うレハール『この世は美しい』より『哀れな心よ答えて』

ベルリンの歌姫 ギッタ・アルパール

ギッタ・アルパール(Gitta Alpár, 1903年2月5日 - 1991年2月17日)はハンガリー出身で、最初はドイツ、そしてアメリカで活躍したソプラノ。オペラ、オペレッタ、そして映画にも進出し、女優としても成功した。

ブダペストを皮切りにベルリン、ウィーン、特にベルリン国立歌劇場で音楽総監督エーリヒ・クライバーにも愛され、モーツァルト、ロッシーニ、ヴェルディなどをレパートリーとした。

ギッタはユダヤ系ハンガリー人であったため、ナチスが政権を樹立するとアメリカへ亡命し、その後はアメリカで活躍した。

アルパールについて詳しくは、以前同じく彼女の78rpmをご紹介した時の「note」をご読みいただければ幸いかな。

R.ケンペの『金と銀』

今日、たまたまルドルフ・ケンペがウィーン・フィルハーモニーを指揮してレコーディングし、彼自身がその生涯でテイクした音源で最も愛すべきもの、とも語っているレハールのワルツ『金と銀』についてツィートしていらっしゃる方がいた。
実は私も以前にこのレコードを持っていたが、その『金と銀』のトラックだけ最強音部で音割れがして、泣く泣く手放したことを思い出してコメントさせていただいた。

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そんなことをしていたら、このアルパールの78rpmを聴きたくなった、というわけ・・・。

F.レハール『この世は美しい』

オペレッタ『この世は美しい( Schön ist die Welt)』は、フランツ・レハールの作曲家人生最後から2つ目の作品。
1930年12月3日ベルリンメトロポール劇場リチャード・タウバーとこのギッタ・アルパールが主演して初演された。
この10inchiの78rpm『哀れな心よ答えて』は恐らく初演後、それほど時間を置かずにレコーディングされたと思われる。
カップリングはそのタウバーとのデュエットが収められている。

妻がユダヤ系で、本来ならナチスから目を付けられるべき存在であったはずのレハール。しかし、ヒトラーがレハールの代表作『メリー・ウィドウ』を大変好んでいたため、レハールに対しても寛大な措置が取られていた。
政治には無関心であったレハールであったが、この経緯により戦後レハールは、周囲から冷たい目で見られ、オーストリアや西ドイツから非難される、という事態を招いた。
ここにもまたナチス・ドイツの被害者がいる。

リタ・シュトライヒも歌う!

後年、1960年代初頭にギッタ・アルパールのレパートリーを、当時を代表するコロラトゥーラ・ソプラノ、リタ・シュトライヒが歌った素敵なLPが発売された。

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こちらのアルバム全曲も以前【ターンテーブル動画】にし、「note」にも綴った。

このLPのA面最後に『哀れな心よ答えて』が収録されているので、是非聴き較べでお楽しみあれ。


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