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ロッテ・レーマン ブラームス『五月の夜』(1941)

生まれ月であり、緑色が好きな人間として、やっぱり5月はいい季節だなぁ、といつも思っている。

そして、そんな5月の夜を歌ったブラームスの傑作リートも好きだ。

しかも、それはこの1941年録音で「なければならない」と言ってしまいそうなくらいに、ロッテ・レーマンのSP盤で聴くのが…。

インスタではあまり触れたことがなかったかもしれないが、あたらくしあにあるSP盤(つまり私物、恐らく1,000枚は下らない)で、誰のレコード・タイトルが一番沢山あるかと言えば、それは数えるまでもなくロッテ・レーマンのもの。

レーマンを語れば時間はいくらあっても足りないが、一言で言えば『ソプラノのイデア』という言葉に尽きる。

何にも影響されず、時空を超えて常にある「ソプラノの理想、初源」。

“Die Mainacht“

愛する女性が遠く離れていることに、主人公の詩人が寂しさを募らせているのとは対照的に、つがいの鳩が愛の囀りを響かせる。

静かで孤独が広がる5月の夜。

レーマンのSP盤音源はほぼデジタル化され、配信やサブスクでも聴ける。

過去の偉大な不世出のソプラノを、気軽に聴けること自体は素晴らしい。
がしかし、そこに聴く貧相で無理矢理装ったような音は、どう聴いてもレーマンの魅力を伝えているとは言い難い。
残念ながら。

是非オリジナルのSP盤とHMV102でその真価を。


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