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エリーザベト・ヘンゲン シューマン『トランプ占いをする女』(1946)

女声ドイツ・リートの旅。
今回からお相手を「HMV-102」 から「DECCA Junior Portable」に替えてお届け。

1920年代末、イギリス・デッカから発売された、子供用玩具として作られたものを除けば、おそらく世界最小の蓄音機「デッカ・ジュニア・ポータブル」。
ボックスのサイズはW25.9cm×H19.7cm×D27.7cm。
10inchの78rpmしか乗せられないが、当時の人はこれを持ってピクニックに出掛けたそう。素敵!
蓋の内側にトーンアームがついていて、そこから出る音をお椀型の蓋に反射させて音を増幅させるという「リフレクター式」が採用されており、その大きさに似合わない、驚くべき豊かな響きが流れてくる。

さて、エリーザベト・ヘンゲン(Elisabeth Höngen, 1906年12月7日 – 1997年8月7日)である。

彼女についてはこれまで何回もこの「note」で取り上げてきたので詳細は省く。

戦前から戦後のウィーン国立歌劇場でトップ・アルト歌手を務め、かのW.フルトヴェングラーの『バイロイトの”第九”』でアルト独唱を務めた人である。
名声のわりにはリートのSP盤は決して多くないが、その数少ないうちの1枚、シューマンの『トランプ占いをする女』Op.31-2(c/wはヴォルフの『ただ憧れを知る人だけが』)。
1946年11月5日録音。ピアノ伴奏はハンス・ツィッパー。

『トランプ占いをする女(Die Kartrnlegerin)』は『占う女』と訳されることもあるが、そうすると何か妖しげな女占い師が占いを執り行っているようなイメージがある。
しかし実際の詞の内容は、

簡単に言えば「若い女の子が家族が寝静まってからトランプ占いをしてキャッキャする」といった可愛らしいもの。
女の子が占いをするたびに気持ちがコロコロ変わるようなシューマンの音楽のつけ方が絶妙。

この曲にはロッテ・レーマンのSP盤もあるが、それはまた別の機会に。

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