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ちゃんと考えれば変だってわかる話その2(マスク論文2)

脱マスクの声が日に日に高まり、政府としてもなんとか5月のサミットまでに諸外国にならってノーマスク社会に持っていきたいようなのですけれど、今までマスクを強要してきたもんだから自分たちからは「感染予防効果などありません」とは言えないわけです。
 
実際「ない」という証明は難しいのですが「ある」と証明されないものは誰かに強要される筋合いはないのです(「ある」と証明されても、強要に至るまでは多くのハードルがあるはずなのですけれどね)。

東大飛沫マシンガンマスク実験

政府や厚労省がマスクを推奨(と言う名の強制)する切り札としてきたのが、東大のマスク実験です。
論文のタイトルは

新型コロナウイルスの空気伝播に対するマスクの防御効果」
Effectiveness of Face Masks in Preventing Airborne Transmission of SARS-CoV-2
https://journals.asm.org/doi/10.1128/mSphere.00637-20

https://corona.go.jp/proposal/pdf/mask_kouka_20201215.pdf

上記画像はその結果を簡略化したもので、よく出回っているものでもあります。厚労省のQ&Aでもおなじみ。

まず指摘しておきたいのが、この実験装置。

  • 50㎝の近距離でSARS-CoV-2を飛沫やエアロゾルとしてヒトの咳と同等の速度で口元から20分間放出し続ける(一回の咳で20分のおしゃべりと同等の飛沫が出るって言われているけれども、咳をする人の間近で、口を開けてその人の飛沫を20分吸い続ける設定)

  • ウイルスを吸い込むマネキンには人工呼吸器を繋いでヒトと同等の換気率で呼吸できるようにし、ゼラチン膜でできたウイルスを捕集する装置を呼吸経路に設置することで、マネキンが吸い込んだ空気に含まれるウイルス粒子を捕集(ゼラチンによりウイルス捕集しまくる仕様。実は口腔内の唾液に含まれるIgA(免疫グロブリンA)で大飛沫のウイルスはある程度不活化されやすくなる件は無視)

  • 実験時間はいずれも20分。マスクに蓄積されたウイルスがエアロゾルとともに再度放出される懸念は無視。

こんなものね。水鉄砲で穴に向って水を噴射するときに、何かでさえぎったら入る量減りましたねってだけの実験なんですよ。でも「マスクの効果の概念」ってそういうことですよね。口にさえぎるものがあれば絶大な効果があるはずなんですよ。でも、予想どおりにはいかなかったと思われます。


ちぐはぐな実験結果

まずはこの5×10^5で実験した5パターンの結果を見てみましょう。
咳をする方、吸う方がマスクをつけるつけないで、どれだけ吸う方がウイルスを吸い込むか(そしてそのウイルスに感染力があるか)という実験です。

各実験を単純に見たら、マスクをしている方がウイルスを減らしたように見えますね。でもところどころ矛盾がありますよ。

①双方マスクより受け手がノーマスクのほうがウイルス量が少ない?
咳する方が布マスクで受け手がノーマスク。
ウイルス量は76%減っていますね。
でもDの事件で咳する側される側が両方布マスクだった場合減るウイルス量は68%です。両方サージカルマスクでも71%減。
なんと両方サージカルマスクよりも、感染者が布マスクで健常者はノーマスクの取り合わせの方が摂取ウイルス量は少ないってことになりますよ。布マスクが優秀なんでしょうか⁈

マスク同士よりも受け手がノーマスクの方がウイルス量が少ない⁈

②そもそも数字がバラバラ
Cの実験結果では
布マスク→ノーマスクではウイルス76%減
サージカルマスク→ノーマスクでは73%減
ここでも意外と布マスクが有利ですね。

Dの実験結果では
布マスク→ノーマスクで55%減。
あれ? ずいぶんと成績が悪い。

Eの実験結果では
サージカルマスク→ノーマスクで57%減です。

あれあれ、ちぐはぐですね。

同じ条件のはずなのに、数値がかけ離れている。


感染者がマスクつけているほうが感染しやすい⁈

最初の図に戻りましょう。
上記①で書いた通り「みんながマスクをする方がいい」と言ってしまうには矛盾のある結果があることはスルーされているわけです。

https://corona.go.jp/proposal/pdf/mask_kouka_20201215.pdf

では、マスク推しが良く言う「感染者がマスクをすることに効果がある。感染がわからなくても無症状で感染してるかもしれないからマスクをするのだ」というご意見には合致しているんでしょうか。

