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【院長ブログ】「診断および治療に関しての、頭蓋変形の客観的な数値に基づくデータ主義と治療効果の「見える」化

(1)最新の3Dスキャン撮影機器による頭蓋形状評価
 乳児の頭蓋形状評価として視診・触診による診断は、大まかな変形は分かるものの、定性的な主観的な評価であり、診断を行う者による差があり、客観的数値に基づく定量的な詳細な評価もできません。これに対して、病的な頭蓋縫合早期癒合症の鑑別診断で行う頭部CT検査は、正確な診断はできるものの放射線被爆が問題であり、頭位性頭蓋変形の診断には適しておらず、放射線被爆の無い3Dスキャン検査が適しています。しかし、静止状態が困難な乳児の頭部360度の撮影には、通常のハンドスキャナーによるスキャン検査では手間や時間が非常に掛かり、その施行は一般的には初診時や治療終了時など、限定的にならざるを得ません。
 この問題に対して、当院では10台のカメラで同時撮影する最新の3Dスキャン撮影機器(VECTRA M5-360: CANFIELD社,USA)をアジアで唯一導入しており、乳児に対しても瞬時に360度の頭部顔面撮影画像の取得が可能です。
 そこで、当院では初診時から、また治療を開始して約1か月毎の再診時にも、毎回の撮影が可能であり、経時的な詳細な治療評価が可能で、これを治療に応用しています。
 
(2) 専用で開発した3Dスキャン画像からの頭蓋形状評価システム 
 3Dスキャン撮影画像は、専用で開発した頭蓋形状評価システム(ジャパンメデイカルカンパニー社製)を利用することで、頭蓋変形の3次元的評価法としての頭蓋前方・後方部各々での頭蓋体積の左右対称性や、頭囲長、頭蓋横径・前後径比、CA(Cranial Asymmetry),CVAI(Cranial Vault
Asymmetry Index),CI(Craial Index)などの標準的な頭蓋形状評価指標の計算も可能で、これらの計算結果と360度の撮影画像を1枚の画面に同時表示しています。
 画像解析のためのスタッフも当院独自で人員を揃えており、撮影後10分程度で結果を出すことが可能です。

 結果はすぐに診察に利用して、患者様のご家族に解析結果を画像と共にお見せしながら、初診では頭蓋変形の診断・重症度評価を、また治療開始後は治療による変形の改善度などを、客観的な詳細な数字データを基にしてご説明しています。また治療における原則1 か月毎のヘルメット内層のクッション調整も、この詳細な数字データを参考にして、より的確な調整を行っています。

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東京クリニック 院長 田中一郎