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脳外科なのにお尻の診察?

東京クリニックで水曜外来を担当している広川です。

私は今年3月まで小児専門病院で小児神経外科医として勤務しておりました。
小児神経外科医はいわゆるこども専門の脳外科医になりますが、私たちが診療する疾患の中には、いわゆるお尻の部分にあたる臀部や腰の部分に関係する病気が多く含まれます。
脳外科医なのになぜお尻や腰を診るのか疑問に思われますよね。
実は私たちは脳だけでなく脊髄を含めた全身の神経の病気を診ています。
特に小児において脊髄の下の部分に関係する病気はお尻や腰に病変が出現することがあります。
具体的には二分脊椎という疾患になりますが、お尻の皺の部分(臀裂と言います)近くに凹みがあったり、腰の一部が膨らんでいたり、とても小さな穴が開いていたりするとこの病気が疑われます。
外来ではそういった特徴を持った患者さんがとても多く紹介されてくるため
、頭の形や脳の疾患ももちろん多いのですが、腰やお尻の部分の診察もたくさんしていることになります。

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 二分脊椎という病気の中には皮膚の下の脂肪が脊髄までつながっていたり、皮膚に開いている穴が脊髄までつながっていたりすることがありますが、表面からの診察だけでは判断が難しいこともあります。
その場合はお薬を使って患者さんを眠らせた状態でMRI検査を行って診断を行っています。
実際にはMRIを行った結果で異常がないことも多く、その場合は特に経過観察なども必要ありません。
脊髄は脳からつながって背骨の中を通って腰の辺りまで続いていますが、下側は緩く固定されているだけになります。
しかし、もしも脂肪や皮膚の組織が脊髄とつながっている場合は成長に伴って身長が大きくなる時に脊髄が下側に引っ張られてしまい、一部が損傷を受けて、歩き方が変わってしまったり、排尿や排便のコントロールが難しくなることがあります。
このような病気の診断がついた場合は、身長が伸びる前に脊髄とくっついてしまった部分の脂肪や組織を切り離す手術をして、症状の出現を予防しています。

東京クリニック 医師 広川 大輔


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