次はウイルス量ではなくウイルス力価を見てみましょう。ウイルス力価というのは簡単に言うと「感染性の高さ」のことのようです。実際はウイルス量よりもこっちの方が大事かもしれませんね。

Bの実験では感染者はノーマスク、受け手がサージカルマスクです。
ウイルス力価は47%減。
さてEの実験では感染者がサージカルマスクで受け手がノーマスクの場合、43%減。
なんと、感染者がノーマスクの方が感染力が低いです!

受け手マスクの方が感染者マスクより感染性が低い?

結局ちぐはぐな結果をピックアップしてつなぎ合わせて、「みんなマスクをすることが大切」なんて雑にまとめているわけです。

マスク推しの方々が良く使う以下のCDC画像のように予防効果があるのなら、こんな中途半端な実験結果にはならないでしょう。

本当にこれだけの予防効果があるのなら、もっと顕著に結果がでているはず!



でも、そんなことよりも私たちは大事なことを思い出さなければいけません。

新型コロナが空気感染だと言われる理由

この実験が行われた頃、まだ新型コロナは飛沫感染と接触感染がメインだなんて言われていました。世界がその説を曲げたのはこの論文がきっかけだったようです。

SARS-CoV-2 の空気感染を支持する 10 の科学的理由

さすがは天下のランセットですね。
この論文の内容も含め、空気感染がメインとなった理由を日本語で丁寧に書いてくれているレポートがこちらです。

この解説の中に大事な一文が書かれています。
「飛沫は人に吸入されない」
「飛沫感染は吸入ではなく,粘膜への付着によって起こる」

新型コロナの感染は5μm以下のエアロゾル感染

逆に言えば、空気感染(エアロゾル感染)の場合は粘膜への付着ではなく、吸入によっておこるわけですね。

つまりこの東大マスク実験の肝である「飛沫マシンガンによるウイルスの粘膜付着によるウイルス集積はそもそも意味がなかった」ってことなんです。
 
さてその上で、最初の実験装置をみなおしてみましょう。

空気感染メインで考えたら、マスクにものすごく有利な実験

この実験装置。
咳をする側の正面に受け手のマネキンが口をあけて息を吸い続けることになっています。

正面にしかマネキンを設置していない時点で空気感染を予想していない

そこで思い出して欲しいんです。
あの有名な画像。元画像の方に使用料をお支払いしたいくらい使いまくってるあれです。

排気のほとんどはマスクの隙間から漏れている

マスクをしている人から発せられるエアロゾルは正面ではなく上下左右から噴き出します。

もし受け手のマネキンが、感染マネキンの横に置かれていたら?
もっと多くのエアロゾルを直に吸入したはずです。

ウイルスを粘着させるゼラチンフィルタが正面ではなく、人間と同じように口より下の部分(直接マシンガン飛沫を受けない場所)に設置されていたら?
飛沫ではなくエアロゾル内のウイルスのみをキャッチしていたはずです。

実験時間が20分よりもずっと長く続けられていたら?
空気中を漂うエアロゾルが吸入されるようになります。感染者がマスクをしていなければ下に落ちてしまう飛沫が、マスクに一旦とどまることにより乾燥してエアロゾル化してしまう可能性もあり、そうなるとマスクは逆効果であることが実証されたかもしれないのです。

少し考えればわかること

あれこれ書きましたけど、要はこの二つの画像を見れば一瞬で
「この実験意味ないな」とわかったはずです。

それでも厚労省はいまだにこの実験を以て「マスクに効果あり」としています。空気感染がメインだととっくに認めていると言うのにです。

2022年後半、日本は何度も感染者数世界チャンピオンの座を欲しいままにし、コロナ死者数も爆増しました。それでも政府はマスクを外させようとするのは何故でしょう。
 
それは「とっくにマスクに効果なんかないと知っているから」にほかなりません。でも言えない。絶対言えない。言わせないで欲しい。政府は言わないけど勝手に外して欲しい。
ふざけんなとは思いますが、そもそも日本でマスクが義務だったことはないんです。

外すと決めれば外せばいいんです。
まあ、私は元からしてないから外しようもないんですけどもね。

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