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理想の頭の形?答えはありません

  昨年の5月から、0歳からの頭のかたちクリニックでヘルメット矯正治療に携わっております小児科医の草川です。現在木曜日の外来を担当しています。
 定年で退職するまで総合病院の小児科で新生児や小児の診療をしておりました。その間は、病気を持つお子さんだけでなく、ウェルベビークリニックという乳幼児健診業務も30年間続けてきました。何千人という子どもたちを生まれた時から3歳まで、その成長、発達を一緒に見させて頂き、一人ひとりのお子さん、ご家族から医学書には書いていない数多くのことも学ぶことができました。また、この30年間、子どもを取り巻く日本の育児環境、育児の常識も大きく変わってきました。
 そんな健診業務のなかで、私は常に子どもたちの頭の形が気になっていました。ただ、残念なことに、そのことに学問として正面から向き合うことなく、相談を受けた時だけ、なんとなく知っていたわずかな知識をもとに答えていたという状況でした。
 そんな状況でしたので、昨年から当クリニックで頭の形を本格的に診療し、数多くの医学的データをもとに治療を行う機会を得られたことにはとても大きな喜びを感じています。

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 さて、それでは、頭の形の何が問題なのでしょうか?古くヨーロッパでは、子どもの頭の形を人為的に変形させ、身分の象徴としたような時期もあったようです。そして、そのような頭の形の人為的な変形は、実は、日本も含め世界各地で行われていたようです。人はそれぞれ顔が違うように、そして、親子で顔が似るように、頭の形もみな同じではありませんし、親子で似ることはよくあることです。それでは、理想の頭のかたちとはどのようなものでしょうか?残念ながら、答えはありません。先ほど述べたように、それぞれの顔、頭の形は、それぞれの個性なのですから・・。
 しかし一方で、硬めのベビーベッドなどに寝ることなどで、頭に平坦部分ができたり、結果として頭の形に大きな左右差ができてしまったりすることは、どうなのでしょうか?常に真上を向いて寝ていて、後頭部に明らかな平坦部ができてしまった場合はどうなのでしょうか?明らかな左右差は機能的な問題を引き起こすことがわかっています。また、本来、頭に平坦な部分はないはずです。これらは、明らかに異常なことです。
 こういった頭の形の変形を治すのがヘルメット矯正治療です。左右差や平坦部は個性ではありません。お子さんの頭の形に、左右差がある、明らかな平坦部分があるなど気になったときは、ぜひ、当クリニックに相談してください。ご家族の思う理想の頭の形に矯正することはできませんが、子どもさんの将来に影響を及ぼすことがないように矯正することはできるかもしれません。

東京クリニック 顧問・医師  草川 功

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