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DECCA Portable Junior Gramophone~小さくてすごいヤツ~ マールチェ・オファース『オンブラ・マイ・フ』

今夜も冬の夜空を眺めながら・・・。

マールチェ・オファース(Maartje Offers, 27 February 1891 – 28 January 1944)はオランダ出身のコントラルト歌手。

彼女についての資料はあまり多くないが、78rpm音源をLP化した音盤には13曲の歌唱が収められている。その中にはオーケストラの伴奏指揮を、サー・ジョン・バルビローリやサー・マルコム・サージェントが務めているものもあるので、少なくともオーファスはその時代に認められていたコントラルトであったことが伺える。
終戦前に53歳という決して長くない人生を閉じている。

彼女の78rpmのオリジナルはそれほど流通していないと思われるし、現在の知名度は低いので、私もたまたまオークションでこの盤を見つけ、コントラルト歌手、そして、『オンブラ・マイ・フ』と『カル・ミオ・ベン』がカップリングされている、という点だけで入手したに過ぎなかった。

ヘンデルの『オンブラ・マイ・フ』は、日本では1986年、コロラトゥーラ・ソプラノのキャスリーン・バトルが歌い、出演したウィスキーのCFソングとして、日本では一躍知られることになった。
しかし、元々はオペラ『セルセ(クセルクセス)』の中の1曲で、カストラート(去勢した男性歌手)に割り当てられた曲。
カストラートの文化が廃れてからは、声域的にコントラルト、あるいはカウンター・テナーによって歌われるのが一番理にかなっている、ということになる。
実際、オファースの他にもルイス・キルクビー=ルン、クララ・バット、マリア・オルシェフスカなどが78rpmに録音を残している。

夏に木陰で聴くイメージがある『オンブラ・マイ・フ』だが、オファースの深く包み込むような歌声にほっこりするのもいい。
デッカ・ポータブル・ジュニアに竹針をつけて・・・。


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