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希望日誌2

にわかに強い旅情を感じてみるものの、我に返って出るのはため息ひとつ。せわしなくも間延びした日常を幾度となく睨みつけては、密かな想いをまたそっと胸にしまい込む。

あらゆることの意味がうすらいでいくような、それでいて満ちたりた、そんな感覚はそう簡単には得られない。ぼくらは、もはや森の人のようには生きられない。とりとめもなく湧き出てくる言葉や自意識や幻想を背負いながら、悲しき砂漠をひたすら歩き続ける。

それでもだ。
そんな宿命に失望しながらも、何かを企て、何かを諦め、何かを伝え、何かを隠し、何かを信じ、何かを欺き、何かを求め、何かを失い、何かを与え、何かを奪い、何かを許し、何かを憎み、何かを築き、何かを砕き、笑いながら、泣きながら、歩いて行こう。
砂漠の地平の向こうにある希望の泉に向かって。

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