見出し画像

クレデンザ1926×78rpmの邂逅 #116~こんなにキュートなバッハは他にない!?

もしかしたら今年購入したSP盤の中では、ずば抜けて「手に入れられてよかった」「一番お気に入り」と思える1枚なのかもしれない。

と言っても、別に大枚叩いて手に入れた訳ではない。

2,000円。

当時のフランスを代表するソプラノ、マルタ・アンジェリチ(Martha Angelici, 1907年5月22日 - 1973年9月11日)とメゾ・ソプラノのジャルメーヌ・セルネイ(Germaine Cernay, 1900年4月28日 - 1943年9月19日)の二重唱。

マーサ・アンジェリチ と ジャルメーヌ・セルネイ

バッハの教会カンタータ『イエスよ、汝わが魂よ』BWV78より第2曲『われは急ぐ』
フランスLumenの10インチ盤。

アンジェリチとセルネイはいずれもパリ・オペラ・コミック座のメンバーで、例えば、『カルメン』でセルネイがタイトルロールを歌えば、アンジェリチはミカエラを歌う、という感じ。

『イエスよ、汝わが魂よ』は教会カンタータでありながら、ある意味無茶苦茶キュートなこの二重唱のおかげもあって、バッハの約200曲あるカンタータの中でも人気が高い方の1曲。

「早くイエスの下に行きたいのです。」という思いが、こんなに分かり易く伝わるってのは、やはりバッハの『技』。

全曲が初めてレコード録音されたのは戦後1946年だが、この二重唱のみを収めた10インチSP盤は、それに先立つこと4年前の1942年3月10日に録音されている。
一部とは言え、この盤がBWV78の世界初録音。
そして、セルネイはこの年に引退し修道女になり、1年後には43歳の若さで亡くなっているので、その意味でも貴重な音盤。

SP盤時代、バッハのカンタータなどの宗教声楽曲は、器楽曲に比べて録音される機会がかなり少なかった。
それにはそれなりの理由があると思っているのだけれど、それを話し始めたら、長くなってしまうので…。

フランス語歌唱ということもあって、まるで二重唱のリートを聴くような愉しさ。

これはかぶりつきたい美味しさです。

https://youtu.be/gX-_7gSZzb0


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?